【News】8/28(金)-30(日)開催! 第8回シューレ大学国際映画祭「生きたいように生きる」/羽仁未央監督追悼・『ゆきゆきて、神軍』16ミリ上映など

戦後70周年、原一男監督「ゆきゆきて、神軍」フィルム上映
辛淑玉さん特別講演、生と死を考える特別セッション、など目白押し!

「シューレ大学」は、自分であることを取り戻し、人とつながること、どうやって生きるのかを模索する場です。フリースクール東京シューレを母体に1999年に設立された、日本で唯一のオルタナティブ大学です。決まったカリキュラムはなく、学生たちは自分のスタイルで探究・表現を深めていきます。

シューレ大学国際映祭は、より映像を深めたい学生たちの探求の延長から生まれてきました。学生・スタッフ・OBOGによって運営され、特別選考委員に原一男監督を迎え、2008年より毎年開催しています。

 今年の目玉の一つは、戦後70年企画『ゆきゆきて、神軍』16ミリフィルム上映です。1987年の日本映画界を震撼させた驚愕の作品、天皇の戦争責任に迫る過激なアナーキスト・奥崎謙三を追った衝撃のドキュメンタリーが、16ミリフィルムの鮮やかな色彩でよみがえります。

原一男『ゆきゆきて、神軍』

上映に合わせて、「『神軍』を深く知る! 原一男監督特別講演と新編集映像上映」を行います。この映画のエピソードは、どれもドラマティックです。原監督はまるで去年撮った映画かのように、いきいきとお話されます。今回の講演では、新たにこの映画祭にタイミングを合わせて編集された映像も上映もします。晩年の奥崎謙三が何を考えていたのか、原監督から始めて語られるお話は予想を許しません。

『ヘイトスピーチ』(佐々木航弥監督)は、在日特権を許さない市民の会(通称:在特会)と、それに抗議するカウンターを描いたドキュメンタリー作品です。在特会の言動は「ヘイトスピーチ」なのか? カウンターは何に抗議しているのか? レイシズム(人種差別)とは? ナショナリズムとは? メディアなどがほとんど取り上げてこなかったこの国の事実を、若者が真摯に取材しました。

佐々木航弥『ヘイトスピーチ』

戦後70年企画・特別講演として、「ヘイトスピーチから戦争を考える」(講師:辛淑玉)が行われます。

戦後70年の節目を迎えた今年、“平和”は危機的な状況にあると言わざるを得ないようです。今も各地でヘイトスピーチ(人種、民族、性的指向、性別、思想、職業、障碍などの要素に起因する憎悪を表す表現行為)が続いています。平和は自分と人とが安心して暮らせるところにあるものだとすると、私たちの足元からその平和がゆれています。辛淑玉さんは日本各地のみならず、海外まで飛び回り、ヘイト行為に対しています。ヘイトスピーチから見える戦争と平和についての直言です。

また、「生と死を見つめる現代の映像」というテーマで作品を上映し、この2作品の監督・関係者のトークセッションを行います。一本は筋ジストロフィーでカメラに「生きたい」と訴える実兄を撮ったドキュメンタリー『兄~おにい~』(米田愛子監督)。もう一本は、首吊りを擬似的にすることで毎日を生きる少女が、自分の「死にたい」に対峙するフィクション『自分と天道虫と首吊りの部屋』(中村光男監督)です。

米田愛子『兄〜おにい〜』

中村光男『自分と天道虫と首吊りの部屋』

シューレ大学からは、厳しさの中にふと現れる自然の優しさ、そして美しさ――時に奪い、時に慈しむ。相反する顔を持つ自然の姿を幻想的な筆致で描くアニメーション作品『冬の火』(高橋貞恩監督)、1991年、ソ連崩壊のさなかに自由を切に求める若者たちが設立した映画学校、モスクワ国際フィルムスクールを描いたドキュメンタリー作品『キノシュコーラ・自由と革命の映画学校』(石本恵美監督)の2本が上映されます。

高橋貞恩『冬の火』

また今回は、昨年逝去された羽仁未央さんを悼む、「羽仁未央氏追悼上映&トーク」を企画しました。幼少期からご父君、羽仁進監督の映画の出演、香港返還時の一連の報道、映画のプロデュース、テレビ番組などの映像制作で知られました。エッセイストとしてもご活躍でした。 羽仁未央さんと原一男さんはシューレ大学・映像プロジェクトの親のような存在です。羽仁さんとシューレ大学にゆかりの映像を上映し、ご冥福をお祈りしたいと思います。

羽仁未央作品

シューレ大学国際映画祭「生きたいように生きる」は今年で8回を迎えます。映画をつくる人、観る人の思いが交流するこの映画祭で、私たちは気付いたら私たち自身でも想像もしないような変化を経験してきました。この映画祭は、人を縛るのでなく、解放するものです。人と人とを遠ざけるのではなく、強く繋げています。今年の映画祭に参加してくれる人にもそんな大切な変化が起こりうるという期待を抱いて、一緒に映画祭をつくる皆様の参加を心待ちにしております。

 シューレ大学国際映画祭実行委員 長井岳 山本菜々子


第8回シューレ大学国際映画祭「生きたいように生きる」

【日時】2015年8月28日(金)~30日(日)

【場所】シューレ大学特設映画館
(都営大江戸線若松河田駅下車・徒歩5分)
    アクセスはこちら

【料金】
前売/一回券1000円/フリーパス3000円
    当日/一回券1200円/フリーパス3500円

※前売のお申し込み方法はこちら

【上映プログラム】

8月28日(金)
14:30 国内外のフリースクールの子ども・若者の映像作品の上映&制作者のトークセッション
   ※この回のみ参加費500円
16:00 『キノシュコーラ・自由と革命の映画学校』(監督:石本恵美)
     『冬の火』(監督:高橋貞恩)
     『マリコ―平和を求め続けた三代の物語』(監督:豊雅俊)
   ※トークセッション 石本恵美監督×高橋貞恩監督   
18:30『兄~おにい~』(監督:米田愛子)
    『自分と天道虫と首吊りの部屋』(監督:中村光男)
   ※特別トークセッション「生と死を見つめる現代の映像」
    米田愛子監督×中村光男監督

8月29日(土)
14:00【羽仁未央氏追悼】羽仁未央関連作品、シューレ大学との共同作品
   ※羽仁未央氏の関係者によるトークセッション
16:00『ヘイトスピーチ』(監督:佐々木航弥)
   ※トークセッション 佐々木航弥監督
18:15 特別講演「ヘイトスピーチから戦争・平和を考える」講師:辛淑玉

8月30日(日)
12:00『ゆきゆきて、神軍』(監督:原一男/16mmフィルム上映)
14:30  特別講演 原一男監督
            ※奥崎謙三関連映像あり
16:30『自分と天道虫と首吊りの部屋』(監督:中村光男)
    『兄~おにい~』(監督:米田愛子)
          『キノシュコーラ・自由と革命の映画学校』(監督:石本恵美)
          『冬の火』(監督:高橋貞恩)
            ※上映後 原監督から各作品制作者へのコメントあり

終了後~ 交流パーティー ※参加費別

◎シューレ大学国際映画祭HP(詳しい上映情報あり)

http://shureuniv.org/filmfes/

TEL:03-5155-9801(シューレ大学)

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