【Review】孤独だったそれぞれの時間、響き渡る夜明けの声ーー『東京組曲2020』 text 井河澤智子
あの頃、あなたは、どう過ごしていましたか── 新型コロナウィルスの流行により、「普段の生活」が失われたあの頃。 「新しい生活様式」という旗印の下、人々は集うことも語り合うことも、触れ合うことも顔を見せることもない生活を送
【Review】すぐそばにある「わからなさ」ーー『上飯田の話』 text 若林良
上飯田の話、というタイトルを事前知識なく聞いてまず推測したのは、「“上飯田さん”なる人物の話か」ということだった。たとえば、上飯田太郎さんとか、上飯田花子さんとか。いや、もうちょい今風に、かつジェンダーレスなネーミング
【連載】ドキュメンタリストの眼vol.28 アレクサンドル・ソクーロフ監督インタビュー text 金子遊
7年ぶりにソクーロフの監督作が上映されると聞き、2022年秋の東京国際映画祭に観に行った。劇映画もドキュメンタリーもジャンルに縛られることなく、多作で知られてきた映画作家にしては随分と間があいた印象だった。作品は期待を裏
【Interview】必要なのは〈empathy〉の力です――『トリとロキタ』 ダルデンヌ兄弟×山口由人
新作『トリとロキタ』の公開を控え、6年ぶりに来日したジャン゠ピエール&リュック・ダルデンヌ(ダルデンヌ兄弟)。一般社団法人Sustainable Gameを設立し、現在も個人の活動として入国管理局に収容されているビザが取
【News】「ドキュメンタリー叢書」新刊『ダルデンヌ兄弟 社会をまなざす映画作家』刊行!
neoneo編集室が刊行する「ドキュメンタリー叢書」の第三弾、『ダルデンヌ兄弟 社会をまなざす映画作家』が4月5日より書店発売開始となります。 ※『トリとロキタ』上映館のヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ
【Review】映画を超えたまなざしーー『DAYS』text 伊東朋香
2022年12月に開催した第5回東京ドキュメンタリー映画祭では、常駐のスタッフ以外でもさまざまなボランティア・インターンの方のご尽力をいただいた。観客対応やSNSの更新のほか、上映作品の中から作品を選定し、それぞれ批評を
【Review】対話鑑賞で広がる世界ーー『目の見えない白鳥さん、アートを見にいく』 text 金澤朋香
2022年12月に開催した第5回東京ドキュメンタリー映画祭では、常駐のスタッフ以外でもさまざまなボランティア・インターンの方のご尽力をいただいた。観客対応やSNSの更新のほか、上映作品の中から作品を選定し、それぞれ批評を
【Review】中国の農村を感じとるためにーー『小さき麦の花』と近年の中国ドキュメンタリー映画をめぐって text 鈴木将久
昨年2022年の9月頃、中国で一本の映画が話題になった。『小さき麦の花』(原題『隠入塵煙』)と題された映画であった。甘粛省の貧しい農村を舞台として、村人から忘れられた存在であった二人の男女が結婚し、静かに愛を育んで生活
【Review】マエルストロム(大混乱)との対峙ーー『マエルストロム』 text 伊東朋香
2022年12月に開催した第5回東京ドキュメンタリー映画祭では、常駐のスタッフ以外でもさまざまなボランティア・インターンの方のご尽力をいただいた。観客対応やSNSの更新のほか、上映作品の中から作品を選定し、それぞれ批評を
【Interview】「日々のできごと」として”魚市場の閉場”を撮る 『浦安魚市場のこと』歌川達人監督
千葉県浦安市といえば、東京ディズニーランドのある街として有名だが、半世紀前までは、東京湾に面した漁師町で、山本周五郎の「青べか物語」の舞台(のちに映画化)にもなったことはご存知だろうか。映画『浦安魚市場のこと』は、その象
【Report】中国ニューシネマのあるトレンド text 王穆岩
2022年9月から11月にかけ、シアター・イメージフォーラムでの上映を皮切りに、第36回イメージフォーラム・フェスティバル(IMF)が行われた。「アンダーグラウンドを再想像する」と題され、「“アンダーグラウンド”という言
【Review】胡波の短編映画について text 佟珊
2022年9月から11月にかけ、シアター・イメージフォーラムでの上映を皮切りに、第36回イメージフォーラム・フェスティバル(IMF)が行われた。「アンダーグラウンドを再想像する」と題され、「“アンダーグラウンド”という言
【Interview】既成の枠を越えてジョナス・メカス×吉増剛造に迫る――『眩暈 VERTIGO』 井上春生監督インタビュー
前衛映画界を牽引したジョナス・メカスが亡くなって1年後、2020年1月のニューヨーク。メカスと長年にわたり深く親交をかさねた詩人吉増剛造がマンハッタン、ブルックリンをおとずれ、メカスゆかりの地を巡る旅をとおし、ジョナス・
【TDFF特別Review】閉店の先にも希望はある――『ポラン』text 井上健一
「役割を終わったものは、ぐるぐるぐるぐる回るんですよ。物事は巡らなくちゃいけない。循環しなくちゃいけない」 これは、ドキュメンタリー映画「ポラン」の中で2021年2月に店舗の営業を終了した古本屋「ポラン書房」の店主・石田
【TDFF特別Review】“歴史戦”との闘い最前線――『標的』text 松崎まこと
「反日」そして「歴史戦」。こうした言葉が、いつしか頻繁に、耳に入ってくるようになった……。 そんなご時世に、思い描いていたライフプランが、一瞬にして灰燼に帰した男がいる。本作『標的』の主人公、植村隆だ。 朝日新聞記者
【TDFF特別Review】映像の官能性と物語性について――『私はおぼえている:竹部輝夫さんと中津の記憶』text 寺本郁夫
10人の鳥取の古老たちが幼少時からの思い出を語る224分に及ぶ波田野州平監督の連作『私はおぼえている』の一篇。老人の語る姿を正面からのカメラがひたすらに見据える。そんな映画に、なぜこれほど目を凝らして見入ってしまうのか。
【Interview】パンキシ渓谷は「世界の縮図」――『アダミアニ 祈りの谷』竹岡寛俊監督インタビュー
今年で5回目を迎える東京ドキュメンタリー映画祭が12月10日(土)〜12月23日(金)まで新宿K’s cinemaにて開催される。今年は2週に拡大。 この度、東京ドキュメンタリー映画祭2022の長編コンペティション部門に
【連載】ドキュメンタリストの眼vol.27 ツァイ・ミンリャン(蔡明亮)インタビュー text 金子遊
2022年の東京国際映画祭と東京フィルメックスでは、コロナ禍のなか、久しぶりに海外から審査員や監督たちを迎えることになった。その社会の流れを見越したかのように、両映画祭では異例の「ツァイ・ミンリャン監督デビュー30周年」
【Interview】なぜ、オーストラリア人の私が「東京大空襲」を選んだのか――『ぺーパー・シティ』エイドリアン・フランシス監督インタビュー
今年で5回目を迎える東京ドキュメンタリー映画祭が12月10日(土)〜12月23(金)まで新宿K’s cinemaにて開催される。今年は2週に拡大。 この度、東京ドキュメンタリー映画祭2022の長編コンペティション部門にノ
【News】東京ドキュメンタリー映画祭2022 予告編&各コンペ部門のプログラマーのインタビュー解禁!
今年で5回目を迎える東京ドキュメンタリー映画祭が12月10日(土)〜12月23日(金)まで新宿K’s cinemaにて開催される。今年は2週に拡大。 今年も「短編」「長編」「人類学・民俗映像」の各コンペティション部門の厳
【News】「現代アートハウス入門 ドキュメンタリーの誘惑」 2022年10月22日(土)より、ユーロスペースほか全国順次開催!
ミニシアターという呼称で1970年代から親しまれてきた「アートハウス」は、世界中の映画と刺激を求める観客が出会う場所であり、未来の映画作家のみならず、さまざまな芸術に関連した人材を育む温床としての役割を担ってきた。その「
【Review】世界の「背」に触れるために――七里圭『背 吉増剛造×空間現代』レビュー text 板井仁
部屋の窓が映しだされている。この部屋は、石巻のホテルニューさか井206号室《roomキンカザン》であり、その向こう側に見えるのは、震源地にもっとも近い島であるという金華山である。窓ガラスには、文字や線が書かれ/描かれ、