ノーベル文学賞作家川端康成の短編3作品が、日本と台湾出身の演出家3人によって舞台化される。日本・台湾・中国のキャストがそれぞれの作品を演劇・舞踏作品で川端の小説の世界に命を吹き込む。
小劇場界で根強い人気の岸田國士戯曲賞受賞劇作家ノゾエ征爾が演出するのは『片腕』。若い娘の片腕と男の一晩の物語を、中川晴樹(ヨーロッパ企画)・菊沢将憲・南京出身の陳元元(チン・ジェン)が演じる。ノゾエは、「小説を立体に起こすこと自体、ある種の冒涜とも思うが、この素晴らしき『片腕』に対しても最大限の敬意をもって最高の冒涜ができたら」と意気込む。
台湾・上海・北京で京劇風現代劇の演出家として活躍する劉亮延(リウ・リャンエン)は寺山修司の研究者でもある。川端が少年の同性愛の恋愛体験を綴った絶版小説『少年』の脚本・演出の指揮を劉が執り、主演は dumbtype出身のダンサー川口隆夫が務める。劉は「同性愛者であることを 50歳で暴露した川端の感情を日本の観客と共有するのが楽しみ」と話す。
また、妊娠できない夫人のある一日の意識の流れが美しく書かれた『水晶幻想』は大駱駝艦無尽塾出身の山縣美礼が演出・振り付け、台湾最古の現代舞踊団雲門舞集(Cloud Gate Dance Theatre) 出身のダンサー卓庭竹(チョウ・ティンチュ)が舞う。「小説の中に留めるにはもったいない川端の文章が身体をどう動かすか」を⼭縣が試みる。
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舞台美術は昨年東京ワンダーサイトのレジデントアーティストとして来日し 2013 年に台湾文化局のグランティーとして NY に滞在した台湾人美術家の羅智信(ロー・チューシン)が担当し、音楽は Golden Melody Award 受賞者の台湾人作曲家 Blaire Ko が担当する。
日本と台湾は 50 年間の統治者・植民地の歴史関係がありながらも、台湾では日本文化の人気が高く川端の小説も広く知られる。演出の山縣・劉・ノゾエは 2010に東京都が開催した「アジア舞台芸術祭」に参加した際に出会い、2012 年に本企画をカンパニーとして開始。
2012 年以来『片腕』『少年』『水晶幻想』の創作と試演が牯嶺街(グーリンチェ)小劇場、台北市中学校、森下スタジオ等で行われており、今回の本公演ではその 3 作品が集結し同時上演される。今後は上海・台北にツアー予定。
|出演者・スタッフ
『片腕』
演出・脚本:ノゾエ征爾
出演:中川晴樹(ヨーロッパ企画)、菊沢将憲、陳元元
プロデューサー:山縣美礼
舞台監督 宮田公一
照明:森規幸(balance, inc.)
ノゾエ征爾 Seiji Nozoe
劇作家・演出家・俳優。はえぎわ主宰。空間と演者を最大限に生かした、シュールで大胆な演出が魅力 。これまで20作品以上の演出を手掛け、アジア舞台芸術祭、静岡舞台芸術センターのほか外部での演出も多数。『〇〇トアル風景』が第 56 回岸田國士戯曲賞を受賞。
中川晴樹 Haruki Nakagawa
俳優。愛知県県出身。2000 年よりヨーロッパ企画の全作品に出演。映画「鍵泥棒のメソッド」、舞台作品はカンパニーデラシネラ・小野寺修二演出「NORA」「カルメン」などに出演。他、ドラマ、CM でも活動。
陳元元 Jane Chen
女優。中国南京出身。南京大学演劇科講師・演劇文学修士課程在学中・南京芸術学院講師。現代劇の作品に多く出演し出演作に『The Thunderstorm』『金色夜叉』『かもめ』、劉亮延演出『Blanche』など。
菊沢将憲 Masanori Kikuzawa
俳優、ダンサー。北九州市門司出身。1995 年「空間再生事業 劇団 GIGA」に入団し、俳優・劇作家・演出家として活動。 2003 年に主演映画「815」がバンクーバー国際映画祭にて審査員特別賞を受賞。 現在はフリーの俳優として、野田秀樹・西田シャトナー・江本純子・黒田育世・矢内原美邦・黒沢美香・康本雅子の作品に出演。また、映像監督作品「親父と俺、ただ面白く生きる也。」で日韓ムービーアワード 2009/日韓海峡圏映像賞を受賞する。2013年野田秀樹作品『エッグ』『MIWA』に出演。
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『少年』
演出・脚本:劉亮延
出演:川口隆夫
音響:井上直裕
劉亮延 Liang Yen Liu
劇作家・演出家。李清照私人劇団主宰。これまで 14 作品の演出を手がけ、京劇と寺山修司の影響を受けた作風が定評。代表作品『曹七巧』を台北、北京、上海、四川で上演。今回がアジア舞台芸術祭、Asian Cultural Council の招聘に続き3度目の来日。
川口隆夫 Takao Kawaguchi
ダンサー。大学時代よりパントマイムを基礎としたムーブメントシアターのテクニック、<ミーム>を学ぶ。その期間、台詞芝居からパフォーマンスやダンスまで、幅広く活動する。1990 年よりダンスカンパニー ATA DANCEを共同主宰し、1996 年からはパフォーマンスグループ「ダムタイプ」に参加。2003 年以降は音楽とアートの領域をまたぐアーティストとのコラボレーションを行い、「ダンスでも演劇でもない、まさにパフォーマンスとしか言いようのない」作品を発表
している。その他に、1995~99 年まで東京国際レズビアン&ゲイ映画祭のディレクターを務める。また翻訳も手がけ、2003 年にはイギリスの映像作家デレク・ジャーマンの色に関するエッセイ『クロマ』を共同翻訳した。
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『水晶幻想』
演出・振付:山縣美礼
出演:卓庭竹
美術:羅智信
音楽:Blaire Ko
山縣美礼 Mirei Yamagata
舞踏手・演出家。アメリカで女優として活動後、大駱駝艦無尽塾と岩下徹から即興と舞踏を学ぶ。ポーランド、台湾、韓国、BeSeTo演劇祭などで作品を上演。ほかに NHK番組『プレキソ英語』『TOMORROW』の声優として活動中。
卓庭竹 Ting Chu Cho
ダンサー。モダンダンスを幼少より学び国立台湾芸術大学舞踊学科卒。90 年代より台湾の Cloud Gate Dance Theatre (雲門舞団)でダンサーとして活動、後に Cloud Gate 2 の振付師を務める。1999 年 Asian Cultural Councilの助成を受け NY に滞在。『水晶幻想』への出演は2010年に引退後初の出演作品となる。
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台湾・日本国際共同企画 川端康成三部作
2014年4月16日(水)-21日(月)
助成:セゾン文化財団 台北市文化局
協⼒:MY Promotion ヨーロッパ企画 酒井著作権事務所
提携: (有)アゴラ企画 こまばアゴラ劇場
|上演スケジュール ・チケット
全公演3作品上演 ★はアフタートークあり
4/16 (水) 19:30
4/17 (木) 15:00/19:30
4/18 (金) 19:30
4/19 (土) 13:00★/18:00★
4/20 (日) 15:00★
4/21 (月) 15:00
全席自由席 受付開始:開演40分前 開場:開演30分前
チケット料金: 前売 3300 円 当日 3800 円 学生 2800 円
チケット取り扱い・問い合わせ:http://www.kawabatatrilogy.org
|会場
こまばアゴラ劇場 http://www.komaba-agora.com
〒153-0041 東京都目黒区駒場 1-11-13
TEL 03-3467-2743 FAX 03-3467-2984