【特別掲載】12/20公開『私の恋活ダイアリー』ニリ・タル監督に聞く

自らの60歳の”恋活”を描いた話題のドキュメンタリー映画『私の恋活ダイアリー』が、12/20よりヒューマントラストシネマ有楽町で公開される。公開に併せ、ニリ・タル監督がイスラエルから来日した。
60歳を超えた女性が自ら街に出て、カメラを持ちながらオトコを口説くのは、ただ事ではない。結末は映画をご覧になっていただきたいが、そのチャレンジの一端を、特別にインタビューで語っていただいた。
(文責・パンドラ)

——「このままずっとひとりではイヤだ、パートナーが欲しい」という思いには共感する人は多いと思いますが、日本人からすると自分自身の<恋活>を映画に撮るというのは思い切った行動だと思うのですが 、ご自身では抵抗はなかったのですか?

NT  実は、自分自身の恋活についての映画にしようとは思っていませんでした。

イスラエルの<恋活>をテーマにドキュメンタリーをつくろうと思って始めたプロジェクトで、イスラエルの恋活サイトで、10人ほどのイスラエル美人を選び、彼女たちに会って、その中から、さらに3人を選んで撮影を始めました。

中でもドリートは私と一緒にメキシコクルーズに参加もしています。ですが、かなりタイヘンなことでした。

それで、3、4日撮影した結果、自分を撮ろうと決めたわけです。

——この映画を撮ろうと思ったきっかけ、恋活しようと思ったきっかけを教えてください。

NT  ある晩1人で寝ていた時に、ふと「このまま1人なのかしら・・・」と思い立って始めました。

突然思い立って始めちゃうことって、誰にでもあるでしょう?

——この映画を撮影する中で、何が一番大変でしたか?

NT ドキュメンタリーで世間に自分の全てをさらけ出すということは、簡単なことではありませんでした。なぜなら、自分はもちろん、家族や孫も撮ることになるからです。

友人たちの中には心配する者もいましたし、勇気が必要でした。でも、最終的には家族や友人もよかったと言ってくれています。

——見知らぬ男性と会う中で、怖い体験はなかったですか?

カメラを自分で持って、1人で会いに行くことも多かったけど、メールや電話でも話していたし、撮影もOKをもらっているので怖くはなかったわ。

カメラなしで会いに行った時も危険な目に合ったことはなかったわ。

もちろん、いきなり家に行くようなことはしないで、パブリックな場所、カフェなどで会うようにしたしね。

でも、お城のような豪華な家に住んでいる男性に会いに行った時は、洗面台に剃ったヒゲや歯磨きの跡が残っていて興醒めして、さっさと帰ったことはあったわね(笑)

——撮影を断られた男性は?

NT   10人に断られました。

アメリカでは3人の男性と会って素敵なデートをして撮影もしたけれど、編集でカットしているので映画には登場しません。

そのような人たちもいます。

——映画に出てくれた中で最も印象に残った男性は?今でもお付き合いはありますか?

NT  何と言ってもベベル。友だちになりました。ギルとも友人付き合いをしています。また、エイラットはイスラエルの観光地に暮しているので、時折、彼を訪ねては素敵なベッドで、私は寝ています。

 ——あなたの友人たちは完成した映画を見ましたか?また、見た人の感想は?

NT  映画に出てくれた友人も、出なかった友人も皆この映画を好きになりました。

観客からあわれに見られるのでは、私が落ち込むのでは、と心配した人もいましたが、そんなことはありませんでした。ある晩、解決策に気づいたからです。ユーモア!自分自身を笑い飛ばすのだ、と。どの人も人前にさらされるのは、実は、好きなのでないでしょうか。

——英題” Sixty and the City”は面白い発想だと思うのですが、どうして付けたのですか?

NT 息子(法律家で実業家でもある)が、「これだ!」と言ったのです。

“Sex and the Sixty”と” Sixty and the City”の2案出ましたが、後者にしました。

——次回作は?

NT 『私の恋活ダイアリー』完成後、2本作っています。拒食症の若い女性についてのドキュメンタリー“Anna my love”と、『ウクライナの花嫁 パート4』。今は、“The cult”という新作を編集中です。

——この映画を製作して、自分自身に変化はありましたか?

NT  特に変化はなかったわ。

ただ、ひとつわかったのは、私と同じように出会いやパートナーを探している人がたくさんいて、“自分は1人じゃない”と気づいたことかしら。

——この映画をどんな人に観てもらいたいですか?

NT 私の年代よりももっと若い方、20~30代の男女にも見てほしいと思っているわ。

ただ、子ども用の映画でないことは確かね(笑)

——日本の皆様に、この映画をどのように見ていただきたいですか?

NT 「恋活しましょう!」という真面目な話しではなく、クスッと笑いながら気軽な気持ちで見ていただければ嬉しいです。

【監督プロフィール】

ニリ・タル Nili Tal

結婚し、二児をもうけるが、同じ相手と再婚と離婚を繰り返し、現在は独身で孫が8人。
イスラエルで新聞記者として働いた後、TV局Channel 1でレポーター兼ディレクターとして、ルポルタージュ、ドキュメンタリー映画を撮る。本作にて劇場映画デビュー。現在は自身のプロダクションで、ドキュメンタリーを製作している。


(2010年/イスラエル映画/カラー/70分)

12月20日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町にて公開!!
12月27日(土)名古屋シネマスコーレ、1月24日(土)シネ・リーブル梅田 他 順次全国公開

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