『へばの』連続上映2014 Space & Café ポレポレ坐
Vol.1 わたしたちはいま、“原発”についてなにから語るのか
『へばの』×『祝の島』
青森県六ヶ所村。日本全国の原発の使用済み燃料を再処理し、新たな燃料を抽出する―核燃料再処理工場。「原子力の新しい次の時代」へ向け、本格稼動しようとしていた2006年。しかし試験段階で、数名の被曝労働者を人知れず出していた。映画『へばの』(2008)は、この再処理工場の稼動を控えた、六ヶ所村全体の光景を観たスタッフたちの思いをできるだけそのままに、そこから生まれ育つ次の家族の物語を紡ごうとした映画である。第32回カイロ国際映画祭・デジタル部門シルバー・アワード、第38回ロッテルダム国際映画祭をはじめとした上映、2009年ポレポレ東中野での1ヶ月公開を皮切りとして、2013年まで映画館、ギャラリー、公民館、大学など場所を問わず、上映を続けてきた。
その『へばの』を2009年来、時期を長期に据えて―東京で、定期上映を行う。
「2011年」という原子力について本国の立ち位置が変わってしまった分岐点を経て、『へばの』を媒介に各回ごとのゲスト、併映作品を通じて“いま”を考える。
Vol.1は『祝の島』(2010/監督:纐纈あや)とのカップリング上映。東日本大震災以前、「日本最後の原発立地」が目前とされるなか―それでも果敢に、28年間の地元の反対運動により原発を建てさせなかった、祝島(いわいしま)。その島全体を2年半に渡って取材し、写し出したドキュメンタリー映画とスタッフ達と対峙し、「わたしたちはいま、“原発”についてなにから語るのか」を改めて見つめる。
トーク後は『へばの』続編となる―現在目下、撮影中の『息衝く』(木村文洋監督/桑原広考・中植きさら プロデューサー)特報映像も、初上映。
監督・脚本:木村文洋 プロデューサー:桑原広考 協力プロデューサー:木村岩夫
出演:西山真来/長谷川等/工藤佳子/吉岡睦雄
撮影:高橋和博 照明:吉川慎太郎 録音:近藤崇生 メイク:増田加奈
助監督:成冨佳代/梶原由貴子 音楽:北村早樹子
主題歌 密のあはれ(「おもかげ」より)
製作・配給:team judas
青森県六ヶ所村。そこに住む紀美は、再処理工場で働く治との結婚を間近に控えていた。創設から工場に携わっている父・大樹(だいき)と親子二人で暮らしてきた紀美は、治と新しい家庭を築いていくことにささやかな幸せを感じていたのだった。
ある日、治は作業中にプルトニウムの内部被曝に襲われる。大樹は二人の間に生まれるであろう子供に、被曝による影響が出ることを案じて、二人が結婚することを反対する。紀美はそれでも治と一緒にいることを願うが、紀美の想いを打ち砕くようにして、治は突然姿を消してしまう。
三年の月日が経ち、紀美は静かに生活していた。その周囲で、突然治が戻ってきたという噂が囁かれる。それを聞いた紀美は、あてもなく治のことを探しに出てしまうのだが……。
監督:纐纈あや プロデューサー:本橋成一
撮影:大久保千津奈 編集:四宮鉄男 音響設計:菊池信之 デスク:中植きさら
1000年前、沖で難破した船を助けたことから農耕がもたらされ、 子孫が栄え、現在に至るまでいのちをつないできた小さな島がある。
山口県上関町祝島。瀬戸内海に浮かぶこの島は、台風が直撃することも多く、岩だらけの土地には確保できる真水も限られ、人が暮らしやすい環境とは決していえない。その中で人々は、海からもたらされる豊穣な恵みに支えられ、岩山を開墾し、暮らしを営んできた。そして互いに助け合い、分かちあう共同体としての結びつきが育まれた。人間の営みが自然の循環の一部であることが、祝島でははっきりと見える。「海は私たちのいのち」と島の人は言う。1982年、島の対岸4kmに原子力発電所の建設計画が持ち上がった。「海と山さえあれば生きていける。だからわしらの代で海は売れん」という祝島の人々は、以来28年間反対を続けている。
1000年先の未来が今の暮らしの続きにあると思うとき、私たちは何を選ぶのか。いのちをつなぐ暮らし。祝島にはそのヒントがたくさん詰まっている。
『へばの』連続上映 Space & Café ポレポレ坐
Vol.1 わたしたちはいま、“原発”についてなにから語るのか
『へばの』×『祝の島』
【日時】2014年2月28日(金)
【開場】18:00
【開映】18:30-『へばの』
20:00-『祝の島』
21:45-上映後、トークショー
ゲスト:纐纈あや(『祝の島』『ある精肉店のはなし』監督)
杉田俊介(『無能力批評』・『息衝く』協同脚本)
中植きさら(『祝の島』デスク・『息衝く』プロデューサー)
木村文洋(『へばの』・『愛のゆくえ(仮) 』・『息衝く』監督)
※トーク後、映画『息衝く』特報 初上映
【場所】Space&Cafe ポレポレ坐
東京都中野区東中野4-4-1 ポレポレ坐ビル1階
TEL :03-3227-1405
【料金】当日1,800円/予約1,500円
【予約・問い合わせ】090-4395-4852(担当:高橋)
Email:ikiduku@gmail.com