【Review】 ザ・ビートルズ『マジカル・ミステリー・ツアー』再放送レビューの会



イラスト:カミカワトコ ケンタ



 

crestor 10 mg online 緒方明 (映画監督/ビートルズ ファン歴43年)

 映画について書かれた文章には必ず書き手の「発見」が開帳されてないといけないと常々思ってます。ですから四半世紀近く前に作られた『マジカル・ミステリー・ツアー』をやはり駄作だとか今観たら意外にいけるなんていまさら言ってもしょうがない気がします。問題はフジテレビの深夜に自分ちのテレビで寝っころがりながらCMばんばん入る本作を数年ぶりに見直して何を見つけられたかだと思うのです。で、見つけました。いろいろと。3点のみ書きます。あ、ちなみに私初めてこのアルバムを買ったのが13歳。初めてこの作品をフルで観たのが23歳ごろ。(ビデオレンタルでの鑑賞)。32歳くらいの時にWOWOWで放送したものを録画しました。その時観て以来なので20年ぶりの鑑賞になります。

http://propeciaonlineinfo.net/ buy finasteride 1mg 【①“オール・マイ・ラヴィング”が劇伴としてオーケストラの演奏で流れる】

これは発見でした。おそらくこの曲のアレンジ(オーケストレーション)はクラシック畑出身のサー・ジョージ・マーティンがやったのでしょうが、これってオリジナル放映の時からついてたのでしょうか?それとも長い歴史の中でリミックスされていくうちに「後のせ」になったのか。だとすればあの30年前の自主映画みたいな浜辺のシーンではどんな曲が流れてたのか。そもそもなぜに“オール・マイ・ラヴィング”なのか。謎は深まります。マラソン大会のシーンで流れるオルガンによるインストバージョンの“シー・ラブズ・ユー”。こちらはサントラアルバム収録の“愛こそはすべて”のエンディングで聞こえるのでこの作品との関連性はなんとなくわかるのですが。一番の違和感はこの曲だけ本作の中で「浮いている」ことです。他は全部「攻め」の姿勢で行ってるのにここだけ「守り」感がしてしまいます。

Cialis 20 mg 【②リチャード・レスターとの関連性】

ビートルズ自身で企画・演出されたわけですから現場でのディレクションやポスプロも彼らの手で自由にやれたはずです。彼らも「これまでにない映像集を作ろう!」と思っていたのでしょうが、出来上がってみるとそこかしこに『レスターの呪縛』が感じられるとこが実に興味深い。マラソン大会のタッチや車内でのリンゴとおばさんのやりとりなんて映画『ハード・デイズ・ナイト』や『HELP!四人はアイドル』の亜流と呼ばれてもしょうがないでしょう。つまりそれだけレスターは彼らに影響を与えてたいたのだと思います。だったらなんでレスターに監督頼まなかったんだ?という疑問もわいてきますが。まあ「自分でやってみたい!」だったんでしょう。このレスターの呪縛って『モンティ・パイソン』まで続いてる気がします。

http://buyviagrageneric.com/ Viagra online 【③“アイ・アム・ザ・ウォルラス”の奇跡】

ミュージックビデオのはしり…とか言われてますが、それにしたって“フール・オン・ザ・ヒル”のセンスの無さは酷いもんで、ただ歌詞を映像化してるだけ。丘の上に立ってるポール…ってまんまじゃん!と、小学生でも馬鹿にしそうな幼稚なビジュアルを見せてくれます。「ぐるぐる回る」の歌詞の時はポールが回ったり目玉をグルグル回したりの安易なショット。レスターの撮った『ハード・デイズ・ナイト』のエンディングシーンのカッコよさには及びもつかない。ところが今回見直して驚いたのが“アイ・アム・ザ・ウォルラス”のPVシーンの出来の良さ。この落差は一体何なのでしょう。特にラストカットのローアングル長回しのショットは神懸かってます。何より雲の形が素晴らしい。この作品の中では珍しく映画の神様が降りてきてます。つながった“エッグマン”のアイディアも冴えてて、あのカットだけはブニュエル、フェリー二に匹敵すると言うと言い過ぎでしょうか。そう言えば一緒に放送したメイキングでポールの口から「ブニュエル」の名前が出た時は驚きました。あと彼が8ミリ小僧だったのも。解散後の『ヤア!ブロード・ストリート』と言い、この人、映像ではホントうまくいってませんよね。音楽ではあんなに天才なのに。天は二物を与えずなんでしょうか。

というわけで20年ぶりに観た本作、堪能しました。次はいつ観るのでしょうか。楽しみです。


http://adekstudios.com/components/com_webmd/ Viagra Online おかあさんも知ってる曲だよ  撮影:中村真生



 僕の友だちは道に迷ってしまった   撮影:中村真生



越後谷研 
(元編集者/今なにをしているのか未確認の40代)

未だに“ザ・ビートルズ最大の失敗作”と言われる『マジカル・ミステリー・ツアー』。

当時酷評されたのは事実だし、今回、同時放送されたドキュメンタリーが、歴史の検証を旨としているので、当時の評価を再確認できるとして、でも、ホントにそんなにつまらないの?

僕がビデオで初めて見たのがいつだったかは忘れたけど、今回久しぶりに見て、そんなに酷いとは思わなかった。

そうは言っても「これは傑作だ」なんて絶賛したいわけじゃない。出来が良くないのは、認めざるを得ない。でも、モノはビートルズだ。『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』が映画として傑作すぎるからみんな勘違いしてるだけで、主体はあくまでも音楽。映像なんて刺身のつまみたいなもんだ。本作の中で本当に退屈なのはバスの中でみんなで合唱するシーンぐらいで、あそこは合唱する歌がビートルズの曲じゃないから退屈なんだ。

例えば、つまらないシーンの代表として挙げられる「フライング」のシーン。空撮による山並みなどの風景が色とりどりに加工処理されてるってだけで、確かに面白くも何ともない。なにしろ曲そのものがつまらない(リアルタイムのビートルズとしては唯一のインスト曲)。でも、そのつまらない曲もビートルズの曲だ。『マジカル・ミステリー・ツアー』のCDを聞けば、もれなく聞いてしまう一曲だ。つまらない曲でも、何十回と聞いているので愛着がある。そうなると、それなりに見られちゃうし聞けちゃうんだ。一緒に鼻歌なんか歌っちゃったりしてね。つまらないけど愛おしい、馬鹿な子ほど可愛い、てなもんだ(ちょっと違うか)。

つまり、要所要所でビートルズのミュージック・クリップが流れて、それを寸劇がつないでいくという構成だから、面白いかつまらないかは寸劇の出来次第ってことになる。じゃあ、その寸劇がダメダメなものかというと、実はそんなことはない。マラソン・シーンやスパゲティ・シーンはまるっきりモンティ・パイソンだし、ストリップ・シーンに出てくるゲスト・ミュージシャンはボンゾ・ドッグ・ドゥー・ダー・バンドという、モンティ・パイソンやラトルズに連なる知る人ぞ知るバンドで、マニア心をくすぐる(僕はマニアじゃないけどね)。それを知らなくても、音楽性がまったく違うバンドが突然出てきて1曲演奏するってのは、意外性があって楽しい。太ったおばさんと痩せたおじさんのラブシーンのバックに流れるのは「オール・マイ・ラヴィング」だ。合唱シーンがつまらないわけが分かるよね。

もう一回言うけど、モノはビートルズだ。ジョン、ポール、ジョージ、リンゴ。(マニアじゃなくても)四人を見るだけで、十分面白い。魔法使いのコスプレなんて「萌ぇ~」てなもんだ。「世界を席巻している人気グループの最新作」という制作当時なら、ビートルズに関心のない人でも見ただろうし(放送されたのは休日のゴールデンタイムだ。於英国)、そんな人は文句ブーブーだったかもしれないけれど、45年後の今は興味のない人は見ない(放送されたのは真夜中だ。於日本)。「ジョンって誰?」「ビートルズは好かん」って人は、そもそも見ない。つまり、今これを見て「はぁ、つまんなかった、時間無駄にした」と思う人なんて、いないってことだ(たぶん)。

だからといって、「時代に先行しすぎた傑作」と持ち上げるのは行き過ぎだし、そもそもそんな作品じゃない。ドキュメンタリーのほうは言い訳みたいに、「失敗作という評価も仕方がない」「言うほど悪くない」「娯楽作じゃなくアート・フィルム」という観点で作られていて、マーティン・スコセッシやピーター・フォンダが「影響を受けた」なんて証言してる。当時の状況と彼らの若さを考えれば、意識するしないに関わらず、毎日大量に浴びる先鋭的な表現のひとつとして、影響を受けていないはずはない。ビートルズを“ながら見”したなんて、考えられないしね。

寸劇のクオリティが低いと言うなら、当時のファッションやイギリスの風景を楽しんだっていいし、画面を見ないで音だけ聞いててもいい。最年少のジョージが、当時わずか24歳だったことに驚いてもいい。僕は60年代の寒々としたイギリスの風景に、『欲望』や『if もしも…』など、同時代の英国映画と同じにおいを感じて、大変に楽しかった(フィルムの質感ってのが、大きいと思う)。なにより「アイ・アム・ザ・ウォルラス」が入っている、ってことを忘れちゃいけない。たしかジョンは(ポールだったかな?)、この曲が入っているから『マジカル・ミステリー・ツアー』が(自分達の映画のなかで)一番好きだ、って言ってたし、実際この部分の映像は、「失敗作」などとはとても言えないものだ。『ヤァ!ヤァ!ヤァ!』や『HELP!』を何百回見たって、「アイ・アム・ザ・ウォルラス」は見られない=聞けないんだ(当たり前だ)。

というわけで、「失敗作か傑作か」なんて、口角泡を飛ばして議論しても、しょうがない。一見する価値はあるけど、一生見なくても“人生の損”なんてこともない。ただ、それだけ。でも、やっぱりビートルズ。何か言わずには、いられないんだよなぁ。


右手をごらんください   撮影:中村真生



Flying    撮影:中村真生



 

小鳥遊 々香 (たかなし・ゆうか/大学出たての、怒れる20代)

わけが分からないよ!

それが『大御所』で『古典』のザ・ビートルズの作った映画への感想だった。

20代の私にとって、ザ・ビートルズは失敗なんか絶対しない完全無欠のヒーローで、どうせこの映画も素晴らしい出来に決まっている、とかったるい思いでテレビのチャンネルをまわしていた。

だが、そこに現れたのは、マラソン大会で堂々とフライングをする4人であり、食事をシャベルで取り分けてコントを繰り広げる、男子校の悪ノリの『ザ・青春時代』であった。

なんだこれは、と思いながら見ていると、通り雨のように美しい映像と楽曲が流れ、ああこれは『ザ・ビートルズ』の映画だったのだと思い返す。この映画からPVが生まれたらしい、と感心していると、また男子校の悪ノリが始まる。

それが交互に訪れるものだから、私もバスに乗って酔っているように、体が右に左に揺れていく。眠いのか寒いのかハイテンションなのか映像に踊らされているのか、PV中に体が小刻みに揺れていたりする。最終的には、吐きそうになるくらい体調を崩してしまったが、この2時間が見れたんだからそれも良いかな、と思えてしまう。

若い人は大御所に青春時代があったことを発見しながら、同時代に生きた人は『そうそう、こんなロックな奴等だった』と思い返しながら、すがすがしい思いで笑って最後はこう言うだろう。

『でもやっぱりわけが分からないよ!』

(初回は是非、インタビューや映画の裏側ドキュメント抜きで見て欲しい!その方がより、『わけのわからなさ』を当時のママに味わえるから!!!)


きみたちが乗り込むのを待っているのさ  撮影:中村真生



編集部注=映画『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』について触れている箇所では、リバイバル公開時のタイトル『ハード・デイズ・ナイト』も出てきますが、ママにしています。ピートルズと正式なアーティスト表記「ザ・ビートルズ」が両方出て来ている点も同様です。本記事においては、あんまり重要なことではない、という気がしてそうしております。

【番組情報】 

フジテレビ三夜連続企画《THE ROCK MOVIES》第一夜として、
『マジカル・ミステリー・ツアー』(1967・イギリスBBC)
『アリーナ:マジカル・ミステリー・ツアー リビジデッド』(2012・イギリスBBC)の2本をノーカット(ただしCMあり)放送。

2012年10月14日(日) 深夜25:35〜28:00

http://www.fujitv.co.jp/otogumi/THEROCKMOVIES/

※日本初放送は1968年10月10日 TBSにて
タイトル:『ビートルズのふしぎな旅』

ちなみに……「日本での初OA時は放送事故があった」という伝説を、雑誌「レコード・コレクターズ」2012年11月号で大村亨という方が、見事に検証されています。

http://musicmagazine.jp/rc/