【連載】つげ義春 「ガロ」時代 第3回 text 正津勉

第三章 李さん一家 地べたを這いずり  「チーコ」 * 第一章「沼」、第二章「紅い花」。これらの二章に「ある秋の旅から」と副題している。そうして房総の旅籠での短い滞在それが、突如、つげ漫画の開花を招いた様相を跡付けてきた

【Review】ジョゼフ・ロージー『恋』の独創的な構成について text 井澤佑斗

 窓ガラスに水滴が映っている。途端に、不協和音から始まるピアノの独奏が開始される。その窓ガラスにオーバーラップして『恋』のタイトル――原題『The Go-Between』――が映し出される。 その不吉なテーマ曲ひとつだけ

【Report】IFFR&Berlinale2020 <ベルリン国際映画祭編> text歌川達人

世界の多様性に出会える社会派ベルリン国際映画祭 今年で第70回を迎えるベルリン国際映画祭。今年からArtistic Directorが交代し、ロカルノ国際映画祭でArtistic Directorを務めていたCarlo

【Review】狂言回しのたらい回し――『The Death of Mr.Lazarescu /ラザレスク氏の死』 text 野本裕太

わが身になにかあったらどうなってしまうのだろう。 わが身になにかあったらというのも実に漠然とした口吻だがまさにそのことが不安というものの性質を反映した表現なのではなかろうか。ひとはなにもかもを如何様にも案ずることができる

【Book Review】「映画館プログラム」という知られざる魅惑を求めて――『映画館と観客のメディア論 戦前期日本の「映画を読む/書く」という経験』 text 大内啓輔

かつて「映画館プログラム」という読み物があった! たとえば今、私たちが映画館に足を運んで映画を観るとしよう。そのとき、事前にその映画について、何一つの知識を入れずに鑑賞することは不可能に近いはずだ。いわゆる一般的に劇場公

【連載】つげ義春 「ガロ」時代 第2回 text 正津勉

  第二章 紅い花 ある秋の旅から**    「沼」から * 「紅い花」。これからは第二章のはじまり。ここに俎上にするのはつとに世にきこえるこの名作である。 「沼」(66・2)は、つげの名前を「ガロ」誌上に刻印

【連載】つげ義春 「ガロ」時代 第1回 text 正津勉

はじめに 1964年4月、18歳。わたしは福井の山奥の高校を卒業、同志社大学に入学。文学研究会に入会した(半年後退会)。そこで厄介な御任と出会っている。 清水昶(あきら)(1940~2011)。5歳年上、学年2級上、詩人

【Report】IFFR&Berlinale2020 < ロッテルダム国際映画祭編> text 歌川達人

  映画制作者の私は、常日頃から諸先輩方に「若いうちに海外の国際映画祭へ行って勉強してきた方が良いよ」と言われていた。 そんな折、運よくロッテルダム国際映画祭で自身の短編「時と場の彫刻 (英題The Sculp

【Review】音楽が「差別」と闘うとき――映画『白い暴動』 text 日方裕司

   映画『白い暴動』の冒頭で、ステージに上がる前の緊迫感と血気盛んなオーディエンスの姿に多くのパンクスが心躍るかもしれない。しかしこのタイトルから推測されるような、日本でもお馴染みのパンクバンド、ザ・クラッシュのドキュ

【column】現代日本最高の詩人吉増剛造がNYへ 米国前衛映画界の父・詩人の故ジョナス・メカスを悼む 映画『眩暈(めまい) Vertigo』について text 井上春生

2018年2月、ある仕事で訪れていたドイツから羽田に帰国し、そのまま成田に移動してニューヨークに向かった。詩人の吉増剛造さんを1年かけて撮った前作「幻を見るひと」がニューヨークシティインディペンデント国際映画祭に招待され

【Review】『ダンシングホームレス』「世間の目」を越えた先の光景 text 柴垣萌子

『ダンシングホームレス』の主だった被写体となる「新人Hソケリッサ!」は、ホームレス、そしてホームレス経験者だけで構成されたダンスグループだ。彼らは新宿を拠点に日々練習やワークショップを行い、様々な場所で公演も行なっている

【Report】Festival Film Dokumenter2019に参加して text 波田野州平

私はフィールドワークをもとに土地の歴史を掘り起こし、そこで見聞きしたことをフィクションとドキュメンタリーが渾然となった手法で、個人の記憶から集合的記憶を導き出そうとする映画を制作しています。そのようにして制作した『影の由

【連載】「視線の病」としての認知症 第14回 「認知症ケア」の夜明け text 川村雄次

クリスティーン、ポールと武田純子さん(2007年 札幌市) 「視線の病」としての認知症 第14回 「認知症ケア」の夜明け (前回 第13回 はこちら) 認知症という、不治で進行性の病を生きることにどんな希望があるというの

【自作を語る】『愛国者に気をつけろ!鈴木邦男』text 中村真夕(本作監督)

私が鈴木邦男を撮影し始めたのは、2年ほど前の夏からだった。鈴木は父の友人で以前から知っていたが、なぜこの人は右翼のはずなのに右も左も関係なく、様々な人たちと仲良くできるのかを不思議に思っていた。そして以外にも彼単独のドキ

【Interview】伝統人形劇“布袋戯”の来し方行く末――老人形師の想いを包みこむ監督の布袋戯愛 『台湾、街かどの人形劇』楊力州(ヤン・リージョウ)監督インタビュー

楊力州(ヤン・リージョウ)監督 伝統人形劇“布袋戯”の来し方行く末 ――老人形師の想いを包みこむ監督の布袋戯愛 『台湾、街かどの人形劇』 楊力州(ヤン・リージョウ)監督インタビュー (取材・監督近影撮影・文:稲見公仁子)

【連載】「視線の病」としての認知症 第13回 「目に見えない人たち」が姿を現す text 川村雄次

オーストラリア「認知症啓発週間」ののぼり(2008年シドニー) 「視線の病」としての認知症 第13回 「目に見えない人たち」が姿を現す 前回(第12回)はこちら 2008年9月14日の朝、私たちはブリズベン空港で成田から

【Review】一青妙・窈姉妹の自伝的演劇「時光の手箱」を観る text 吉田悠樹彦

一青妙・窈姉妹についてのドキュメンタリー演劇が台北で初演 ドキュメンタリー演劇という言葉がある。ドキュメンタリー演劇は歴史や事実を構成していく演劇として近年再注目をされているが、多文化・多言語社会を生きる人たちが、自らの

【Interview】声なき声に祈りを、更生施設から放たれる少女たちの静かな叫び――『少女は夜明けに夢をみる』メヘルダード・オスコウイ監督インタビュー text 柴垣萌子

『少女は夜明けに夢をみる』は、メヘルダード・オスコウイ監督が2016年に制作したドキュメンタリー作品である。 これまでも、イランのケシャム島で厳格な宗教規則と共存する女性を写した『THE OTHER SIDE OF TH

【Interview】「想像」を駆使して世界と向き合うこと――『ドリーミング村上春樹』ニテーシュ・アンジャーン監督インタビュー text 若林良

  「これは責任と名誉の問題です。どんなに気が進まなくても、みみずくんに立ち向かうしかないのです。もし万が一闘いに負けて命を落としても、誰も同情してはくれません。もし首尾良くみみずくんを退治できたとしても、誰も

【Review】翻訳家のからだを通じて“ハルキ・ムラカミ”を旅するロードムービー『ドリーミング村上春樹』 text 大内啓輔

『ドリーミング村上春樹』(原題はDREAMING MURAKAMI)と日本語で名付けられたこの映画には、村上春樹その人は登場しない。私たちは、デンマークで流通する村上春樹の小説のほとんどの翻訳を手がけているという、ひとり

【連載】ワカキコースケのDIG!聴くメンタリー 第32回 『実音 日大闘争の記録』

「ワカキコースケのDIG!聴くメンタリー」第32回 日大全共闘の闘争は、ふつうの学生が声を上げたことで学生運動のピークとなった。 彼らの純粋さをダイレクトに収録した青春の記念碑盤。 日大闘争とはなんだったのか みなさん、

【連載】ドキュメンタリストの眼 vol.23 タル・ベーラ(映画監督)インタビュー text 金子遊

ハンガリーが生んだ孤高の映画作家タル・ベーラ。日本では『ヴェルクマイスター・ハーモニー』(二〇〇〇年)や『倫敦から来た男』(二〇〇七年)といった代表作が公開されているが、初期の作品はまだ未紹介になっている。二〇一一年に完