昨年、20年ぶりにリバイバル上映を果たし、大好評を博した『阿賀に生きる』(佐藤真監督 1992)が、1月19日(土)より東京・ユーロスペースにて、再びアンコール上映される。
今回は『阿賀に生きる』の10年後に撮られた、記憶と痕跡のドキュメンタリー『阿賀の記憶』も連続上映。両作ともデジタル化の時代に反し、異例の16ミリプリントで上映される。水俣病患者を対象にしながらも、自然とともに生きる喜びにあふれた暮らしにあふれた名作をこの機会に是非ご覧下さい。
【上映情報】
◆ 1月19日(土)~1月25日(金)
「阿賀に生きる」 12:45〜
◆1月26日(土)~2月1日(金)
『阿賀に生きる』 10:30〜
『阿賀の記憶』 13:00~
【劇場】渋谷・ユーロスペース TEL:03-3461-0211
料金:当日1400円
※1月28日(月)は休映
※「阿賀に生きる」の前売り券を引き続きご使用いただけます。
※「阿賀に生きる」の半券提示で、「阿賀の記憶」は1000円でご鑑賞いただけます。
一大ブームを巻き起こした生の記録『阿賀に生きる』が、いま未来を問いかける
ドキュメンタリー映画作家・佐藤真の初監督作品『阿賀に生きる』は、それまで映画館でロードショー公開することのなかった1992年の当時としては異例のロードショー公開を成しえ、ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭、フランス・ベルフォール映画祭、サンダンス・フィルム・フェスティバルなど、国内外のドキュメンタリー映画各賞を総なめした映画史に残る傑作だ。
映画の主役は、1965年に新潟県の阿賀野川流域で蔓延した水俣病を患う3組の老夫婦。かつては鮭漁の名人で田んぼを守り続ける長谷川芳男さんとミヤエさん、200隻以上の川舟を作ってきた舟大工の遠藤武さんとミキさん、餅つき職人の加藤作二さんとキソさん。監督らスタッフ7人は、1989年から川の流域に住み込み、生きる喜びに溢れた豊かな暮らしをありのまま写した。環境汚染と食物連鎖により引き起こされた人類史上最大の公害病、水俣病を根底に据えながらも、そこからはみ出す人間の命の賛歌をまるごと収めた本作は、混迷する現代に、自然と共生する人間の力強さを呈し、未来への一筋の光を指し示すだろう。
監督:佐藤真/撮影:小林茂/録音:鈴木彰二/撮影助手:山崎 修/録音助手:石田芳英/助監督:熊倉克久/スチール:村井勇/音楽:経麻朗/整音:久保田幸雄/録音協力:菊池信之/ナレーター:鈴木彰二/題字:小山一則/ネガ編集:高橋辰雄
製作:阿賀に生きる製作委員会/提供:カサマフィルム/協賛:シグロ/配給・宣伝:太秦/配給協力:コミュニティシネマセンター
1992年/日本/115分/カラー/16ミリ/スタンダードサイズ/モノラル
Ⓒ阿賀に生きる製作委員会 www.kasamafilm.com/aga
伝説のドキュメンタリー『阿賀の記憶』が16ミリニュープリントで復活!
『阿賀に生きる』から10年、映画に登場した愛すべき人たちの多くがこの世を去ってしまった。佐藤真監督と小林茂キャメラマンは再び阿賀の地に赴くことを決意する。荒れはてた田んぼや、主を失った囲炉裏などにキャメラを向け、人々が残した痕跡に10年前の映画づくりの記憶を重ねていく。そして、時間とは無関係であるかのように、阿賀野川はいつまでも雄大に流れる。人々と土地をめぐる記憶と痕跡に、『阿賀に生きる』という映画の記憶が交差し、過去と現在を繊細かつ大胆に見つめた至極のドキュメンタリー映画。
監督:佐藤真/プロデューサー:矢田部吉彦/撮影:小林茂/録音・音構成:菊池信之/編集:秦岳志 音楽:経麻朗/協力:旗野秀人/製作・配給:カサマフィルム/配給:太秦/配給協力:コミュニティシネマセンター/支援:文化庁
2004年/日本/16ミリ/55分/カラー