【Info】ブルーノプロデュース ドキュメンタリーシリーズ第3弾『サモン』

ブルーノプロデュースvol.5「カシオ」@STスポット 撮影:青木司

●劇団より

≪ドキュメンタリーシリーズ≫とは、2011年10月末にSTスポットで上演された『カシオ』からスタートしたシリーズで、俳優たちの記憶を基に作る演劇作品のことを指します。≪記憶を扱う≫という、そのコンセプト自体は使い古されたものかもしれません。しかし、私たちがやろうとしているのは、≪記憶を扱う≫という、そのものについての現象に立ち向かうことです。私たちは≪ドキュメンタリー≫をもてあそびます。

数々の演出家たちがWSや公演で、参加者や俳優たちの記憶や体験を基に作品を作っています。もともとの自分の演出方法や物語に、記憶を溶解させていく形を取り、既存のあるものに記憶という一つの要素を入れたり、記憶そのものを使って物語を作り上げていく作業を行っています。私たちがやろうとしているのは、「記憶を取り扱う」こと、そのものについてなのです。『カシオ』で言えば、小学生の記憶を使って、20代の俳優たちが舞台上に存在することとは一体なにか、ということについて真剣に向き合いました。つまり、≪ドキュメンタリーシリーズ≫とは、記憶と私たちの関係性を模索し、新たな表現を提示させていく連作とも言えます。

 第三弾である『サモン』は、「病気」を題材に、記憶の蓄積を目指します。過去二作品では登場人物たちのそれぞれの記憶をリンクさせ、大きくしてきましたが、今は、一人の記憶を掘り下げ、積み上げていくことに興味があります。例えば、私たちは小学生にはなれませんが、小学生の毎日の通学路を取り扱うことで、もしかしたら舞台上に小学生を立ち上がらせることができるかもしれません。「病気」も情報や記憶の蓄積で、舞台上に現われるかもしれません。

記憶ははかなく、脆いです。それと同時に他者にとっては無価値です。目の前で起こる記憶や情報の積み重ねは、もしかしたらどうでもいいことなのかもしれません。舞台上で誰かが病気になったところで、信じられないかもしれません。しかし、記憶は誰かにとっては意味や感情を帯びます。フィクションとノンフィクションが混合された空間で、それぞれのバックグラウンドと、いま受け取った情報をもとに、観客の皆さんに、目の前の作品との関係を結んでほしいと私は考えます。

しかし、舞台上で立ち上がる様々な情報や記憶の虚実の境界線は、一体どこに存在するのでしょうか。それを決めることは、非常にエネルギーのいることかもしれません。誰かの情報や記憶は、語られた瞬間に、その威力を増大させて、私たちに勢いよく襲い掛かってくるからです。今まで信じていたものを信じられなくなり、関係性が崩れ、大切なものを失う時さえあります。情報や記憶は、他者と他者を支えにし合える強烈な≪絆≫でもあり、同時に、「私」を固定する≪楔≫のようなものでもあります。しかし、「私」に与えられた情報と、それから広がる記憶を、観客として見つめること、判断していくこと、消費していくことは、厳しい世界を生き抜く力になっていくと私は信じています。

≪ドキュメンタリーシリーズ≫を始めるまでは、私は自分の中にあるものを常に表現したいと思っていました。今は、違います。他人の中にあるものを表現していきたいです。様々な実感と実感の出会いを見つめていきたいです。

 

●団体概要

主宰橋本清の演出作品を上演するためのプロデュースユニットとして2007年12月旗揚げ。当初は、橋本が在籍していた日本大学芸術学部の教室や、近隣の公民館・都内の喫茶店など《非劇場空間》を拠点に活動。2009年12月に橋本が東京デスロックに入団。演出部に所属し、主宰・多田淳之介に師事。演出助手として、地方公演(青森、神奈川、鳥取、京都、静岡、福井など)、フランスでの海外公演に参加。デスロックでの経験を積みながら、ブルーノプロデュースの本公演も再開。

2010年には漫画家・松本大洋の戯曲を2バージョン公演、タイニイアリスでの7バージョン朗読企画、続く2011年に写真スタジオのギャラリー・暗室で写真家・小林紀晴の絶版小説『暗室』、小説家・北村薫『ひとがた流し』をほぼ原文のまま上演する(上演時間4時間)など、演劇以外の多様なジャンルを取り込むことによって、より深く演劇の持つ数多くの性質を抽出させ、作品ごとに新たな文体、語り方を模索していく。

その一つとして、現在は、≪ドキュメンタリーシリーズ≫と銘打ち、俳優たちの記憶と記録をベースにして、演劇作品を構成していく活動を展開中。2012年6月に、豊島区で行われる演劇フェスティバル、『SENTIVAL!2012』に参加予定。アナログな身体を持つ俳優たちに、フィジカルな《思い出》とデジタルな《プロフィール》をフィードバックさせ、《記憶と記録》の離散と集合、断片と連続を描いていく。世の中にはびこる《リアル》と、内にすくう《メモリアル》について考えながら、フィクション&ノンフィクション/ミスター&チルドレンのジャンクションに立つ!

 

橋本 清(はしもと きよし)

演出・主宰。1988年生まれ、ブラジルのリオデジャネイロ出身。三歳の時に愛知県豊田市に移住。日本大学芸術学部演劇学科演出コース卒業。大学在籍中、中野成樹氏、川村毅氏に演劇を教わる。

平舘 宏大(ひらだて こうだい)

WEB・俳優。1988年生まれ、青森県出身。2007年日本大学芸術学部演劇学科演技コースに入学。2007年からはフリーの俳優として、ひょっとこ乱舞、鰰、ぬいぐるみハンターなどの作品に出演。

スズキ ヨウヘイ

俳優。1985年生まれ。静岡県出身。 故郷静岡で同世代と結成した集団、スズキ式ドロップスで活動。その後、同地の高齢者劇団(高齢者演劇集団チャレンジャー)で演出・出演。 主な出演団体に渡辺美帆子事務所、青山ねりもの協会など。

 

●公演概要

公演名

SENTIVAL!2012参加作品/SUBTERRANEAN提携公演

ブルーノプロデュースvol.7『サモン』

構成・演出:橋本清/音楽:涌井智仁

出演:スズキヨウヘイ(ブルーノプロデュース) 味戸龍之介 堀内萌 李そじん

会場

SUBTERRANEAN

日程

2012年6月20日(水)~25日(月) 全8ステージ+プレビュー公演

 開演時間

20日(水)

22日(金)

23日(土)

24日(日)

25日(月)

11:00

⑤★

15:00

⑧●

19:00

 

 

⑦●

20:00

①   ■

②   ●

 

チケット料金(前売・当日ともに)

一般:2,500 ユース(25歳以下):2,300

高校生以下:1,500

①  ■〔プレビュー公演〕チケット料金から各券種1000円引き!

演劇作品は観客がいてはじめて成立するものです。観客の目にさらされることで見えてくるもの、あるいは見えてこなくなってしまったものを、本公演に繋げていきたく、団体初のプレビュー公演を設けました。もしかしたら大きな違いは生まれないかもしれません。ただし、全く違う姿になることもあります。興味のある方はぜひ。

②  ⑦ ⑧●〔初日割&日曜夜割&平日昼割〕チケット料金から各券種300円引き!

⑤★〔トーク!〕

各団体公演期間中、その上演作品の演出家を中心に毎回ゲストを交えてのポストトークを実施します。作品についてや、創作裏話など、話題満載のトーク!にぜひご参加ください!もちろん、会場のみなさんからの質問も、どしどし受け付けます。創り手と、客席のみなさんが交流できる時間にしたいと思います。またすべてのトーク!はUSTREAMを利用した、インターネットによる生中継を行う予定ですので、こちらもどうぞご利用ください。

 →トーク!の詳細>>

http://sentival.blog43.fc2.com/blog-category-59.html
 →SENTIVAL!2011のトーク!USTアーカイブ>>

http://sentival.blog43.fc2.com/blog-category-59.html

 

SENTIVAL!2012
東京豊島区にある小さな空間”atelier SENTIO“と、近隣のアートスペース”SUBTERRANEAN“、大塚にある”巣鴨教会“も会場に加わり、今年で5回目となる舞台芸術フェスティバ ルを開催。
2012年4月15日から7月15日までの間、17団体によるパフォーマンスと、創る側と見る側の境界線のないポストトーク、クラシック音楽と ダンスの競演、フェルデンクライスWSを実施します。

SENTIVAL!公式ブログ>>

http://sentival.blog43.fc2.com/

 

注意事項

・受付開始は開演の40分前、開場は開演の20分前です。

・高校生以下、ユース(25歳以下)の方は、当日受付にて学籍・年齢などを確認できる証明書をご提示下さい。

・開演5分前を過ぎますと予約がキャンセルになる場合がございます。

・開演後のご入場は、お時間を頂くか、場合によってはお断りする場合がございます。お時間に余裕を持ってご来場下さい。

・未就学児のご入場はお断りしております。

・劇場が地下にあります。階段がございますので、予めご了承下さい。

→上記以外にも、何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せ下さい。

 

チケット予約・お問い合わせ

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