学生反乱、三里塚、水俣から原発まで、戦後社会運動の現場や世界各地へ赴き、土本典昭、小川紳介、牛山純一、佐藤真らと共闘するキャメラマンとして日本ドキュメンタリーの「眼」を担ってきた著者が、その全軌跡を振り返りつつ自作を詳細に分析。独立で映画を志す者に「人間の撮り方」を指南する。
【書誌情報】
『撮影術 映画キャメラマン大津幸四郎の全仕事』
大津幸四郎 著
以文社 A5判上製 288ページ 図版多数
定価：本体3400円＋税
【著者プロフィール】
大津 幸四郎 おおつ・こうしろう
1934年，静岡県に生まれる。1958年静岡大学文理学部法経学科を卒業後，岩波映画製作所に入社。5年間撮影助手として努めるが，PR映画の制作に耐えられず退社。以後フリーランスのキャメラマンとして独立，劇映画からCFまであらゆる撮影をこなしつつ，『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』や成田国際空港反対闘争「三里塚」の小川紳介，「水俣」の土本典昭，彼らの衣鉢を継いだ佐藤真，TVプロデューサーの牛山純一ら日本ドキュメンタリーの旗頭と共闘。広島，長崎，沖縄，三池から原発まで，戦後社会運動のほとんどすべての現場に赴き，また中国，韓国，パレスチナ，東ドイツなどの貴重な時代をキャメラに納める。2005年，自ら撮影・構成した『大野一雄 ひとりごとのように』を発表。現在，三里塚で農業を続けるかつての闘士たちを四十余年ぶりに訪ねて長編ドキュメンタリー『三里塚』（仮題）を撮影中。
【目次】
●大津幸四郎の軌跡 岩波映画からビデオ撮影まで(1958-2001)
大津幸四郎×加藤孝信
■大津幸四郎の映画史１ 修業時代
●対極のドキュメンタリー 小川紳介と土本典昭(1967-1969)
大津幸四郎×筒井武文
Ⅰ 講演（大津幸四郎）
Ⅱ 対談（大津幸四郎×筒井武文）
■大津幸四郎の映画史２ 三里塚から水俣へ
●患者さんとヒバクシャ 水俣から福島へ(1969-1971)
大津幸四郎×鎌仲ひとみ（司会：代島治彦）
■大津幸四郎の映画史３ 水俣での闘い 前篇
●語られないものがうかびあがるとき 生活のなかの水俣病(1975)
大津幸四郎×鈴木一誌×舩橋淳
●キャメラと身体 島を撮る、闘争を撮る(1975)
大津幸四郎×丸谷肇
■大津幸四郎の映画史４ 水俣での闘い 後篇
●現場で進歩するキャメラ テレビ・ドキュメンタリーからガン克服まで(1976-2005)
大津幸四郎×熊谷博子（司会：吉川正文）
■大津幸四郎の映画史５ テレビ･ドキュメンタリー 前篇
●「核」を撮る 広島、長崎から原発まで（1982-1985）
大津幸四郎（聞き手：編集部）
●まともに映像化したらつまらない 劇映画を撮る(1983-1989)
大津幸四郎×沖島勲（司会：代島治彦）
●大津幸四郎の映画史６ テレビ･ドキュメンタリー 後篇
●船に乗り人を撮る ジャン･ユンカーマンとの仕事(1990-2005)
大津幸四郎×ジャン・ユンカーマン（司会：代島治彦）
●舞踏が生まれて死んでいくまで 大野一雄を撮る(1991-2005)
大津幸四郎×大野慶人×平野克己（司会：代島治彦）
●島を撮る ロシアの監督たちとともに(1993-2000)
大津幸四郎×吉増剛造×石坂健治
■大津幸四郎の映画史７ 南の島、北の海
●障害をもつ人たちとともに 佐藤真との仕事(1998-2001)
大津幸四郎×代島治彦
■大津幸四郎の映画史８ 絵画への思い
●キャメラには撮れないものがある 人間との距離をめぐって(2008)
大津幸四郎×藤原敏史×葛生賢
●あとがき 大津幸四郎
大津幸四郎主要作品一覧
映像作品名索引
主要人名索引
【関連記事】
【はじめての小川紳介 特集③】ドキュメンタリストの眼（６）全長版 大津幸四郎 text 金子遊
http://webneo.org/archives/10276
