シネマ・タイフーン: 記憶の表象、表象の記憶
――「フクシマ」を撮るとはどういうことか」
カルチュラル・タイフーン会期中の恒例である映画上映会「シネマ・タイフーン」、今回は<記憶>と<表象>をテーマとして、3本の映画を上映します。 『フタバから遠く離れて』、『無人地帯』、『A2』はいずれも2011年3月の「東日本大震災」、とくに福島原子力発電所の爆発以降の人びとの生活と肉声を追うことで、大きな犠牲をともなった災害以降の<生>のありようを描きます。この3本の稀有なドキュメンタリー作品を通して人間の記憶がいかに表象され、その表象をどう私たち自身の記憶にとどめるかを考えていただけたらと思います。
【会場】東京経済大学 2号館201教室
【参加費】無料(受付で氏名記入)
【プログラム】
『フタバから遠く離れて Nuclear Nation』(2012年、96分)
日時:7月14日(日) 10:50 – 12:26
会場:B201
使用言語:日本語(英語字幕付き)
監督:舩橋 淳
福島第一原子力発電所の事故によって、町ぐるみの避難を余儀なくされた福島県双葉町民たちの日常を克明に描いたドキュメンタリー。人びとの声の奥や表情の襞にまで届くようなカメラの視線が、震災後に故郷を離れて生き続けるという避けられない現実を見る者に突きつけてくる。
『無人地帯 No Man’s Zone』(2011年、102分)
日時:7月14日(日) 13:00 – 14:42
会場:B201
使用言語:日本語(英語字幕付き)
監督:藤原 敏史
福島原発の事故によって「無人地帯」となった「半径20km圏内」における地震と津波の被害、そして美しい田園地帯の情景を描くカメラ。やがてその視線は飯館村へと向かい、そこにとどまり続ける人びとの生きざまを映し出す。彼ら彼女らの肉声から、被災地に生きることの、突然の出来事によって故郷を追われることの「無念」が迫る。
『A2』(2013年、71分)
日時:7月14日(日) 15:00 – 16:11
会場:B201
使用言語:日本語(英語字幕付き)
監督:イアン・トマス・アッシュ
「A2」とは甲状腺に嚢胞や小塊ができたという「陽性反応」をしめす医学用語である。福島原発後の政治・官僚・経済・メディア・学会あげての「安全キャンペーン」から18か月後、被曝した子どもたちの甲状腺障害を切り口に、「裏切られた」人びとの怒りと苦悩をカメラは追う。2013年6月フランクフルトにおける日本コネクション・フィルム・フェスティバルでの日本映像賞受賞作品。
Representing Loss: The Ethics and Aesthetics of ‘Fukushima’ Related Documentary Films
日時:7月14日(日) 16:30 – 18:30
会場:B201
部門:ディスカッション
使用言語:英語&日本語
オーガナイザー:ニコラ・リスクティン(東京大学)
パネリスト:ニコラ・リスクティン(東京大学)
舩橋 淳
藤原 敏史
イアン・トマス・アッシュ
「フクシマ」関係の3本の映画上映に伴い、映画上映後の7月14日16時30分から映画上映会場と同じB201教室にて、監督の舩橋淳さんと藤原敏史さんとイアン・トマス・アッシュさんをお迎えして、「フクシマを映像によって表象するとはどういうことか」をテーマにフリーディスカッションを行います。司会はニコラ・リスクティン(東京大学)、使用言語は英語と日本語ですが適宜通訳が付きます。どなたでもご自由に参加できますので、そちらにもおいでください。