【Info】8/24〜26『第5回シューレ大学国際映画祭 生きたいように生きる』 

『JEAN DANIEL』

この映画祭は「生きたいように生きる」という趣旨の映像表現をドキュメンタリーに軸足を置きながら、フィクション、アニメーションも含め集めています。また、日本のものでも海外のものでも制作者の国籍も問わない映画祭として始めました。

「生きたいように生きる」というテーマを掲げたのは、真綿で首を絞められるような正体をつかみにくいような生き難さや閉塞感を感じるけれど、自分であることを諦めずに生きていくことの可能性を切り拓いていくような映像を集めた映画祭をやりたいと考えたからです。映画祭を始めるに当たって日本のドキュメンタリー映画を代表する原一男監督に映画祭に関わって頂くことをお願いし、今に至っています。それは、原監督がアクションドキュメンタリーというアプローチで時代を切り拓くドキュメンタリー作品をつくられて来られたからです。原監督の作品の持つ状況を突き破る力が、この閉塞状況を捉え、突き破っていく表現に大いに参考になると感じたからなのです。ドキュメンタリーを大切にしているのは、私たちが生きているこの世界にまっすぐに、愚直なまでにまっすぐに向かい合いたいという私達の思いがあります。

『ほんがら』長岡野亜監督

 映画祭は、趣旨に合った映像作品を募る公募部門、海外招待作品部門、原一男監督の作品と講演、2年目からは国内外のフリースクールの子どもたちの映像を集めたフリースクール部門があります。公募部門には国内外の主として若手の映像制作者から作品が寄せられます。その公募作品は原一男監督とシューレ大学の映画祭実行委員会の選考委員が選んでいます。今まで選考した作品の中から他の国内外の映画コンクールで受賞するような映画も出て来るようになっています。「働くこと」「セクシャリティー」「ナショナルアイデンティティ」などテーマの幅も広いです。

この映画祭では、映像を作る人同士に限らず、映像を見る人も含め、人が出会える映画祭にしたいという思いがあり、なるべく上映作品の監督には映画祭に来て貰ってトークセッションでフロアーの人も含め話してもらったり、また、パーティーも開いたり、カフェを設けたりもしています。

今年はフランスの新進気鋭の映像作家アンナ・マリア・ゴメスさんのいじめを経験した少年のドキュメンタリー作品”SIMOMEN”、アメリカの摂食障害の当事者が自らを捉えた作品”Broken Mirror”、フリースクール出身者がどのように生きるのかをテーマとした作品「如何に生きるべきか フリースクールを出た三人の青年の話」など力作がそろっています。いじめを経験した監督がいじめられている少年を主役に制作した「死にたすぎるハダカ」も注目作品です。「オートマトン」という作品は、イギリスのフリースクールサマーヒルスクール出身の映像作家アンナ-マリア・ラムさんが現代の労働を風刺した作品です。フリースクール部門では東京シューレの子どもがこの映画祭に間に合うようにつくったフリースクールの日常を描いた作品も出品されます。他にもアートアニメーションを含め幅の広い作品が6カ国から15作品そろいました。また、今年の原一男監督の上映はユニークで、劇場公開されたことのないドキュメンタリー映画をサプライズ上映します。未公開最新作なのか、はたまた以前に作られた秘蔵作品なのか、当日のお楽しみです。

 5年目を迎えたこの映画祭ですが、人の人生を変えるような作品をもっと上映したい、もっともっと出会いたい人と出会える映画祭でありたい、と思いながら続けてきたように思います。毎年、映像の幅も少しずつ広がってきています。表現について濃密な言葉のやり取りができるのも映画祭を続けるエネルギーの源泉になっていると感じます。私達は映画の選考委員をしていますが、選考をすることは自分の表現についての姿勢を問われることでもあり、身を切りきられる思いをすることで、結局は自分がしたい表現に一歩ずつ近づいていけるのではないかと思います。また、同時に、この映画祭を創ることは、私たちにとっては文化をつくることでもあるのではないかと、この頃は感じてもいます。何を人と共有したくて、どんな表現を選んでいくのか、そのことで、ささやかながらも文化をつくることに連なっているのではないか、ということです。そんな文化をつくることは、つまり、私たちの映画祭に足を運んで下さるあなたと一緒につくることでもあります。ぜひぜひ、この夏もシューレ大学国際映画祭にお出で下さい。

シューレ大学国際映画祭実行委員 山本菜々子・長井岳

『BrokenMirror』

 

第5回シューレ大学国際映画祭 生きたいように生きる

期間:2012年8月24日(金)~26日(日)

場所:シューレ大学特設映画館(都営大江戸線若松河田駅下車 徒歩2分)

料金:当日1200円/フリーパス3500円

 ※各回終了後 トークセッション あり

 ※8/26(日)15:00〜 原一男監督 講演あり

 ※8/26 19:40〜 交流会(500円)あり

URL:http://shureuniv.org/filmfes/

お問合せ先:03-5155-9801(シューレ大学)