90年代以降、ドキュメンタリー映画の新たな地平を切り開いた佐藤真監督。
「ドキュメンタリーとは何か」「映画とは何か」を作品と批評で見事に体現したその監督作品を中心に、企画、編集と様々な形で携わった8作品を一挙上映。ゲストによるトークなども企画します。
ドキュメンタリー映画が劇場で公開されることがなかった時代に異例の国内ロードショー公開、世界各国の映画祭で数々の評価と受賞に輝いた『阿賀に生きる』(1992)から、佐藤真監督の企画を遺された後進の徒がその志を引き継ぐ形で完成に至った『テレビに挑戦した男・牛山純一』(2012)まで。
およそ20年間に発表された一連の作品群を通して、ドキュメンタリー映画が湛える魅力と底力を、今、混迷急を告げるこの時代に再び映し出します。
世界の鏡たる映画が、ドキュメンタリーが、ここからはじまる。
世界の、映画の、あなたの未来が、ここからはじまります。
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【会場ほか】
元・立誠小学校 特設シアター
〒604-8023 京都市中京区備前島町310-2(木屋町通蛸薬師下ル)
料金:【当日】一般:1500円 学生:1200円 会員:1000円
【前売】3回券:3300円 1回券:1200円
公式サイト:http://risseicinema.com/movies/1852
【上映スケジュール】
2013年12月7日(土)〜12月13日(金)
12/7 (土)13:00『阿賀に生きる』16:00『阿賀の記憶』18:00『おてんとうさまがほしい』
12/8 (日)13:00『阿賀に生きる』14:50『阿賀の記憶』16:00『SELF AND OTHERS』
17:10『テレビに挑戦した男 牛山純一』
12/9 (月)15:00『まひるのほし』16:50『花子』
12/10(火)15:00『阿賀に生きる』17:20『阿賀の記憶』
12/11(水)15:00『エドワード・サイードOUT OF PLACE』17:30『SELF AND OTHERS』
12/12(木)15:00『花子』17:30『まひるのほし』
12/13(金)15:00『エドワード・サイードOUT OF PLACE』17:30『テレビに挑戦した男 牛山純一』
※ゲストあり
12/7(土)
13:00『阿賀に生きる』
■ 小林茂さん(「阿賀に生きる」「阿賀の記憶」撮影」)
■ 旗野秀人さん(「阿賀に生きる」製作発起人)
16:00『阿賀の記憶』
■小林茂さん、旗野秀人さん、秦岳志さん(「花子」「阿賀の記憶」「エドワード・サイード OUT OF PLACE」「テレビに挑戦した男・牛山純一」編集)
12/9(月)
16:50『花子』
■今村知左さん(「花子」出演)
12/11(水)
17:30『SELF AND OTHERS』
■北小路隆志さん(映画批評家・京都造形芸術大学映画学科准教授)
12/12(木)
16:25『まひるのほし』
■はたよしこさん(「まひるのほし」撮影協力)
【上映作品】
阿賀に生きる
1992年/115分/カラー/16ミリ/スタンダード/モノラル
監督:佐藤真/撮影:小林茂/録音:鈴木彰二/撮影助手:山崎修/録音助手:石田芳英助監督:熊倉克久/スチール:村井勇/音楽:経麻朗/整音:久保田幸雄/録音助手:菊池信之ナレーター:鈴木彰二/題字:小山一則/ネガ編集:高橋辰雄/提供:カサマフィルム/協賛:シグロ配給・宣伝:太秦/配給協力:コミュニティシネマセンター/製作:阿賀に生きる製作委員会
©「阿賀に生きる」製作委員会
新潟水俣病の舞台ともなった阿賀野川流域に暮らす人々を、三年間にわたって撮影した。新潟水俣病という社会的なテーマを根底に据えながらも、そこからはみ出す人間の命の賛歌をまるごとフィルムに感光した、エンターテインメント・ドキュメンタリーの傑作。佐藤真監督の初監督作品。
まひるのほし
1998年/93分/カラー/16ミリ/スタンダード/モノラル
監督:佐藤真/撮影監督:田島征三/撮影:大津幸四郎/録音:久保田幸雄/助監督:飯塚聡/撮影助手:藤江潔、須原秀晃、山田武典、谷中重樹/録音助手:清家利文/録音応援:菊池信之/プロダクションマネージャー:佐々木正明/製作事務局:鏑木亜樹、服部素子/宣伝:土岐小百合、角倉小百合/配給:シグロ/製作:「まひるのほし」製作委員会/製作:山上徹二郎、庄幸司郎
©「まひるのほし」製作委員会
登場するのは7人のアーティストたち。彼らは、知的障害者と呼ばれる人たちでもある。神戸・武庫川すずかけ作業所、神奈川県平塚・工房絵(かい)、滋賀県信楽・信楽青年寮で、創作に取り組む彼らの活動を通し、芸術表現の根底に迫るドキュメンタリー。
SELF AND OTHERS
2000年/53分/カラー/16ミリ/スタンダード/モノラル
監督:佐藤真/撮影:田村正毅/録音:菊池信之/音楽:経麻朗/声:西島秀俊、牛腸茂雄/スチール:三浦和人/編集:宮城重夫/資料調査:大倉宏/撮影助手:池内義浩/編集助手:長坂智樹/助監督:吉田賢一/宣伝:シグロ/配給:カサマフィルム、ユーロスペース/製作:ユーロスペース/製作:堀越謙三
©牛腸茂雄 写真集『幼年の時間』より
1983年、3冊の作品集を残し36歳で夭逝した写真家、牛腸茂雄。記憶に深く食いこみ、魂を揺さぶるような力を備えている牛腸茂雄の写真。残された草稿や手紙と写真、肉声をコラージュし、写真家の評伝でも作家論でもない新しい映像のイメージを提示する。
花子
2001年/60分/カラー/16ミリ/スタンダード/モノラル
監督:佐藤真/撮影:大津幸四郎/録音:弦巻裕/編集:秦岳志/編集協力:青山昌文/製作デスク:鏑木亜樹、田口敏之、石田優子/プロダクションマネージャー:佐々木正明/アソシエイト・プロデューサー:小川真由/宣伝:中円尾直子/製作・配給:シグロ/製作:山上徹二郎
©シグロ 2001年
京都府の大山崎に暮らす花子は、知的障害者のためのデイセンターに通う一方、夕食後には畳をキャンバスにたべものを絵の具のように並べるという日課を欠かさない。母は6年に渡ってその「たべものアート」を写真に撮り続けてきた。花子と彼女を取り巻く家族の物語。
阿賀の記憶
2004年/55分/カラー/16ミリ/スタンダード
監督:佐藤真/撮影:小林茂/録音・音構成:菊池信之/編集:秦岳志/音楽:経麻朗/撮影助手:松根広隆、谷詩文/録音助手:福本明日香/現場録音:鈴木彰二、加藤沢充、久世圭子、福本明日香/ネガ編集:長沼ヨシコ/助監督:山岡央協力:旗野秀人/プロデューサー:矢田部吉彦/製作・配給:カサマフィルム/配給:太秦/配給協力:コミュニティシネマセンター/支援:文化庁
『阿賀に生きる』から10年。かつて映画に登場した人々や土地に再びカメラを向け、人々が残した痕跡に10年前の映画作りの記憶を重ねていく。人々と土地をめぐる記憶と痕跡に向き合い、過去と現在を繊細かつ大胆に見つめた詩的ドキュメンタリー。
エドワード・サイード OUT OF PLACE 2005年/137分/カラー/スタンダード/モノラル
監督:佐藤真/撮影:大津幸四郎、栗原朗、佐藤真/整音:弦巻裕/編集:秦岳志/現場録音:Tom Barkay Mustafa Al Hamid John Duvall/助監督:ナジーブ・エルカシュ(アラブ側取材)屋山久美子(イスラエル側取材)、石田優子/協力プロデューサー:ジャン・ユンカーマン企画・製作:山上徹二郎/配給:シグロ/支援:文化庁
©シグロ 2005年
2003年9月、パレスチナ出身の世界的知識人、エドワード・サイードが亡くなった。世界の核心に迫ろうとしていたサイードの、精神の在り処を求めて映画の旅が始まった。シリア、レバノン、エジプト、イスラエル、パレスチナそしてニューヨーク…。最後に辿り着いたのはOUT OF PLACEという地平だった。佐藤真監督最後の長編監督作品。
【佐藤真監督関連作品】
おてんとうさまがほしい
1994年/47分/カラー/DVD/スタンダード
撮影・照明:渡辺生 (日本映画照明協会顧問)/構成・編集:佐藤真/プロデューサー:貞末麻哉子/資料撮影:柳田義和/整音:滝澤修 音楽:秋元薫/ネガ編集:和田至亮/構成補:鈴木佳尚/特別協力:医療法人圭愛会、日立梅ヶ丘病院/制作:おてんとうさまがほしい制作委員会/配給・上映:おてんとうさまがほしい上映委員会(公開年度1995年)/マザーバード
©マザーバード
渡辺生さんは映画照明技師として、半世紀以上を多忙な映画界で生きてきた。穏やかな老後の生活を願いそろそろ夫婦でのんびり過ごそうかと思い始めた矢先、妻トミ子さんに痴呆の症状があらわれ始めた。渡辺さんはキャメラを担ぎ、痴呆の妻にファインダーを向けた。看病の日々を通して知り合った周囲の人々との交流を支えに、渡辺さんは、たった一人でトミ子さんとの日常を撮り続けてゆく。多くの協力を得て撮影されたこのフィルムは、妻の病状に心揺れつつも共生を実現する渡辺さんの思いを軸に綴られた映像による介護日誌である。佐藤真監督は構成・編集を担当。
テレビに挑戦した男・牛山純一
2012年/82分/カラー/DVカム/スタンダード
企画:佐藤真/監督:畠山容平/編集:秦岳志/撮影:大津幸四郎、牛山純一ゼミ生/整音:小川武/音楽:スガダイロー/プロデューサー:藤本美津子/製作:NPO法人映画美学校、牛山純一研究委員会/配給・宣伝:牛山純一研究委員会(株式会社シグロ内・畠山、藤本、石田)/配給協力:シグロ
写真提供:日本映像記録センター
「すばらしい世界旅行」のプロデューサーとしてテレビ界に一時代を築き上げた牛山純一。彼はテレビが開局した頃から制作の最前線でテレビという新しいメディアと格闘していた。テレビ草創期の頃の牛山の仕事を22人の関係者のインタビューで構成し、テレビが今でも抱える諸問題を現代に問いかける。2007年に亡くなったドキュメンタリー監督・佐藤真の企画を、映画美学校の佐藤のゼミ生が完成させた。