「住むこと」とは? 「土地」とは?
震災後に「住むこと」の確信を得るための演劇による思考
演劇カンパニー「かもめマシーン」(東京都江東区白河 3-8-13-405 主宰:萩原雄太)では、2014 年 4 月に、新作公演『ニューオーダー』を上演する。
2011 年に上演した『福島でゴドーを待ちながら』は、米・ウォール・ストリート・ジャーナルでの紹介をはじめ、イタリ
ア・ローマ演劇博物館の展覧会『Waiting for Godot today?』での展示がなされたほか、2014 年 4 月 22 日から開幕する早稲田大学演劇博物館『サミュエル・ベケット展 ―ドアはわからないくらいに開いている』での展示も予定されている。また、オーストリアのノーベル賞作家・エルフリーデ・イェリネクの戯曲『雲。家。』の上演や、愛知県文化振興事業団が主催する『第 13 回 AAF 戯曲賞』を受賞するなど、注目を集め始めているカンパニーだ。
今回の舞台は、震災後の「土地」をテーマにした新作公演。東日本大震災とそれに伴う原発事故は、「どこに住むか」ということを、日本人に考えさせる契機となった。この舞台を上演することによって、「住むこと」「土地」に対する思考のきっかけを観客に与えようとしている。
東京公演に先立って開催された北九州公演では、演劇ファンやアートファンなどが多数来場し、終演後に開催された座談会でも活発な議論が行われた。
―
|作・演出 萩原雄太 コメント
下記コンセプトにも掲載したとおり、今回の作品は、とても個人的な理由からつくられています。僕は、東京という街に暮らしていますが、震災後、どうしてここに住んでいるのかわかりません。ここに住んでいることに対して、なんとなく不安になりながらではなく、確信のようなものを持って住みたいと思い、この作品を創作しました。
けれども、はたして、どれだけの人がその土地を選び、その土地に暮らしているのでしょうか? 住むとは、いったいどういうことでしょうか? それは、東京の人々だけでなく、震災後の日本人に否応なくつきつけられた大きなテーマのように感じます。
―
|かもめマシーン
2007 年より東京都を中心に活動。カンパニー名はチェーホフの「かもめ」とハイナー・ミュラーの「ハムレットマシーン」に由来する。2011 年に福島県双葉郡広野町で行った路上劇『ゴドーを待ちながら』は、The Wall Street Journal やイタリア・ローマ演劇博物館の展覧会『Waiting for Godot today?』でも取り上げられ注目を集める。近作に AAF 戯曲賞を受賞した『パブリックイメージリミテッド』(2012 年・下北沢・小劇場楽園)、『雲。家。』(エルフリーデ・イェリネク作、2011 年・銀座・若山美術館)、『スタイルカウンシル』(2013 年・ST スポット横浜)など。
|公演概要
かもめマシーン『ニューオーダー』
東京公演 北品川・フリースペース楽間
2014 年 4 月 25 日(fri)~29 日(tue)
コンセプト
少なくない数の人が、東京を離れていった。けれども、僕は東京を離れるという選択をすることができなかった。なぜできないのかと問われれば、さまざまな理由がある。僕も、僕の妻も東京で仕事をしているし、多くの友達や知り合いが東京に暮らしている。決して住みやすいとは言えないが、便利だし気楽だ。「安全」と言われる場所には、頼れる親戚も友達もいなかった。
けれども、それらは、本当の理由なのだろうか?
「なぜ、ここに住んでいるのか」を、3 年前からずっと考えているような気がする。そして、考えれば考えるほど、その理由のなさにイライラしながら、それでも僕はこの街に住んでいる。それは、住んで「しまって」いると言い換えてもいい。
いったい、どれくらい危険だったら、僕はこの街を捨てるのだろうか?
あらすじ
夜行バスのターミナルは、かつて浄水場を埋め立てられてつくられた。
そこに、アヤメという女性がいる。
彼女はその国の最も大きな都市で育った。
彼女は今もその都市で暮らし、そして、バスターミナルにいる人々を眺めている。
アヤメにはカホという幼なじみがいる。
妊娠して、彼女はこの街を「安全ではないかもしれない」と考えるようになった。
彼女は、西にある街へと引っ越していった。
ある夜のこと。アヤメの目の前で、1 匹の猫がバスに轢かれて、死んだ。
誰も、それに目を向けようとはしなかった。
アヤメはその猫を埋めてあげようと思った。
けれども、この都市には、猫を埋められるような土地は見つからない。
アヤメの脳裏にはカホの「安全じゃない」という言葉が引っかかっている。
アヤメは、猫を埋めるために歩き出した。
―
Cast
イグロヒデアキ 清水穂奈美 林弥生(海ガメのゴサン) 横手慎太郎(シンクロ少女)
Staff
作・演出 萩原雄太
照明 千田実(CHIDA OFFICE)
宣伝美術 藤井隆史
製作 かもめマシーン
―
会場
北品川・フリースペース楽間
〒140-0001 東京都品川区北品川1-28-11
http://www.rakuma.net/
公演日程
4 月 25 日(金) 19:30
4 月 26 日(土) 14:30/19:30
4 月 27 日(日) 18:30
4 月 28 日(月) 19:30
4 月 29 日(火・祝) 15:00
※受付・開場は開演の 30 分前
※全席自由席
チケット料金
前売 1800 円/当日 2000 円
チケット予約
①メール:kamomemachine@gmail.com
お名前/人数/ご来場日時を明記の上、上記アドレスまでご連絡ください。
3 日以内に折り返し予約確認のメールを差し上げます。
②予約フォーム:https://ticket.corich.jp/stage/apply.php?sid=53248&sdn=1
―
|お問い合わせ
かもめマシーン制作部
〒135-0021 東京都江東区白河 3-8-13-405
090-2480-9434(ハギワラ) kamomemachine@gmail.com
https://sites.google.com/site/kamomemachine