【Review】人生をあるがままに受け入れる強さ――iaku『あつい胸さわぎ』 text 竹下力
舞台が終演し、照明が明るくなり、鳴り止まない拍手の音が響き渡るカーテンコールの最中、私はようやく大きく息をつくことができた。胸につかえた異物が取り除かれたようなホッとした感覚。息苦しいシーンが続くわけでもない。悲惨な殺人
【Review】傷ついた金魚はやがて青空を泳ぐ――劇団桟敷童子『夏至の侍』 text 竹下力
2022年6月7日(火)から上演された劇団桟敷童子の新作公演『夏至の侍』は、本当に久しぶりに、我々の存在の基盤を揺るがすような“情熱”に打たれる傑作となった。舞台から発せられる情熱は、人はどのように生きて死んでいくのか、
【News】東京芸術祭2021 日本や世界のいまに出会える映像配信プログラム8本をラインアップ
コロナ禍で国境を越えたアーティストの移動や、上演作品の招聘が困難となるなか、映像を通じて、世界や日本各地で活躍する表現者の取り組みにフォーカスする配信プログラム8本がラインアップされている。 東京芸術祭は、東京の多彩で奥
【Review】めのまえのものに思いを馳せながら――『想像』text 吉田恭大
『想像』は、緊急事態宣言下、2021年の5月28日に公開された。2017年から2019年にかけて上演されたリクリエーション版『三月の5日間』の制作の様子を、主に俳優の板橋優里に焦点を当てて追った作品である。 それじゃ「
【Review】記憶の芸術、ダンスと彫刻―能藤玲子「風に聴く―みたびまみえる」を観て text 吉田悠樹彦
砂澤ビッキの記憶から 舞踊家の肉体が積み重ねた個としての記憶と、砂澤ビッキ(1931年―1989年)による彫刻が積み重ねた、大地と時空の記憶が交差する作品「風に聴く―みたびまみえる」が北海道で上演された。 砂澤は戦後
【Review】一青妙・窈姉妹の自伝的演劇「時光の手箱」を観る text 吉田悠樹彦
一青妙・窈姉妹についてのドキュメンタリー演劇が台北で初演 ドキュメンタリー演劇という言葉がある。ドキュメンタリー演劇は歴史や事実を構成していく演劇として近年再注目をされているが、多文化・多言語社会を生きる人たちが、自らの
【Book Review】身体によって身体を思考する——室野井洋子『ダンサーは消える』text 中根若恵
ダンスは常に非常である。 我々は圧倒的な日常の中に生きている。 非常の身体は忘却される。 私たちの多くは、自分の身体をおのずとこの場に存在するものと捉え、その自明性に何ら疑いをもたない。例えば、道を歩く、階段を上がる、シ
【Interview】インスタント・シアターカンパニー『NADIRAH』 アルフィアン・サアット(劇作家)×ジョー・クカサス(演出家)インタビュー
ジョー・クカサス(左)とアルフィアン・サアット(右)演劇というパブリックな場で宗教を議題にしていく。ヤスミン・アフマドの精神を方法論としても継承するために民族間、宗教間に生まれる摩擦、緊張を、軽やかな笑いを交えて描く演出
【News】3/4(土)~12(日)開催 村川拓也演出公演「Fools speak while wise men listen」
「なんで中国なのか」とか「そんなこと問題にしなくてもいいんじゃないか」とかそういう雰囲気がありますが、いやすでに日本人はそれぞれ個人的に中国や中国人に対して解決しがたい問題を抱えているはずだし、実はその問題に対して小さな
【Pick up】発表! わが一押しのドキュメンタリー2015
例年200本以上、テレビを含めるともっとたくさんの本数が上映・放送されているドキュメンタリーの中から、皆様の「ベストワン」をうかがう企画、「わが一押しのドキュメンタリー」。今年も劇場公開作品から一般には知られていない作品
【Report】SFのアクチュアリティー/タルコフスキーの諸作品をベースにした演劇作品『 石のような水』<作:松田正隆(マレビトの会)/演出:松井周(サンプル)> text 太田信吾
———人は過去を思い出すと、より善良になる (『ストーカー』アンドレイ・タルコフスキー監督) 余りにも示唆に富んだ台詞だ。タルコフスキーが1979年に発表した映画「ストーカー」は複雑な世界を複雑なままに、矛盾を矛盾のまま
【Review】映画と現実の間の裂け目を歩く-ソ・ヒョンソク『From the Sea』(後編)text 夏目深雪
映画と現実の間の裂け目を歩く-ソ・ヒョンソク『From the Sea』(後編)前編 はこちら 映画の自動性 『タツノオトシゴ』(1934年)や『ミジンコ』(1929年)といった科学映画のパイオニアである映画作家パンルヴ
【Review】映画と現実の間の裂け目を歩く-ソ・ヒョンソク『From the Sea』(前編) text 夏目深雪
映画と現実の間の裂け目を歩く-ソ・ヒョンソク『From the Sea』(前編) 夏目深雪 あれは映画ではなかったか 観客参加型ツアーパフォーマンス演劇。2014年秋にF/T(フェスティバル/トーキョー) 14の「ア
【Review】祈りとソフトクリームーー『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』チェルフィッチュ text 井上里
一度しかみないことが普通である芝居のパンフレットに、岡田利規が――それこそ特に大きな意味はなかったのだろうが――次のような挨拶文を寄せたことは興味深い。「ひとまず、チャラチャラーっとした感じで見てもらえたらとおもっていま
【Review】進化系・演劇――鵺的第8回公演『毒婦二景』 text 夏目深雪
鵺的の新作である『毒婦二景』は、「阿部定」をモチーフとした長編『定や、定』と『昭和十一年五月十八日の犯罪』2編の同時上演で成り立っている。『定や、定』では岡田あがさ、『昭和十一年…』ではハマカワフミエが阿部定を演じる。と
【自作を語る】トークバック(呼応)する映画——ミニシアターの上映・配給をめぐって text 坂上 香
芝居を通して社会に挑戦する、元受刑者やHIV/AIDS陽性女性の群像劇上映でもトークバックを呼び起こせ! ミニシアターでの仕掛けとは? 8年がかりで完成させたドキュメンタリー映画『トークバック 沈黙を破る女たち』が、3月
【News】川端文学の国境を超えた舞台化のアンサンブル!/4/16-21上演★台湾・日本国際共同公演「川端康成三部作」
ノーベル文学賞作家川端康成の短編3作品が、日本と台湾出身の演出家3人によって舞台化される。日本・台湾・中国のキャストがそれぞれの作品を演劇・舞踏作品で川端の小説の世界に命を吹き込む。 小劇場界で根強い人気の岸田國士戯曲
【Report】『うらぎりひめ』(監督:岩名雅記)宣伝リポート text 歌川達人
舞踏家 岩名雅記監督の『うらぎりひめ』 「舞踏」という身体表現をご存知だろうか?舞踏家は、「生まれてから現在までの生きられた時間を内包する身体」を用い、その圧倒的な身体表現を観客に見せつける。今回紹介する岩名雅記という
【News】新美南吉生誕100年、気鋭の劇団オクムラ宅が『ごんぎつね』『手袋をかいに』の童話作家の影に迫る/『新美南吉の日記 1931-1935』公演
優しい作風の影にある”本当の新美南吉”に迫る 俳優・演出家である奥村拓が主宰するオクムラ宅は、この度、新美南吉生誕100年に合わせて『新美南吉の日記 1931-1935』を東京、愛知、福岡で上演します。 新美南吉は『ごん
【News】トーキョー発、舞台表現の祭典「フェスティバル/トーキョー13」怒涛の全プログラム発表‼
第6回目となるフェスティバル/トーキョー(F/T13)の全プログラムが、いよいよリリースされた。11月9日(土)から12月8日(日)までの30日間にわたって開催されるF/T13は、東京の都市空間の起伏ある魅力をゆたかに引
【Info】没30年、寺山修司の代表作『百年の孤独』を月蝕歌劇団が7月に上演!
再演もドキュメンタリーである 2013年7月 月蝕歌劇団 ザムザ阿佐谷 連続公演 連続公演 第1弾寺山修司没30年記念認定事業 『百年の孤独』連続公演 第2弾月蝕歌劇団旗揚げ作品 『女神ワルキューレ海底行』
【Info】6/1〜7『追悼 大野一雄 Keep On Dancing 』ポレポレ東中野
大野一雄さんの追悼上映を今年も開催!毎年恒例となった大野慶人さんによるスペシャルステージも決定!6月1日は、舞踏家・大野一雄さんの命日です。限りない哀しみと溢れるばかりの愛で、そこにある魂に気付かせてくれる舞踏は、逝去し