【Review】狂言回しのたらい回し――『The Death of Mr.Lazarescu /ラザレスク氏の死』 text 野本裕太

わが身になにかあったらどうなってしまうのだろう。 わが身になにかあったらというのも実に漠然とした口吻だがまさにそのことが不安というものの性質を反映した表現なのではなかろうか。ひとはなにもかもを如何様にも案ずることができる