みつばちがいま、世界各地でいなくなっていることを知っていますか?
大昔から花粉を交配し、地球の生命を育んできたミツバチが、現在、大量にいなくなっている。スイスのイムホーフ監督は世界中を旅して、その実情を取材し、原因を徹底して探究した。驚くべき最新の撮影技術を駆使して作られた傑作ドキュメンタリー『みつばちの大地』(配給:シグロ)が5月31日(土)より、岩波ホールほかにて公開される。
大昔からミツバチは植物の花粉を交配し、地球上の生命を育んできた。人間もその恩恵を受けており、毎日の食卓を彩る野菜や果物など、私たちが口にしている食物の30%はミツバチによって受粉されている。しかし現在、ミツバチが大量に死んだり、失踪したりする現象が世界中で起きている。ミツバチはなぜ消えたのか?本作はスイス、アメリカ、ドイツ、中国、オーストラリア、世界各地をめぐりその実情を丁寧に取材。
最新技術を駆使し、巣箱内の様子や飛行中に行われる女王蜂の交尾などミツバチの知られざる生態を明らかにするとともに、人間の活動が治癒の多様な生命のみならず自らの存在もおびやかしている現実を紡ぎ出す。それらは鋭い文明批評でもあり、小さな「いのち」を通して、自然と人間の持続可能な関係を問いかける必見のドキュメンタリー!!
みつばちが消える=人間の食料問題に直結する
大昔からミツバチは、植物の花粉を運び、地球上の生命を育んできた。人間もその恩恵を受けており、毎日の食卓を彩る野菜や果物など、私たちが口にしている食物の三分の一は、ミツバチが受粉している。みつばちがいなくなることは、人間にとって食料の安定供給を揺るがす問題である。
最新映像を駆使した、みつばちの知られざる生態に迫る驚異的なマクロ映像
このドキュメンタリーの大きな魅力は、ミツバチの驚くべき生態を見事にとらえた、実写のマクロ映像にある。イムホーフ監督は、本作の主役ともいえるミツバチの撮影のために、専用のスタジオを用意。女王蜂誕生の瞬間やミツバチのダンスなど、普段は目に触れない巣箱内の様子を捉えた。そしてコロニーが一つの生命体として機能するミツバチの驚くべき知能と社会性を映像で明らかにした。また、ミニヘリコプターや無人偵察機に小型カメラを設置して、飛行中に行われる女王蜂の交尾を撮影。生命のダイナミズムを感じさせる映像は映画のハイライトとなっている。
みつばちが消える原因は、農薬だけではない。
日本では、みつばちが消える原因を農薬ネオにコチノイドとする論調を多く目にする。しかしながら、本作では世界各地を旅し、疫病、長距離移動のストレス、電磁波、みつばちの家畜化など、原因は、環境によって異なり、一つに特定できないことを浮き彫りにしていく。
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『みつばちの大地』 MORE THAN HONEY
マークス・イムホーフ監督作品
2012年/ドイツ・オーストリア・スイス
ドイツ語・英語・中国語/91分/カラー
公式サイト http://www.cine.co.jp/detail/0122.html
★5月31日より、岩波ホールほか全国順次ロードショー