【自作を語る】天才映画詩人の光と影を描く『映画になった男』 text 金子遊

 大学に入ったばかりの頃、僕はいつも雑誌「ぴあ」のオフシアター欄をチェックして、アヴァンギャルド映画や実験映画ばかりを観ていた。あるとき、渋谷で伝説的な『初国知所之天皇』(73)が上映されることを知り、渋谷の会場へ観にい

【News】2/19(土)、2/20(日)、2/23(祝)の3日間、下北沢トリウッドにて「吉田孝行映像作品集」が上映!

世田谷区在住のアーティストや文化芸術団体を支援する「せたがや元気出せArtsプログラム」の一つとして、2月19日(土)、2月20日(日)、2月23日(水・祝)の3日間、連日19時00分から、下北沢トリウッドにて「吉田孝行

【News】第14回恵比寿映像祭が開催中!

2月4日(金)から20日(日)まで、東京都写真美術館を中心に「第14回恵比寿映像祭」が開催中だ。今年も18の国と地域から57組・64名の作家・ゲストを迎え、18の展示作品、10プログラム・38作品というボリュームたっぷり

【Review】『ベニスに死す』を向こうに見つめて――『世界で一番美しい少年』 text 吉田晴妃

稀代の美少年 2012年ごろのことだったと思う。絵を描く友人が、ものすごい美少年の画像をネットで見つけたのだと見せてくれた。ビョルン・アンドレセンといって、『ベニスに死す』という古い映画で主人公のおじさんにただただ追い回

【News】東京芸術祭2021 日本や世界のいまに出会える映像配信プログラム8本をラインアップ

コロナ禍で国境を越えたアーティストの移動や、上演作品の招聘が困難となるなか、映像を通じて、世界や日本各地で活躍する表現者の取り組みにフォーカスする配信プログラム8本がラインアップされている。 東京芸術祭は、東京の多彩で奥

【Report】当たり前の自由を勝ち取った「表現の不自由展かんさい」 text 宮崎真子

 「表現の不自由展」がたどった道のり  7月18日大阪天満橋朝8時過ぎ、既にむっとする暑さ!「表現の不自由展かんさい」最終日。会場のエル・おおさか(大阪府立労働センター)入り口には入場の為の整理券を求める老若男女市民がず

【Review】記憶の芸術、ダンスと彫刻―能藤玲子「風に聴く―みたびまみえる」を観て text 吉田悠樹彦

砂澤ビッキの記憶から  舞踊家の肉体が積み重ねた個としての記憶と、砂澤ビッキ(1931年―1989年)による彫刻が積み重ねた、大地と時空の記憶が交差する作品「風に聴く―みたびまみえる」が北海道で上演された。  砂澤は戦後

【Review】なぜこれほどまでに性は人を傷つけるのだろう〜アディナ・ピンティリエ監督『タッチ・ミー・ノット ~ローラと秘密のカウンセリング~』text 長谷部友子

「なぜこれほどまでに性は人を傷つけるのだろう?」 それは私の長年の疑問であり解けない謎の一つだった。性が孕む何がそれほどまでに人を傷つけるのか、私にはどうしても理解ができず、その疑問を解くための端緒となるような作品だった

【Review】のこされた歌、うたわれる今――『タゴール・ソングス』 text 菊井崇史

 レコード盤に針が落とされ、歌が聴こえはじめる。そして、流れる旋律にのった歌声の詞が「もし 君の呼び声に誰も答えなくてもひとりで進め」との意をもつことともに、その曲が「ベンガル分割反対運動時の一九〇五年のタゴール・ソング

【Review】 『セノーテ』― 潜り、蘇る古代マヤの両義性 text 長本かな海

はじめてスキューバーダイビングをした時、はじめてモノをモノとしてみたような気がした。海中の生物の知識がない私にとって海の底は混沌への入り口だった。ゴツゴツした岩に張り付いたいびつな物体や、なめらかでヌルヌルしたもの、触っ

【Book Review】「なおす」ために何が必要か――青野文昭『NAOSU』 text 五十嵐拓也

「なおす」ことのズレ  2017年の展覧会「コンニチハ技術トシテノ美術」で展示された青野文昭の《なおす・それぞれの欠片から――無縁の声・森のはじまり――1997-2017》を見た時、赤い自動車が描かれた箪笥の作品に触りた

【column】現代日本最高の詩人吉増剛造がNYへ 米国前衛映画界の父・詩人の故ジョナス・メカスを悼む 映画『眩暈(めまい) Vertigo』について text 井上春生

2018年2月、ある仕事で訪れていたドイツから羽田に帰国し、そのまま成田に移動してニューヨークに向かった。詩人の吉増剛造さんを1年かけて撮った前作「幻を見るひと」がニューヨークシティインディペンデント国際映画祭に招待され

【Report】Festival Film Dokumenter2019に参加して text 波田野州平

私はフィールドワークをもとに土地の歴史を掘り起こし、そこで見聞きしたことをフィクションとドキュメンタリーが渾然となった手法で、個人の記憶から集合的記憶を導き出そうとする映画を制作しています。そのようにして制作した『影の由

【Interview】「想像」を駆使して世界と向き合うこと――『ドリーミング村上春樹』ニテーシュ・アンジャーン監督インタビュー text 若林良

  「これは責任と名誉の問題です。どんなに気が進まなくても、みみずくんに立ち向かうしかないのです。もし万が一闘いに負けて命を落としても、誰も同情してはくれません。もし首尾良くみみずくんを退治できたとしても、誰も

【Review】ウィーンの黄金時代を彩った二人の画家の軌跡を追うーー『クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代』text 舘由花子

  © Belvedere, Wien 日本で『クリムト展 ウィーンと日本 1900』が始まったのは今年の4月。上野の東京都美術館に集められたグスタフ・クリムト(1862−1918)の代表作、『女の三世代』や『

【Review】『映像の新境地を求めてー第11回 恵比寿映像祭「トランスポジション 変わる術」から』 text 吉田悠樹彦

Hardcore Ambience企画「Another World」:大野松雄《タージ・マハル旅行団「旅」について》+スペシャルライヴより 提供:東京都写真美術館 撮影:新井孝明 変わる術としての映像文化 映像はバタイユ

【Review】その図書館は、まるでユートピアーー『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』 text 舘由花子

『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』の監督、フレデリック・ワイズマンはディレクターズ・ノートでこう語った。「ニューヨーク公共図書館は最も民主的な施設です。すべての人が歓迎されるこの場所では、あらゆる人種、民族、社

【Review】一万の砲弾、一万の建築ーー『セメントの記憶』 text 萩野亮

「中東のパリ」と呼ばれた街のいま 一万の砲弾が降り注いだ街で、僕はジョルジュを待っていたーー(*1)。 ラウィ・ハージの小説『デニーロ・ゲーム』は、このような書き出しで始まる。30カ国以上で翻訳されたこの物語は、永遠に続

【Review】宝物が生まれる瞬間ーー『旅するダンボール』 text 福井さら

   様々な年代の人々が、それぞれの「宝物」についてはにかみながら説明している。そんな冒頭からこの「旅するダンボール」は始まってゆく。彼らは各々、なぜそれが宝物なのかを聞かせてくれるのだが、ものが宝物になるには、その人に

【Interview】「かけがえのない一瞬」を求めて――『寝ても覚めても』濱口竜介監督インタビュー text 若林良

5時間余という上映時間や、ヒロイン5人のロカルノ映画祭最優秀女優賞受賞などで大きな注目を集めた『ハッピーアワー』から3年。『寝ても覚めても』は、濱口竜介監督の商業映画デビュー作だ。カンヌ映画祭コンペティション部門への出品

【Interview】「白」と「黒」を超えて――『ゲッベルスと私』クリスティアン・クレーネス&フロリアン・ヴァイゲンザマー監督インタビュー text 若林良

第二次世界大戦の終結から70年以上の時を経たいま、当事者の、とくに政権の中枢にいた人間の「証言」という形で映画を作ることは困難をきわめている。しかし、そうしたこころみに成功した稀有な映画『ゲッペルスと私』は、あるひとりの

【Review】記録が脚本に脱線するとき-『苦い銭』に寄せて- text イトウモ

 ©2016 Gladys Glover-House on Fire-Chinese Shadows-WIL Productions  山形国際ドキュメンタリー映画祭での2度の大賞受賞など日本との関わりも深い気鋭のドキュ