【News】7/19より公開『ほんとうのうた〜朗読劇「銀河鉄道の夜」を追って〜』

©朝岡英輔

あの日を忘れないように──
震災後、宮澤賢治の声を手がかりとして、小説家・古川日出男と仲間たちが見つめ続けた世界。彼らの旅を、カメラが追った2年間。

2011年12月24日、朗読劇「銀河鉄道の夜」が誕生した。 古川が賢治のヴィジョンを震災後の視点から戯曲化した「銀河鉄道の夜」。詩人・管啓次郎、音楽家・小島 ケイタニ―ラブ、翻訳家・柴田元幸と共に作り上げた声の舞台は、東北をはじめ全国各地をめぐり、土地ごとの変容をとげました。失われた人々の鎮魂と、未来への希望。みえない力に導かれた4人のケミストリー、どこまでも続く線路の旅に伴走するロード・ドキュメンタリーです。

監督は、2年間に渡り彼らの旅を追った河合宏樹。独自の視点で切り取ったドキュメント映像、出演者のインタビュー、そして、そこに朗読劇の観客の一人である女優・青柳いづみが、彼らの訪れた東北の土地を裁縫する”新たな視点としてが加わります。レールに導かれるように乗車し、その土地で賢治を朗読する彼女を通して、銀河鉄道が土地から受け取ったメッセージをみつめます。 今春、<東京国際文芸フェスティバル2014>での先行プレミア上映で満場の大喝采をうけた本作が、新たなレールを走り出します。

©朝岡英輔

古川日出男(ふるかわ・ひでお)

1966年生まれ。小説家、ただようまなびや学校長。主な著書に『馬たちよ、それで も光は無垢で』(新潮社)、『LOVE』(新潮文庫、三島由紀夫賞)、『ベルカ、吠えない のか?』(文春文庫)、『アラビアの夜の種族』(角川文庫、日本推理作家協会賞・日本 SF大賞)、『聖家族』(新潮文庫)、『南無ロックンロール二十一部経』(河出書房新社)。 CDブック『春の先の春へ 震災への鎮魂歌/古川日出男、宮澤賢治「春と修羅」を読 む』など、文学の音声化にも積極的に取り組む。最新作は蜷川幸雄が演出した戯曲の 完全版『冬眠する熊に添い寝してごらん』(新潮社)。

僕たちは「流れ去るもの」に向きあってきた。僕という一人の小説家にできるのは、ひたすら瞬間瞬間に切実に反応することだけだった。なのに河合宏樹という監督が、それを連続するものとして記録した。 その驚き。 こんなことを言葉に(文字に、声に)していいのか判断がつかないのだが、僕は、あの波濤によって何もかも「流れ去ったもの」になったわけではないのだなと感じた。この『ほんとうのうた』を観て感じた。あれらは過去ではない。そして、過去にしてしまえる物事でもないと。そのことを強く思う。

監督:河合宏樹 (かわい・ひろき) 

映像制作を主軸に、イベントの企画制作を行う自由展開型プロジェクト「Pool Side Nagaya」主宰。 学生時代より自主映画を制作、様々なミュージシャン、パフォーマーなどの撮影を続け、記録映像だけ ではない「映像作品」を制作。2007年より古川日出男を追い続ける。近年は飴屋法水の活動も追っている。 http://poolsidenagaya.com/

いい大人四人が汗水たらして、見えない何かに向かって本気でぶつかっていく── 震災以降、耳を塞ぎがちだった気持ちが変わった。もっとおおきな声に耳を澄まそう、と。 それは、子守唄に近いと思う。赤ん坊をあやそうと自然と口から出る、あのうた。 この映画は、ただのドキュメントではなく、僕なりの朗読劇「銀河鉄道の夜」への答えです。

©朝岡英輔


 【映画情報】

『ほんとうのうた~朗読劇「銀河鉄道の夜」を追って~』

2014/100分/カラ―/デジタル/16:9

古川日出男 管啓次郎 柴田元幸 小島ケイタニーラブ

監督:河合宏樹
撮影:森重太陽、新見知哉、渡邉有成、近江浩之、瀬川功仁
音楽:小島ケイタニーラブ  主題歌:ANIMA「サマーライト」(WEATHER/HEADZ)
製作・宣伝:浦谷晃代(Diet Chicken)
宣伝美術:牧寿次郎
WEB:仮屋千映美
協力:朗読劇「銀河鉄道の夜」実行委員会、SUNNY BOY BOOKS 、B&B
配給:Diet Chicken & Pool Side Nagaya

 milkyway-railway.com/movie/ 

 写真:©朝岡英輔

7月19日より、ユーロスペースほか全国順次公開
二週間限定 連日21:00

【関連情報】

朗読劇「銀河鉄道の夜」2014夏の東京特別公演

http://milkyway-railway.com

旅する「銀河鉄道」が東京にやってきた。7月20日、お茶の水。 空いちめんの星が降る。

2011年3月11日のできごとをきっかけとして走り出した朗読劇 『銀河鉄道の夜』。傷ついた土地「東北」への思いをこめて、ハルレヤの歌声が響きます。宮澤賢治の不朽の名作『銀河鉄道の夜』を古川日出男が脚本化。小島ケイタニーラブによる主題歌と音楽、管啓次郎による劇中詩、柴田元幸による果敢なバイリンガル化とともに、類例のないまったく新しい表現形式が生まれました。東北各地 や西日本でのそれぞれの土地に即した公演の後、この規模の舞台は おそらく最初で最後です。ぜひお誘い合わせの上、ごらんください。

朗読劇「銀河鉄道の夜」2014夏の東京特別公演

7月20日(日)開場 14:30 / 開演 15:30 明治大学アカデミーホール (お茶の水)
出演:古川日出男、管啓次郎、小島ケイタニーラブ、柴田元幸

6月1日より、B&B 予約フォームにて前売予約スタート

http://bookandbeer.com/blog/news/milkyway-railway/ 

©朝岡英輔