【Info】本日8/17! 小川プロダクション『三里塚の夏』を観る   上映+特別シンポジウム

 

1968年。たった40数年前の、あなたの知らない日本。

鈴木一誌編著『小川プロダクション『三里塚の夏』を観る—映画から読み解く成田闘争』/小川紳介著・山根貞男編『【増補改訂版】映画を穫る ドキュメンタリーの至福を求めて』(ともに太田出版)同時刊行記念。

 世界的ドキュメンタリスト・小川紳介らが三里塚の農民に寄り添いながら写し撮ったドキュメンタリー映画『日本解放戦線 三里塚の夏』。この傑作は、現在もなお戦後日本の光と影をあざやかに浮かびあがらせる。「三里塚闘争」を通じて、いまも続く「地方」対「中央」の非対称な関係を見つめ直す!

 1960年代末より地元住民の反対を押し切って進められた成田空港建設計画は、豊かさを追い求めた近代日本の矛盾を赤裸々に映し出していた。映画『三里塚の夏』をいま鑑賞し直し、現在だからこそわかる視点から映画を論じることで、三里塚闘争を現代の問題として再び「体験」する!

 

「『三里塚の夏』は、黒澤明の『七人の侍』を意識していたのかもしれませんね。『七人の侍』の村の図には正確さというよりも、手製のデフォルメされた歪みのおもしろさがあった。小川が狙ったのは全体像ではなくて、細部の誇張された、素人っぽい地図のおもしろさだったのかもしれないです」—-大津幸四郎(『日本解放戦線 三里塚の夏』カメラマン)

 

■スケジュール
 8月17日(金)17:00〜

『日本解放戦線 三里塚の夏』(本篇105分/16ミリフィルム上映)

上映後、大津幸四郎(映画カメラマン)、山根貞男(映画批評/『【増補改訂版】映画を穫る ドキュメンタリーの至福を求めて 編者』、鈴木一誌(『小川プロダクション『三里塚の夏』を観る—映画から読み解く成田闘争』 編著)によるシンポジウム

■料金

 前売券 ▶1000円(オーディトリウム渋谷劇場窓口での販売:入場整理番号付)

 当日券 ▶一般:1300円 学生・シニア:1000円

 映画美学校ドキュメンタリーコース受講生:無料
 映画美学校その他の講座受講生:800円

 

■作品紹介

日本解放戦線 三里塚の夏
1968年/長編記録映画/モノクロ作品/105分

製作:小川プロダクション 演出:小川紳介 演出助手:神公平 松本武顕 吉田司 撮影:大津幸四郎 田村正毅 撮影助手:大塚登 録音:久保田幸雄 採録:栗林豊彦 ナレーション:和田周 ネガ編集:関沢孝子 現像所:キ ヌタ・ラボラトリー 録音所:東京スタジオセンター 製作:小林秀子 伏屋博雄 市山隆次 製作進行:野坂治雄 音楽:ベートーベン作曲『交響楽第九番』 林光作曲「セチュリアンの善人」より『神々と善人たちの無防備状態の歌』

7作を数えることになる「三里塚シリーズ」(1968-1977)の第一作。1966年6月に突然、国によって、千葉県成田市三里塚が、新東京国際空港の建設候補地にあげられる。本作は権力と正面から渡りあう、空港の建設予定地およびその周辺で農業を営む農民たちが結成した「三里塚・芝山連合空港反対同盟」のすがたを捉えたドキュメンタリーである。撮影された68年1月から8月にかけての半年間は、始まったばかりの三里塚闘争が大きな転換点を迎える時期だった。反対同盟は、既成左翼を見かぎり、新左翼と呼ばれる学生と共闘する。だが農民たちは、みずからの闘い方を編みだしていく。それは、合法的な「農地死守」の闘いが、非合法も辞さない「農地奪還」の闘いへと転じていく瞬間だった。

登壇者(敬称略)

鈴木一誌(すずきひとし)

1950年生まれ。ブックデザイナー。映画・写真批評も手がける。81年、映画批評で第一回ダゲレオ出版評論賞受賞。『d/SIGN』を戸田ツトムとともに責任編集。著書に『画面の誕生』『ページと力』『重力のデザイン』『映画の呼吸 澤井信一郎の監督作法』(澤井信一郎との共著)『全貌フレデリック・ワイズマン』(土本典昭との共編)など。

大津幸四郎(おおつこうしろう)

1934年生まれ。映画カメラマン。岩波映画で撮影助手を務めたのちに退社。フリーのカメラマンとして独立。『日本解放戦線 三里塚の夏』(小川プロダクション)「水俣」シリーズ(土本典昭)『まひるのほし』(佐藤真)『ドルチェ―優しく』(アレクサンドル・ソクーロフ)『チョムスキー9.11』(ジャン・ユンカーマン)など、数多くのドキュメンタリー映画の撮影を担当する。最新作に『大野一雄 ひとりごとのように』(初演出・撮影)がある。

山根貞男(やまねさだお)
1939年生まれ。大阪外語大学フランス語学科卒業。書評誌や書籍の編集者を経て、映画批評誌「シネマ」69〜71の編集・発行に参加。86年より「キネマ旬報」に日本映画時評を書き続けている。主な著書に『映画狩り』『活劇の行方』『増村保造 意志としてのエロス』『映画の貌』『マキノ雅弘 映画という祭り』『日本映画時評集成2000-2010』など。

 

 

■書籍紹介

 
 
 

小川プロダクション『三里塚の夏』を観る(DVDブック)

上野昻志大津幸四郎山根貞男平嶋彰彦筒井武文鈴木一誌               鈴木一誌(編著)

価格 3333円+税   A5変形版  192ページ  ISBNコード 9784778313142

 

 

 

小川プロダクションの『日本解放戦線 三里塚の夏』が本邦初DVD化!!

本書は「DVDブック」という形で、1968年の三里塚闘争の模様をとらえた傑作ドキュメンタリー映画『三里塚の夏』(本書添付DVDにフルバージョン収録)の映像と共に、小川プロダクションの映画史的な位置づけ、成田空港問題の近代史的な位置づけを行う各種論考を加えた書籍です。いまだからこそわかる視点から映画を観ることで、三里塚闘争を現在の問題として再び「体験」する!!

 

小川紳介
山根貞男(編)

価格 3500円+税 A5判 336ページ ISBNコード 9784778313159

 

 

いまなお世界の若い映画作家を鼓舞しつづける小川紳介による、ドキュメンタリー映画づくりのバイブル、待望の復刊!!

ドキュメンタリー作家・小川紳介の映画作りへの想いが、活字となって響く。
「グーッと回りだすんですよ、被写体の世界が。わかりますか。そこなんですね、仮面がポロッともう一枚取れる。つまり、明らかに記録映画は『劇』なんですよ。・・・・・・これは美しいことですよ。それを覗けるんです。こんな幸せなことはない」(本書より)
増補改訂版の刊行にあたって、たむらまさき氏の貴重なインタビューも収録!