【自作を語る】『Beyond the ONEDAY〜Story of 2PM&2AM〜』 text 大道省一


敬愛する市川崑監督曰く
「映画は所詮、光と影だと思います」

その言葉に魅入られた挙げ句に進路を変更し、美大の映画コースへ。あれから14年、私は『Beyond the ONEDAY〜Story of 2PM & 2AM〜』という音楽ドキュメンタリーで劇場デビューを果たしました。午後と午前がその名の由来であるK-POPアーティスト2組の表舞台と舞台裏……奇しくも光と影が交差しているかのよう。自らの原点との符合にニヤリ。本作はMr.Children、AKB48に続く東宝映像事業部配給の音楽路線です。全国のシネコンで上映されるドキュメンタリーという新たなジャンルに新人監督として挑みました。

 

「ドキュメンタリーは取材対象との距離感」とよく言われますが、今回は「国の違い」「言語の違い」など経験したことのないハードルがいくつもありました。ただ、それ以上に「日本人スタッフによる韓国人アーティストのドキュメンタリー映画」というあまり前例のない企画にゾクゾクしたり、アジア全土で活躍する2PMと2AMの融合にワクワクしたり。男子女子問わずアイドル花ざかりの昨今、「好きな芸能人・遠藤久美子」が17年くらい更新されていない私に一体なにができるのか……と自問自答しつつ、若きプロフェッショナル10人の日本での挑戦を追い、時に並走し、時に正面から向き合った10ヶ月。そのあたりについては、いくつかの雑誌やウェブの取材で話しているので( * )、ここでは編集作業の時に書き留めたメモを公開しようと思います。

* 「JAPAN BILLBOARD」インタビュー http://www.billboard-japan.com/special/detail/70

 

 ・  走り続ける10人、活劇ドキュメント
 ・  午前と午後、光と影、動と静、韓国と日本などの対比軸
 ・  2組10人、それぞれの個性 顔の映画に
 ・  映画としての自覚 スケール感 メジャーなエンタメに
 ・  音楽映画としてアイドル映画としてのカタルシス 間口の広さ
 ・  テンポ、テンポ、長回し ストイックに
 ・  『東京オリンピック』『暗殺の森』を見返す
 ・  会話と音楽、『コールドケース』『ソーシャル・ネットワーク』を参照
 ・ デヴィッド・フィンチャー、ジョゼ・パジーリャ、市川崑、石原興の技法

 

手の内は、大体こんな感じ。

フィクションとノンフィクションの両方に関わってきたキャリアを活かした映画にしたいという思いが一貫してありました。広告系からVシネマまで様々なジャンルの演出を手掛けながら、メイキングとして映画に参加してきたキャリア。黒沢清監督、大谷健太郎監督、曽利文彦監督、福澤克雄監督、李相日監督、佐藤信介監督……出自も世代も違う映画監督の現場を記録しつつ、間近でその演出を見られるというのは本当に贅沢で、助監督の経験がほとんどない自分にとって何よりの勉強でした。そして、その縁で念願の監督デビュー。企画・撮影・仕上げ……古澤・高橋両プロデューサーを筆頭に30代中心で編成された各パートとの共同作業&試行錯誤を重ねた末にギリギリで完成。牧口雄二監督の言葉を引用すると「自分が撮ったときにこうしてやろう、ああもしてやろう考えるじゃないですか」という画が並んでいます。

 

 いくつか例をあげると、2PMと2AMの10人が疾走するシーンは豊洲の埋立地。黒沢組『叫』で使われたロケ地のすぐ近く。空撮を手掛けたのは、3年前にVPの仕事で思わぬ再会を果たした大学の同級生。逆光からのオープニングは、松竹京都映画撮影所で学んだ技術を応用。本編107分、キリがないのでこのへんで。先日も女性のお客さん9割のシネコンで予想以上の笑いと涙を体感し、自分なりの娯楽映画を作ることができた自信を深めました。

最後に一つ。劇場デビューのハードルが下がった代わりに、さまざまな理不尽がまかり通っている現状で、プロの映画作りができる環境が与えられたことは本当に得難い体験でした。

この路線、今後も若手が起用されるので、ぜひご注目を。

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|作品情報

『Beyond the ONEDAY ~Story of 2PM & 2AM~』
出演:2PM+2AM ‘Oneday’
監督:大道省一/製作:新坂純一 北川直樹 / 企画・プロデュース:古澤佳寛  杉山剛
プロデューサー:高橋信一 /ラインプロデューサー:三好保洋/撮影:神戸千木
整音:久連石由文/編集:小野寺絵美 / 制作:ジャンゴフィルム
制作協力:JYP & Big Hit Entertainment/配給:東宝映像事業部
2012/107分/日本/カラー/ビスタサイズ
 公式HP:http://oneday-movie.jp/

TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国公開中!!

|プロフィール

大道省一 おおみち・しょういち

1980年岡山県生まれ。東京造形大学在学中、自主映画『男あわれ』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭2002オフシアター部門入選。卒業後、CM制作会社の企画演出部を経てフリーに。CM、VP、DVD、Vシネマなど様々なジャンルの演出を手掛ける。また、映画のメイキング・ディレクターとして『叫』『ICHI』『私は貝になりたい』『悪人』などに参加。『Beyond the ONEDAY〜Story of 2PM & 2AM〜』で劇場用映画デビュー。