【info】11/10〜16 七里圭監督特集上映『のんきな圭さん』 @新宿 K’ s cinema

フィクション、ドキュメンタリー、実験映画という枠を越える作品を発表してきた七里圭監督。新作短編『DUBHOUSE:物質試行52』(2012 年/16 分/35mm/ 共同監督:鈴木了二)を含む全12 作品を、11/10(土)~11/16(金)一週間限定、「のんきな圭さん」と題して新宿K’ s cinema にて一挙上映いたします!

2010 年の国立近代美術館における建築家・鈴木了二のインスタレーション「物質試行51:DUBHOUSE」を記録した『DUBHOUSE:物質試行52』。建築が生み出す闇を捉えるという当初の企画意図は、翌年3月11 日の出来事により決定的な変化を被ることに…。展示作品を撮影した光の部分と同じ時間の闇を冒頭に置き、その中に鈴木が描いた被災地のドローイングを沈めるという特異な作品へと変貌を遂げた本作は、〈フィルムの光〉が失われつつある現在において、極めて重要な意味をもつ映画作品であります。

そして、初公開から5年以上に亘って、実に10回以上ものアンコール上映を繰り広げているカルト的人気作『眠り姫』や、その『眠り姫』が生まれるきっかけともなった、同じ山本直樹原作による七里圭の傑作!監督長編デビュー作『のんきな姉さん』を35mm フィルムで上映します。

音響と映像のギリギリの関係性をめぐって、上映するたびに進化し続ける『ホッテントットエプロンースケッチ』も新しい〈サウンドリミックス版〉として東京初上映。その他、めったに観ることのできないような長編・短編の数々を集め、「のんきな圭さん」と題した特集で全12作品をスクリーンに投影します。貴重なトークショーも多数予定。

異才・七里圭による「今ここをどこでもない、映画そのものとしかいいようのない時空間へ変容させる、知的にして官能的な企み」、ぜひお楽しみください。

『DUBHOUSE:物質試行52』



【作品情報】

『DUBHOUSE:物質試行52』
※最新作

2012年/16分/35㎜
共同監督/鈴木了二 撮影/七里圭 高橋哲也 
カラー/牧野貴 音楽/池田拓実

2010年国立近代美術館における建築家鈴木了二のインスタレーション「物質試行51:DUBHOUSE」の記録映画。建築が生み出す闇を捉えるという当初の意図は、翌年3月11日の出来事により決定的な変化を被る。七里は、展示作品を撮影した光の部分と同じ時間の闇を冒頭に置き、その中に、鈴木が描いた被災地のドローイングを沈ませた。映画館は、闇を内在した建築である。その闇から浮かび上がろうとする映画は、映画館に放たれる光であると同時に、祈りであるかも知れない。七里の現時点での最新作は、メタ映画であり、歴史的出来事への応答でもある。

 

『のんきな姉さん』
2004年/87分/35㎜
原作/山本直樹 脚本/七里圭 撮影/たむらまさき
音楽/侘美秀俊 編集/宮島竜治
出演/梶原阿貴 塩田貞治 大森南朋 梓 佐藤允 三浦友和

姉との禁じられた愛の記憶を小説に書き、雪山で自殺しようとする弟と、聖なる夜にオフィスで残業する姉。その二人の現在に、記憶=小説がフラッシュ・バックされてゆく。雪山と都会、現在と過去という二つの空間、二つの時間が溶け合う瞬間、弟のささやく声は物語の全てを宙づりにする…。七里は長編映画デビューにあたって、敬愛する山本直樹の同名漫画を原作にし、その漫画の霊感源、唐十郎『安寿子の靴』、森鴎外『山椒大夫』までも射程に収めた。夢のような物語を綴る、淡い光とゆらめく影。貴重な35mmフィルムでの上映。


『眠り姫』

2007年/80分/DV
原作/山本直樹 撮影/七里圭 高橋哲也 
音楽/侘美秀俊

夢は、体が眠っているのに脳は活動している半覚醒状態に現れるが、冒頭、夜が朝へと移りゆくまどろみの時間を映し出す本作は、全編、夢の中の出来事かのように思わせる。ほとんど人の姿が映らず、声や物音など気配だけが画面を満たす。七里は再び山本直樹を原作に選んだが、この漫画は、幻聴を主題にした内田百閒『山高帽子』を下敷きにしている。公開からすでに6年、今もアンコール上映が繰り返される驚異のカルト映画。人々がなぜ、この作品に魅かれ続けるのか、それは観た者にしか分からない。

 

『ホッテントットエプロン-スケッチ〈サウンドリミックス版〉』※東京初上映
2006年/70分/DV
原案/新柵未成 撮影/七里圭 高橋哲也 
音楽/侘美秀俊 池田拓実 人形/清水真理
 
出演/阿久根裕子 井川耕一郎 ただてっぺい

隠れた場所に醜いアザを持つ少女は、ある日、ネズミ色のフードで顔まで覆った笛吹き男を見かける。笛の音色に引き寄せられるように、彼女は森の中の一軒家に迷い込む。そこには、自分と同じアザを持つ人形がいた。愛知芸術文化センターの「身体」をめぐる連続企画として製作された作品。原案の新柵未成は、『眠り姫』の「手」の出演者でもある。台詞の無いこの映画は、過去7回ライブ上映が開かれ、演奏の度に音楽は進化/深化している。今回はその音源を新たに加えたサウンドリミックス版による上映!

 

『夢で逢えたら』
2004年/20分/35㎜
撮影/高橋哲也 鈴木明彦 音楽/侘美秀俊 
編集/宮島竜治
出演/安妙子 大友三郎

 『のんきな姉さん』として撮影開始されたが頓挫し、それまで撮ったフィルムを全く別の短編として再構築したもの。現場環境が悪く同時録音を断念せざるを得なかったのを逆手に取り、効果音と音楽のみで構成。これにより、夢=どこでもない時空間が現れることになった。声が失われた世界での、ボーイ・ミーツ・ガール。欠如を抱えた映像として『眠り姫』、『ホッテントットエプロン』の原型であり、以後の長編を胚胎している重要な作品。「この映画でできたことと、できなかったことが、僕のすべて」とは、七里の言。必見。

 他、『マリッジリング』『Aspen』『Once More』『Untitled for Cindy』『七瀬ふたたび』(第9,10話)『独房X』『時を駆ける症状』を上映

【上映情報】

新宿 Ksシネマ:2012年11月10日(土)~11月16日(金)一週間限定

※各回定員入替制・整理券制
電話:03-3352-2471 
劇場HP:http://www.ks-cinema.com/

上映時刻と料金は、公式HPまたは劇場にお問い合わせ下さい。

公式HP:http://www.nemurihime.info/nonki-kei/