【News】第14回恵比寿映像祭が開催中!

2月4日(金)から20日(日)まで、東京都写真美術館を中心に「第14回恵比寿映像祭」が開催中だ。今年も18の国と地域から57組・64名の作家・ゲストを迎え、18の展示作品、10プログラム・38作品というボリュームたっぷりで開催している。こちらの記事ではneoneo読者向けに、これから鑑賞できるおすすめの上映作品を解説していく。

■開催概要
第14回恵比寿映像祭
スペクタクル後

令和4年2月4日(金)~2月20日(日)《15日間》月曜休館

会場/東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス センター広場、地域連携各所 ほか
時間/10:00~20:00 ※最終日は18:00まで
入場/無料 ※3階展示室、定員制のプログラム(上映、イヴェントなど)、一部のオンラインプログラムは有料

[主催]東京都/公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館・アーツカウンシル東京/日本経済新聞社
[共催]サッポロ不動産開発株式会社/公益財団法人日仏会館
[後援]【TBSロゴ】/J-WAVE 81.3FM
[協賛]サッポロビール株式会社

■neoneo読者向け上映作品の見どころ

上映作品公式サイトリンク
https://www.yebizo.com/jp/archives/program_type/screening

●空音央& ラウラ・リヴェラーニ《アイヌ・ネノアン・アイヌ》— 新しい肖像画

2月18日(金)15:00-
2月20日(日)15:00- | TALK:空音央、ラウラ・リヴェラーニ、関根摩耶、清水裕
会場:東京都写真美術館1Fホール
料金:500円(前売) 1,000円(当日)

空音央&ラウラ・リヴェラーニ《アイヌ・ネノアン・アイヌ》
2021年/73分/日本語、英語、韓国語(英語・日本語字幕付)

写真家のラウラ・リヴェラーニと、映画監督でありアーティストの空音央が、2015年から北海道平取町二風谷で取り組んできた長期プロジェクト《アイヌ・ネノアン・アイヌ》。アイヌ民族は、明治時代の同化政策による植民地主義的な歴史の中で、生活の根幹に関わる大きな打撃を受けてきた。他方、もともとアイヌ語は共通の文字をもたず、彼らは語りを通して多くの文化を継承してきた。その歴史のなかで、カメラを向け画に残すこと、記録を言語化していくことに抵抗を感じながら、現代のアイヌの人々に密着し、試行錯誤するなかで生み出された本インスタレーションは、家族のアルバムをめくるように、人々の人生を丁寧に映し出すことで、ドキュメンタリーの可能性を探ろうとしている。

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●佐々木友輔 《映画愛の現在》3部作

2月12日(土)
第一部 11:00- | TALK:佐々木友輔、多田かおり
第二部 15:00- | TALK:佐々木友輔、多田かおり
第三部 18:00- | TALK:佐々木友輔、多田かおり
会場:東京都写真美術館1Fホール
各回料金:500円(前売) 1,000円(当日)

佐々木友輔《映画愛の現在 第Ⅰ部/壁の向こうで》
2020年/103分/日本語(英語字幕付)

佐々木友輔《映画愛の現在 第Ⅱ部/旅の道づれ》
2020年/103分/日本語(英語字幕付)

佐々木友輔《映画愛の現在 第Ⅲ部/星を蒐める》
2020年/107分/日本語(英語字幕付)

「日々、浴びるように映画を見なければ、優れた作品はつくれない。優れた文章を書くことはできない。」そう考えてきた個人映画作家の佐々木友輔。彼が2016年、大学に職を得て移り住むことになった鳥取は、県内に3館しか映画館がない。佐々木はスクリーンを求めるうちに、この一見映画にとっての不毛の地で、映画を愛し、上映会を主催する人々、作品を作る人々と出会うことになる。東京など大都市の映画産業から離れ、名目だけの地域の文化振興にもとらわれず、真に地域の人々の映画愛に根差した映画文化の現在形を探る。全三部を東京初公開。

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●アマリア・ウルマン レクチャー・パフォーマンス集

2月13日(日)11:00-
2月17日(木)18:00-
会場:東京都写真美術館1Fホール
料金:500円(前売) 1,000円(当日)

アマリア・ウルマン《Buyer, Walker, Rover》
2013年/12分/英語(日本語字幕付)

アマリア・ウルマン《Excellences & Perfections (ICA)》
2014年/11分/英語(日本語字幕付)

アマリア・ウルマン《The Future Ahead》
2014年/16分/英語(日本語字幕付)

アマリア・ウルマン《Sordid Scandal》
2020年/19分/英語(日本語字幕付)

Instagramのパフォーマンス《Excellences & Perfections》で一躍時の人となったアマリア・ウルマン。様々なメディアを駆使し、性差や格差などの社会問題に鋭く切り込む新時代のアーティストによる、過去のレクチャー・パフォーマンス集を映像で上映。《Buyer, Walker, Rover(購買者、歩行者、漂泊者)》は、歩行による都市の観察を通じ現代消費社会の様相を描き、展示部門出品作にもつながる作品。また私的な家族史と国や植民地の歴史を行き来する《Sordid Scandal》は、初監督長編映画《エル プラネタ》にもつながる。ウルマン自身が登場し、架空と現実をかく乱するパフォーマンスが著名だが、レクチャーにはその研ぎ澄まされた批評性が強く表れている。

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●石原海《重力の光》と過去短編集 — 天国と地獄のランドスケープ

2月13日(日)15:00- | TALK:石原海、多田かおり
2月15日(火)18:00-
会場:東京都写真美術館1Fホール
料金:500円(前売) 1,000円(当日)

石原海《狂気の管理人》
2019年/12分/日本語・英語(日本語・英語字幕付)

石原海《汚れきった天国》
2017年/12分/日本語(英語字幕付)

石原海《永遠に関する悩み》
2015/7分/日本語(英語字幕付)

石原海《重力の光 -祈りの記録篇》
2022年(新作)/約70分/日本語

個人的な体験を普遍的な物語に発展させた、ドキュメンタリーともフィクションともいえる独自の映像表現が、国内外で高い評価を得てきた石原海。これまで自身の経験をもとに、愛やジェンダー、狂気などをテーマにしていたが、2021年に発表した、北九州の生活困窮者を支援するキリスト施設の人々が登場する教会を舞台にした《重力の光》で新境地を開いた。恵比寿映像祭では、さらに困窮者支援の現場や出演者の日常の映像を加えた、いわばその「ドキュメンタリー版」を初一般公開するとともに、過去の短編を上映。日常の延長に描かれる風景は、果たして天国か地獄か。

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●C.W.ウィンター&アンダース・エドストローム《仕事と日(塩谷の谷間で)》[スペシャル上映]

2月11日(金・祝)11:00-
会場:東京都写真美術館1Fホール
料金:1,500円(前売) 1,800円(当日)

C.W.ウィンター&アンダース・エドストローム《仕事と日(塩谷の谷間で)》
2020年/480分/日本語(英語字幕付)

京都の山村に暮らす人々の生活を一年にわたって描き、ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門最優秀賞を受賞した本作。ある旧家の日々の営みや、その周りに広がる豊かな自然の移ろいが丁寧に映し出される中で、人々の生活もまたゆっくりと変化してゆく。《アンカレッジ The Anchorage》(2009)以来、二度目のアンダース・エドストロームとC.W.ウィンターによる長編共同監督作。

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●新進作家短編集 — 現実と夢の揺らぎを紡ぐもの

2月18日(金)18:00- | TALK:川添彩、山本圭将、清水裕
会場:東京都写真美術館1Fホール
料金:500円(前売) 1,000円(当日)

ビー・ガン《金剛経》
2012年/22分/中国語(日本語・中国語・英語字幕付)
協力:リアリーライクフィルムズ合同会社

川添彩《夜の電車》
2019年/15分/日本語

斎藤英理《全ての傷が癒えますように》
2021年/5分5秒

斎藤英理《mistake, blockade, fancy, panky》
2020年/4分44秒

斎藤英理《水のない島》
2019年/7分55秒

斎藤英理《黒い夢》
2019年/3分37秒

斎藤英理《ゆれる:夢遊する身体》
2018年/3分38秒

池添俊《あなたはそこでなんて言ったの?》
2021年/20分/日本語・中国語(英語・日本語字幕付)

他者や天変地異、社会のシステムなど、自らの手の及ばない力に左右されながらも個を生きる者たちの存在が浮かび上がるプログラム。中国貴州省凱里の変遷を写し取りながら映像と詩の融合にも取り組むビー・ガン《金剛経》。目に見えない外からの力を感じながら生きるカップルの生活を俯瞰して見つめる川添彩《夜の電車》。存在の曖昧さを提示し、意識と行動の関係や認識の差異を捉えようとする斎藤英理の作品群では、様々な活動の側面を劇場版として再構築する。池添俊《あなたはそこでなんて言ったの?》では作家が共同制作者など多重の窓を通すことで自らにも迫り、観客へ個人的な体験を渡すことで記憶を昇華していく。(ゲスト・プログラマー:清水裕)

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●アノーチャ・スウィチャーゴーンポン特集 —《暗くなるまでには》《ありふれた話》

2月16日 (水)15:00‐ 《暗くなるまでには》
2月16日 (水)18:00‐ 《ありふれた話》
会場:東京都写真美術館1Fホール
料金:500円(前売) 1,000円(当日)

アノーチャ・スウィチャーゴーンポン《暗くなるまでには》
2016年/105分/タイ語(日本語字幕付)

アノーチャ・スウィチャーゴーンポン《ありふれた話》
2016年/105分/タイ語(日本語字幕付) ※35ミリフィルム上映

世界各国で高い評価を集め注目されるタイの女性監督、アノーチャ・スウィチャーゴーンポンによる福岡市総合図書館所蔵の2作品を上映。

《暗くなるまでには》1976年にバンコクのタンマサート大学で学生や市民運動家の抗議集会を警察が攻撃し多くの死者が出た。本作は、集会に参加していた女性に、ある映画監督がインタビュー取材をする場面からはじまる。映画はいくかの物語の断片とともに、タイの過去と現在をめぐり、次第に記憶と空間が交錯していく…。(ゲスト・プログラマー:メー・アーダードン・インカワニット+ジュリアン・ロス)

《ありふれた話》青年エークは事故によって下半身付随となり、彼の介護で現れた、看護師のパンと知り合う。時系列の異なる一連の場面を通じて、2人の男性のありふれた日常はやがて宇宙的神秘へ向かう。監督初長編作品。※本作には一部過激な映像が含まれます。予めご了承の上ご視聴ください。

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●オンライン映画

©Maiko Endo

日時:2022年2月4日(金)〜2月20日(日)
料金:YouTubeチャンネルの視聴は無料(1日1回更新)、2022年2月20日(日)日本時間 午前11時~のライヴ配信のみ1,500円
※ライヴ配信チケットは2022年1月28日(金)から発売

遠藤麻衣子《空》

映像作家の遠藤麻衣子による、会期中配信されるオンライン映画プロジェクト。ヒトの「心」。それは実態がなく、どこにあるのかわからない。ヒトにとって大事であるとされながら、謎だらけのこの「心」とは何なのか? 今作では、作家自身の「心」が「自然(じねん)」に選択した被写体を撮影、編集することで、その「心」の在処を探求する。この作品の物語は、まだ存在しない。日々、無為に撮影を進めながら、作家の「心」はある物語を展開しだすのかどうか? そしてその物語を読み解こうとする視聴者の「心」がどう動いていくのかを、オンラインを通して実験する試みである。
https://www.yebizo.com/onlinefilm/