【News】10/11(水) 〜全5回開催 映画の教室2017 色彩の探求 @東京国立近代美術館フィルムセンター

映画の教室2017 色彩の探求

大好評を博した「映画の教室2017 素材から観る日本アニメーション」に続き、2017年10月からはフィルムの“色”に迫る全5回の「映画の教室2017 色彩の探求」がフィルムセンターで開催される。第1回目の10月11日(水)は「さまざまなカラーシステム」と題し、カラーフィルムが次々と開発され実用化された1950年代のカラーシステムの4作品を上映。小津安二郎が好んだというアグファカラーを日本で初めて使用した『ダービーを目指して』は競馬の記録映画で、撮影の山口シネマは現在も競馬をはじめとする各種レースの映像制作で知られている。

第2回目は『カルメン故郷に帰る』(木下惠介監督)、第3回目は『刺青』(増村保造監督)、第4回目は『楊貴妃』(溝口健二監督)、第5回目は白黒フィルム時代の染色や調色など、5回にわたって、理想的な色を求めた作り手たちの創意工夫とそれを支えた技術の発展により育まれてきた“映画の色”を紹介する。映画の色の魅力と多様性を体験できる貴重な機会だ。各回、研究員による約15分の解説付き。


<開催概要>

映画の教室2017 色彩の探求

会場:東京国立近代美術館フィルムセンター (小ホール)
開催日:2017年10月11日(水)、10月25日(水)、11月8日(水)、11月22日(水)、12月6日(水)
時間:7:20pm開始 [7:00pm発券・開場]
料金:一般520円/高校・大学生・シニア310円/小・中学生100円
/障害者(付添者は原則1名まで)、キャンパスメンバーズは無料 
*混雑時でも7:10pmまでお席を確保できる「映画の教室」会員証(300円)を発売中!

【プログラム(全5回)】
*全作品フィルム上映
*各回、研究員による約15分の解説付き

詳細情報
http://www.momat.go.jp/fc/exhibition/filmclassof2017-color/

第1回 10月11日(水)  さまざまなカラーシステム
1950年代はカラーフィルムが次々と開発され、実用化された時代だった。コニカラーで撮影された『かわいい魚屋さん』、イーストマンカラーを用いた アニメーション『ふくすけ』、日本で初めてアグファカラーを使用した記録映画の『ダービーを目指して』、フジカラーで撮影されたアニメーション『黒いきこりと白いきこり』と、さまざまなカラーシステムをアニメーションや記録映画、劇映画を交えて紹介する。

上映作品(4作品、計約50分)
『かわいい魚屋さん』(3分・35mm・カラー)1953(監)新村士行 
『ふくすけ』(18分・35mm・カラー)1957(監)横山隆一
『ダービーを目指して』(9分・35mm・カラー)1956(撮)山口シネマ
『黒いきこりと白いきこり』(16分・35mm・カラー)1956(監)藪下泰司

第2回 10月25日(水) フジカラー
富士写真フイルム(現 富士フイルム)が開発したカラーフィルムで撮影した『カルメン故郷に帰る』は、 国産総天然色映画第一弾として発表された。十分な光量が必要だったため、ほぼ全篇屋外ロケが行われた。 自然の美しい色を生かした中でふたりの女性の色彩が鮮やかに映えるよう、 衣装やメイクをカラー映画用の色づかいにするなど、さまざまな工夫を試みている。

上映作品
『カルメン故郷に帰る』(86分・35mm・カラー)1951(監)木下惠介

第3回 11月8日(水)イーストマンカラー①
アメリカのイーストマン・コダック社は、1950年に映画用の35mmカラーフィルムを発表した。名キャメラマン宮川一夫は、 錦絵や浮世絵などの色を勉強し、木版で摺ったような絵を目指したという。襦袢の真紅など、濁りのない色が美しい。 宮川は本作で日本映画テレビ技術協会による日本映画技術賞の色彩撮影賞を受賞。 

上映作品
『刺青(いれずみ)』(86分・35mm・カラー)1966(監)増村保造

第4回 11月22日(水) イーストマンカラー②
1953年に東洋現像所(現IMAGICA)はイーストマンカラーの現像処理を開始し、 大映が“大映カラー”と呼んで特に意欲的に採用した。王朝悲劇の美しい絵巻のような本作は、 溝口健二にとっての初めてのカラー映画にあたり、抑えた中にも暗部の色が良く出ているその色彩は、 公開当時にも絶賛された。 

上映作品
『楊貴妃』(91分・35mm・カラー・英語字幕付)1955(監)溝口健二

第5回 12月6日(水) 白黒フィルム時代の色彩
調色・染調色を用いた時代劇『元錄快挙 大忠臣藏』と『新版 大岡政談 第二篇』、染色のアニメーション作品『鼠の留守番』と『春の唄』、D・W・グリフィスの『女の叫び』など、これらのシーンや作品に合わせた彩りと、トリック映画「パテ魔法映画三種」のコマに施す彩色など、白黒フィルムの時代のさまざまな色彩を紹介する。

上映作品(6作品 計約50分)
『元錄快挙 大忠臣藏』[玩具フィルム][白黒ポジ調色版] (1分・16fps・35mm・調色・無声)1930(監)池田富保
『新版 大岡政談 第二篇』[玩具フィルム][白黒ポジ染調色版](1分・16fps・35mm・染調色・無声)1928(監)伊藤大輔
『鼠の留守番』[日活グラフ版](3分・35mm・染色)1931(監)大石郁雄
『春の唄』(3分・16fps・35mm・染色・無声)1931(監)大藤信郎
『女の叫び』 The Lonedale Operator [MoMA復元版]
(17分・16fps・35mm・白黒/一部染色・無声・英語インタータイトル/日本語字幕付)1911(監)D・W・グリフィス
『パテ魔法映画三種』(14分・18fps・35mm・彩色・無声・フランス語/英語版)1908-1909(監)セグンド・デ・チョーモン