「呼吸する影ーShadow of Bombed Treesー」
被爆樹木の影を直接感光紙で写し撮ったフォトグラムの作品展
現在、ヒロシマには170本の被爆樹木(The Bombed Tree)が存在します。
1945年8月6日のあの瞬間、爆心地から半径2km圏内で被爆した樹木。
今回、その樹木の影を、低感度の感光紙を用いて直接撮影しました。カメラを使わずに写真を撮影するフォトグラムの手法を選んだのは、樹木に今流れている「時間」をリアルタイムに、ダイレクトに感光紙に撮影したいと考えたからです。感光紙を遮光板の中に入れ、太陽を待つ。太陽がでたら遮光板を広げ、約15秒程露光。その間、風が吹き、枝が揺れるなら、その揺れも記録されます。その像をじっとみていると、まるで影が呼吸しているように感じられます。8月6日の、あの瞬間から現在までの「時間」を掬いとるイメージで撮影しました。また、フォトグラムは原寸で像が得られるため、季節により、枝、葉 の生長が感じられます。例えば、2012年8月のアオギリの葉と、11月の葉ではその大きさが異なり、11月の葉は、A3の感光紙からはみ出す程です。
被爆樹木を巡り撮影を続けていると、時間とともに変化する樹木の生命力に圧倒されます。爆心地側が原爆でケロイド状になっていたり、幹が空洞になっていたりする樹木が枝を伸ばし、葉を広げている姿に大きな感銘を受けました。当時の人々が焦土になった土地からも芽を出した被爆樹木を見て、生きる勇気を与えられたというエピソードもこの撮影をしていくにつれ、想像することが出来ました。
展覧会では、シダレヤナギ、アオギリ、イチョウ、ソテツ、クロマツなどの被爆樹木のフォトグラムを約20点展示。作品を通して、被爆樹木の存在を知ってもら うとともに、その生命力を感じてもらえれば幸いです。
浅見俊哉(Shunya.Asami)
1982年東京都葛飾区生まれ。
2004年より、「時間」や「記憶」をテーマに作品制作を行う。また制作者から鑑賞者への一方向のアートではなく、作品を通して相互に関わりの持てる「場」や「時間」をつくりたいと活動する。2008年に「人・アート・地域の関わりを生みだすスペース」KAPL(コシガヤアートポイント・ラボ)を埼玉県越谷市に設立。代表を務め「アートでできること」を模索する。アートプロジェクト、アートワークショップなどのフィールドワークを日々おこなうかたわら、自らの写真作品制作活動を活発に展開。 感光紙を用いて全身の影を撮影する「MAN-PRINT」、身近な影を探して写し取る「影をつかまえる」などの写真ワークショップ、水面の連続写真の上を歩いて作品を体感するワークショップなどを展開している。
【日程】
新宿ニコンサロン:2014年9月23日(火)〜29日(月)
10:30−18:30(最終日は15:00まで)
※ギャラリートークあり9月27日(土)13:00−14:00
大阪ニコンサロン:2014年11月20日(木)〜26日(水)
10:30−18:30(最終日は15:00まで)
【会場】
新宿ニコンサロン
〒163−1528
東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階ニコンプラザ新宿内
大阪ニコンサロン
〒530−0001
大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエストオフィスタワー13階ニコンプラザ大阪内
【お問い合わせ】shichizu@yahoo.co.jp
【ウェブサイト】http://asa19821206.wix.com/shunya-asami