【新刊】ドキュメンタリーマガジン neoneo12号 総特集「沖縄のドキュメンタリー」

9月中旬発売! ドキュメンタリーマガジン「neoneo」#12 総特集 「沖縄のドキュメンタリー」 お待たせいたしました! 1年ぶりのドキュメンタリーマガジン「neoneo」12号は、「沖縄とドキュメンタリー」の総特集で

New【Review】記憶の芸術、ダンスと彫刻―能藤玲子「風に聴く―みたびまみえる」を観て text 吉田悠樹彦

砂澤ビッキの記憶から  舞踊家の肉体が積み重ねた個としての記憶と、砂澤ビッキ(1931年―1989年)による彫刻が積み重ねた、大地と時空の記憶が交差する作品「風に聴く―みたびまみえる」が北海道で上演された。  砂澤は戦後

Newドキュメンタリー叢書 #01『ジョナス・メカス論集』刊行!

neoneo編集室では「ドキュメンタリー叢書」を創刊しました。 その記念すべき1冊目は、2019年に亡くなった映画作家のジョナス・メカス論集。 『ジョナス・メカス論集 映像詩人の全貌』を刊行しました。 メカス映画のコメン

【Review】大阪行ったり来たり――リム・カーワイ『カム・アンド・ゴー』 text 井河澤智子

 まさに今後の大阪市の運命が決まるというその夜に、平成最後の大阪の春を描いた映画が東京で上映された。  そして、上映終了後すぐ、その結果が報じられた。大阪市、存続、と。  コロナ禍により、他の映画祭が中止あるいはリモート

【Review】素朴な声に導かれて―――小森はるか『空に聞く』 text 五十嵐拓也

 タイトルの文字すら見出せぬまま、映画館のスクリーンには、パソコンを操作し何かの準備を進める女性の手つきが映し出され、ギターの音色が響く。観客は、女性が誤って音を二重に流してしまう様子から、この女性がラジオ放送の準備を進

【Review】セルゲイ・ロズニツァを日本に導入する――『アウステルリッツ』『粛清裁判』『国葬』text 吉田孝行

日本では映画祭やミニシアターなどで世界中の様々な映画が上映されているが、それでもその世界的な評価とは裏腹に、なかなか上映される機会に恵まれない映画作家がいる。数年前までは、ドイツのペーター・ネストラーやフィリピンのラヴ・

【文学と記録⑤】吉田健一と瓦礫 text 中里勇太

  小説の舞台としてかつての町や都市のすがたが描かれているとき、それを知るのもまたおもしろさのひとつである。たとえば吉田健一は、小説「瓦礫の中」や「絵空ごと」、「東京の昔」などにおいて作品ごとに時代を設定して東京を描いて

【Review】『VIDEOPHOBIA』の徴 text 桝田豊

 若い女が男の求める声に従い自らの下腹をまさぐり自慰をする。相手はどんな男かと思うとパソコンの画面のなか、恐らくは見ず知らずの相手。  姓を朴とも青山ともいう女、愛は大阪鶴橋の古びた民家に母、叔母、二人の妹という女ばかり

【自作を語る】この世の記録/あの世と企画 『アリ地獄天国』text 土屋トカチ(本作監督)

11年ぶりの新作長編『アリ地獄天国』が、この秋に都内で劇場公開される。これまで名古屋、大阪、横浜で公開されてきたが、コロナ禍による影響もあり大幅に遅れていた。 本作は、理不尽な労働環境に置かれた30代の正社員が個人加盟の

【Review】ブラザーフッドの騎士たち――『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』 text 日方裕司

   ザ・バンドのドキュメンタリー映画『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』が日本で公開される。  60年代にルーツ・ミュージックの融合という全く新しい「アメリカン・ルーツ・ロック」を生み出し、静かな革命を起こしたザ・バ

【Interview】 「言葉の映画」を撮る『れいわ一揆』原一男(監督)×島野千尋(プロデューサー)

原一男監督と島野千尋プロデューサー 2019年夏の参議院選挙に立候補した安冨歩氏(東京大学教授)をはじめとする「れいわ新選組」のメンバーを追った原一男の新作ドキュメンタリー『れいわ一揆』が、全国で公開されている。コロナ禍

【Review】ふたつの『異端の鳥』がもとめた普遍 text 菊井崇史

 映画『異端の鳥』が結実するまでの道のりはけわしいものだったと監督ヴァーツラフ・マルホウルはふりかえっている。十七ヴァージョンのシナリオを書き、困難な資金調達等を忍耐づよくのりこえ、撮影には二年を要し、ついに十年以上の歳

【Review】俳優とエキストラの躍動『U-Carmen eKhayelitsha』 text 井澤佑斗

 『U-Carmen eKhayelitsha』は2005年に南アフリカのケープタウンで撮影された映画だ。同年のベルリン国際映画祭では金熊賞を受賞した。プロスペル・メリメの『カルメン』を原作にした映画は、カルロス・サウラ

【Review】悲しみの繋がる部屋――『ヴィタリナ』text 住本尚子

家というのは不思議なもので、帰れない場所になることがある。 ヴィタリナは出稼ぎに行った夫、ジョアキンをアフリカのカーボ・ヴェルデで待っていた。その家は、ジョアキンと二人で手作りしたお家。セメントをジョアキンが塗り、ヴィタ

【連載】「視線の病」としての認知症 第17回 社会が動くとき text 川村雄次

「視線の病」としての認知症 第17回 社会が動くとき (前回第16回はこちら) クリスティーンが声をあげたことでオーストラリア社会は変わっただろうか? そんな問いを投げかけたのは、「クローズアップ現代」のプロデューサーだ

【文学と記録④】松井太郎とブラジル text 中里勇太

   遠く離れた土地を舞台とする小説を読むとき、その土地の生活や文化を知るのもよろこびのひとつである。しかしときには知るというよろこびよりもさきに、その異形の相貌をまえに立ち尽くしてしまう作品がある。そのひとつ

【Review】大切な人との関係性の築き方――『友達やめた。』text 川瀬みちる

「で、今日来てもらった理由は、“ふたりの常識を考える会”を開こうと思って」 それを聞いて、まあちゃんは声を出して笑った。  『友達やめた。』は生まれつき耳の聞こえない映画監督・今村彩子がアスペルガー症候群の友人・まあちゃ

【Review】映画の始まりについて―佐藤零郎監督『長居青春酔夢歌』text 吉田孝行

   映画はいきなり始まる。白色を投影しただけの真っ白のスクリーンに、怒り、泣き、叫ぶ人達の声が響き渡る。しばらく映像は現れない。しかし、真っ白のスクリーンには、何かが映っているように見えるのであり、怒り、泣き、叫ぶ人達

【文学と記録③】有森勇太郎の記録 text 中里勇太

 これは作中の登場人物が書いた記録である、と宣言される小説がある。そこでは、かれらの生涯の一時期や、目撃あるいは参加した出来事が語られ、その形式は、渦中で記した日記やノートを基に構成されるか、あるいは後年の記憶を基に語ら

【自作を語る】島々の音楽を繋ぐ奇跡のアンサンブル!『大海原のソングライン』の制作バッググラウンドストーリー text ティム・コール

このプロジェクトは最初から音楽、映画、コンサートの3つがクロスオーバーすることを念頭に置いて企画しました。音楽を録音しながら映画を撮り、また映画からコンサートへと繋がります。文字の読み書きが始まる前のオーストラリアの先住

【Review】なぜこれほどまでに性は人を傷つけるのだろう〜アディナ・ピンティリエ監督『タッチ・ミー・ノット ~ローラと秘密のカウンセリング~』text 長谷部友子

「なぜこれほどまでに性は人を傷つけるのだろう?」 それは私の長年の疑問であり解けない謎の一つだった。性が孕む何がそれほどまでに人を傷つけるのか、私にはどうしても理解ができず、その疑問を解くための端緒となるような作品だった

【文学と記録②】古井由吉と赤牛 text 中里勇太

 小説において、作者と近しい登場人物が記憶を語るとき、作者自身が辿ってきた道行きを背景にして読めば、語られた記憶は時代証言となる「記録」の側面をもついっぽうで、小説において語られる記憶には、作中人物の記憶ともうひとつ、記

「ワカキコースケのDIG!聴くメンタリー」第33回 『小津安二郎の世界』

「ワカキコースケのDIG!聴くメンタリー」第33回 『小津安二郎の世界』 小津安二郎の唯一の肉声録音と、代表作の数々の名場面を収録した記念盤。 あの厳格な〈小津調〉のイメージを一切忘れ耳だけで小津に接すると、 何が浮かび