【News】6/22より開催 「モアナ 南海の歓喜」公開記念 公開講座 ロバート・フラハティとドキュメンタリーの変容

「モアナ 南海の歓喜」公開記念 公開講座 
ロバート・フラハティとドキュメンタリーの変容

ロバート・フラハティ監督作品『モアナ 南海の歓喜』(1926年制作/1980年サウンド版/2014年デジタル復元版)が劇場公開されます。今から92年前、この作品により、「ドキュメンタリー」という言葉が生まれました。その言葉は、世界の共通言語となり、映画からテレビにいたる映像の世界で新たな領域を築いてきました。『モアナ』は「世界初のドキュメンタリー」とも言えるでしょう。 今日、デジタル機材の爆発的な普及で、誰もがカメラを手に無数のドキュメンタリーが作られています。今こそドキュメンタリー映画の原点を見つめる機会ではないでしょうか。

『モアナ 南海の歓喜』公開記念講座では、各講師の多角的なアプローチから、ドキュメンタリーの父と呼ばれるロバート・フラハティの歴史やその業績を通して、ドキュメンタリーの変容をとらえ直すことにより、私たちがドキュメンタリーとこれからどう向き合うべきなのかを考えてまいります。


【日時】2018年6月22日(金)-2018年8月25日(土) 5日間(計5回講座)
※第1回-第4回19:00-21:00 最終回のみ13:00-17:00

【会場】アテネ・フランセ文化センター <アクセス
    東京都千代田区神田駿河台2-11 アテネ・フランセ4階 03-3291-4339

【参加費】全5回通し券:事前予約=3500円/当日=4000円
     当日1回券:一般=1200円 学生/シニア=1000円
     アテネ・フランセ文化センター会員=800円

【主催・問い合わせ】グループ現代:03-3341-2863(上映部/橋本 上清水 川井田)
          e-mail:moana@g-gendai.co.jp

<募集方法>
『モアナ』HPの応募フォーム
(HPでは5回通し券の事前予約のみ受け付けています/先着70名)
https://moana-sound.com/flaherty.html

<募集期間>
5月23日〜定員になり次第受付終了
※1回券をご希望の方は当日会場受付にてお求めください。(事前販売はありません)

<各回スケジュール>

第1回 6月22日(金)19:00
ドキュメンタリーに向かって — ロバート・フラハティの映画人生の始まり

 参考上映(抜粋)
『24 Dollar Island』(1927)監督:ロバート・フラハティ
『Manhatta』(1921)監督:チャールズ・シーラー&ポール・ストランド
講義:村山匡一郎(映画研究者)

第2回 7月6日(金)19:00
ポリネシアの映像・文学・人類学 — フラハティを中心に

参考上映(抜粋):
『南海の白影』(1928)監督:W.S.ヴァン・ダイク二世
『タブゥ』(1931)監督:F.W.ムルナウ
講義:金子遊(映像作家・批評家)

第3回 7月27日(金)19:00
「あの島の調べ」を具象化する —『モアナ』サウンド版の制作背景
講義:森田典子(映像史研究者)/特別ゲスト:七里圭(映画監督)

第4回 8月10日(金)19:00
『モアナ 南海の歓喜』のデジタルリストアを通して、映画の復元を考える
講義:とちぎあきら (フィルムアーキビスト)

第5回 8月25日(土)13:00
上映&シンポジウム ロバート・フラハティとドキュメンタリーの変容

 参考上映:
『流網船』1929年(40分/16mm)監督:ジョン・グリアスン
『ルイジアナ物語』1948年(77分/16mm/日本語字幕なし)
監督:ロバート・フラハティ
※『ルイジアナ物語』は日本語のダイアローグリストを配布します。

登壇予定者:村山匡一郎、金子遊 マーク・ノーネス(ドキュメンタリー映画研究者)
司会:森田典子

【講師プロフィール】

村山匡一郎(映画研究者)
映画評論家。日本経済新聞をはじめ新聞・雑誌などに寄稿する一方、日本大学芸術学部などで映画史や映画学の教鞭をとる。その傍ら山形国際ドキュメンタリー映画祭・ 東京国際映画祭などで審査員を務める。主な著訳書に『世界映画全史』(全12巻、国書刊行会)、『映画史を学ぶクリティカル・ワーズ』(フィルムアート社)、『映画は世界を記録する』(森話社)など。

金子遊(映画作家・批評家)
批評家、映像作家、フォークロア研究。サハリンやミクロネシアなどの旧植民地において、映像を使ったフィールドワークを続けている。著書『映像の境域』(森話社)でサントリー学芸賞(芸術・文学部門)受賞。他の著書に『辺境のフォークロア』 『異境の文学』『ドキュメンタリー映画術』『混血列島論』がある。編著に『クリス・ マルケル』『アピチャッポン・ウィーラセタクン』など。慶應義塾大学講師。

森田典子(映像史研究者)
明治学院大学文学部芸術学科を卒業後、イメージフォーラム映像研究所でドキュメンタリー『中村三郎上等兵』(2008)を制作。自主上映イべントの企画やドキュメンタリーマガジン『neoneo』の編集スタッフを経て、東京大学大学院学際情報学府修士課程に入学、現在博士課程に在籍。研究テーマは、日本におけるドキュメンタリー概念とその製作方法論の変容について。日本学術振興会特別研究員(DC2)。

七里圭(映画監督)
1967年生まれ。山形国際ドキュメンタリー映画祭2017審査員。最新作は『あなたはわたしじゃない』(2018)。近年はこの新作を含む「音から作る映画」プロジェクト(2014〜)で、ライブ・パフォーマンスやワーク・イン・プログレスを導入する映画制作に取り組む。『眠り姫』(2007/2016)や建築家鈴木了二との共作短編 『DUBHOUSE』(2012)など実験的な作品で知られるが、そもそもは商業映画の助監督出身。主な監督作に『のんきな姉さん』(2004)、『マリッジリング』(2007)など。

とちぎあきら(フィルムアーキビスト)
1958年生まれ。2003年より、東京国立近代美術館フィルムセンター(現・国立映画アーカイブ)にて、映画フィルムの収集・保管、保存・復元、アクセス対応に従事し、2017年主幹に就任。デジタル技術を用いた復元に関わった作品には、『羅生門』(1950年・黒澤明)、『幕末太陽傳』(1957年・川島雄三)、『秋刀魚の味』(1962年・小津安二郎)、『銀輪』(1956年・松本俊夫)などがある。 現在はフリーランスのフィルムアーキビストとして活動する。

マーク・ノーネス(ドキュメンタリー映画研究者)
ミシガン大学教授。研究分野はドキュメンタリー、アジア映画、日本映画、映画と翻訳、等。単著に『日本のドキュメンタリー映画 明治時代からヒロシマへ』(2003)、『圧殺の森 小川紳介と戦後日本のドキュメンタリー』(2006)、『Cinema Babel グローバル・シネマの解釈』(2007)。共著に『日本映画研究へのガイドブック』(2016)。想田和弘とともに『ザ・ビッグハウス』(2018)の共同監督を務めた。