今年の京都国際舞台芸術祭 KYOTO EXPERIMENT 2014 は9月27日から約3週間にわたって開催されます。この芸術祭は2010年に誕生し、Experimentという名の通り、プログラム・ディレクターの橋本裕介のもとで、これまで実験的/先端的な舞台の試みを続けてきました。関西以外から訪れる観客も年々増加し、昨年はのべ約2万人に達し、演劇関係者の高い関心を集めています。
さて、5回目となる今年の公式プログラムには国内から7組、海外から4組のアーティストが参加します。このなかで注目されるのは、村川拓也の『エヴェレットゴーストラインズ』でしょう。これは演劇にドキュメンタリーを取り入れたとする作品で、出演者が未定なのです。村川が上演の数週間前に不特定多数の出演者候補に手紙を出すところから始まり、その手紙の中で会場を訪れる時間、会場での行動すべてが指示されています。しかし、それを実行するかどうかは手紙を受け取った本人の裁量に任せられるため、当日、誰が舞台に現れるかわかりません。
誰も会場に来なかった場合はどうなるのか、どんな人物に手紙が出されているのか、手紙にはどのような内容が指示されているのか。目前に起こる現実はすべて不確定なものである、ということを再確認する演劇ドキュメンタリーであると言え、ドキュメンタリー映像作家としてキャリアをスタートさせた村川ならではの舞台と言えるかもしれません。
また、公式プログラム以外に、フリンジ企画と呼ばれるオープンエントリー作品(ジャンル不問・審査なしで登録可能)があり、若手のアーティストによる25作品が京都市内5つの会場で上演されるほか、「劇は使える」をコンセプトにした「使えるプログラム」も注目されます。(繁田実和)
『エヴェレットゴーストラインズ』
村川拓也/70分/日本語(英語字幕あり)
会期 10月2日(木)―10月5日(日)
会場 京都芸術センター 講堂
公式ページ http://kyoto-ex.jp/2014/program/murakawa/
村川拓也
演出家・映像作家。1982年生まれ。京都造形芸術大学卒。主な演劇作品として『移動演劇 宮本常一への旅 地球4周分の旅』、『ツァイトゲーバー』、ドキュメンタリー映画に『沖へ』などがある。
★あわせて読みたい
【News】9/27(土)より開催★「劇」は使える――KYOTO EXPERIMENT2014フリンジ企画「使えるプログラム2014」
【Roundtable】災後の舞台表現をめぐって――フェスティバル/トーキョー12 text 九龍ジョー × 夏目深雪 × 萩野亮
【Magazine】「neoneo」#01 創刊特集「さようならドキュメンタリー」
―
|開催情報
KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2014
会期 2014年9月27日(土)―10月19日(日)
会場 京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、元・立誠小学校、京都府立府民ホール“アルティ”、西京極スタジアム、Gallery PARC ほか
公式プログラム参加アーテイスト
ティナ・サッター/ハーフ・ストラドル、高嶺格、村川拓也、ルイス・ガレー、She She Pop、木ノ下歌舞伎、contact Gonzo、悪魔のしるし、フランソワ・シェニョー&セシリア・ベンゴレア、地点、金氏徹平
公式サイト http://kyoto-ex.jp