雲は流れ、光は闇と溶け合い、空と海の表情は刻一刻と移ろいゆく。自然の静かなる気配に呼応するように変化する身体の感覚を、写真へと表出させたシリーズ「The island without a shore 」。
写真家初の個展となる本展では、シリーズより厳選された14点が展覧される。新たなる写真の可能性を紡ぎ出すMarie Docherの作品群にぜひこの機会にふれてみたい。
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「岸辺のない海」は、2012年6月、ノルウェーのHalsnoy Klosterのアーティストインレジデンスに招待され、その滞在中に制作した作品です。風景の中に肉体を溶け込ませることで、そこでの時間や天候との関係性を探った作品は、静止画像、ヴィデオそして銀塩プリントで構成されています。
夏至を迎えようとする長い夏の一日、光も空模様も絶え間なく変化し、その感覚は確実に肉体にしみ込みます。その皮膚感覚は時間も経ても、確かなこととして記憶されるのです。
フランス語で“le temps”という言葉は、時間と気候の両方を意味します。本作品の発想はまさに、このふたつの言葉の意味にリンクしています。
――Marie Docher
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|開催情報
Marie Docher写真展 『The island without a shore』
会期 2014 年 6月 3日 (火) ~ 6月 21 日 (土)
平日 11:00 – 20:00 / 土・祝日 11:00 – 18:30
休廊 日曜日・月曜日(祝日を除く)
会場 Gallery 916 〒105-0022 東京都港区海岸1-14-24 鈴江第3ビル 6F
www.gallery916.com
入場料 一般 800円、学生 500円
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|プロフィール
Marie Docher
パリを拠点に活躍する写真家。制作の依頼や自身のアート作品を制作し、現在までに6ヶ国での展覧
会の開催、多くの雑誌に作品が掲載されている。