【連載】つげ義春「無能の人」考⑨《後篇》 text 正津勉

「別離」 「別離」は、「COMICばく13、14」(1987・6、9)に発表。全48ページ。 これもまた扉絵からみてみよう。ひっそりとした夜景色がそれとのぞまれる。一つ点る街灯のそこだけ、照らされて明るくあり、手前に狭い

【連載】つげ義春「無能の人」考⑨《前篇》 text 正津勉

第九章 〈無能の人〉後三篇 「やもり」/「海へ」/「別離」 「やもり」 「やもり」は、「comicばく10」(1986・9)に発表。40ページ。〈無能の人〉シリーズ第5作「カメラを売る」と第6作「蒸発」の間に掲載された。

【連載】つげ義春「無能の人」考⑧ text 正津勉

第八章 「蒸発」 無用者 「蒸発」(「comicばく11」1986・12)、シリーズ〈無能の人〉第6作である。全36頁。 ここではまず『前著』第四章をみることに。わたしはそこで「蒸発。これこそ、つげの積年の憧憬という、よ

【連載】つげ義春「無能の人」考⑦ text 正津勉

第七章 「カメラを売る」 ガラクタ屋 「カメラを売る」(「comicばく9」1986・6)、シリーズ〈無能の人〉第5作である。全34頁。 まずもって扉絵からみよう。背にコンクリート壁。前に置かれたドラム缶の上、中古カメラ

【連載】つげ義春「無能の人」考⑥ text 正津勉

第五章 「探石行」 うらを見せおもてを見せ…… 「探石行」(「comicばく8」1986・3)、シリーズ〈無能の人〉第4作である。全27頁。 はじめに扉絵からみたい。かなり山深くの僻村だろう。鬱蒼と茂る杉木立、畑地の向こ

【連載】つげ義春「無能の人」考⑤ text 正津勉

第四章 「鳥師」 鳥屋と、石屋と 「鳥師」(「comicばく7」1985・12)、シリーズ〈無能の人〉第3作である。それでははじめに扉絵からみることにしよう。 そのまえにこれまでの扉絵の図柄をふりかえっておく。第1作「石

【連載】つげ義春「無能の人」考④ text 正津勉

第三章 「無能の人」 髪と、石と 「無能の人」。シリーズ表題作である。それでははじめに扉絵からみることにしよう。これをしかしなぜ表題作としようとしたか。そこらがわかろう図柄であるのだこれが。 ほんとおかしく滑稽で笑えてな

【連載】つげ義春「無能の人」考③ text 正津勉

第二章 石を売る 「鬼面石」 いよいよ〈無能の人〉六連作となった。シリーズ第一作「石を売る」(85・6)である。当作以降、〈無能の人〉のシリーズ名のもとに、「無能の人」「鳥師」「探石行」「カメラを売る」「蒸発」とつづく連

【連載】つげ義春「無能の人」考② text 正津勉

第一章 ―「COMICばく」 「散歩の日々」 83年正月、つげは、一通の年賀状をある旧知の編集者に送付。宛先は日本文芸社・夜久弘。夜久は、その四年前から「カスタムコミック」でつげを担当、寡作の彼から前章であげたほか7篇の

【連載】つげ義春 「無能の人」考① text 正津勉

  前口上 昨年、2020年、当方は『つげ義春 「ガロ」時代』(作品社)を上梓。これがわたしの著作としては珍しく数少なくはない読者のかたから温かい批評をいただいた。そのなかに熱くもぜひ続篇として「ガロ」以後につ