【News】10月の土祝日!川崎市民ミュージアム シネマテーク・コレクション 日本のドキュメンタリーの系譜 vol.2

『三里塚・第二砦の人々』

川崎市民ミュージアム
シネマテーク・コレクション 日本のドキュメンタリーの系譜 vol.2

フィクションの物語を語る劇映画に対して、ニュース映画、記録映画、文化映画などの記録に基づく映画はドキュメンタリー映画と呼ばれています。ドキュメンタリー映画はその本質から、一般的には「現実」「事実」をそのまま描いたものと思われがちですが、カメラによって撮影する者と撮影される者/物があり、撮影した映像を作品として「編集する」という行為が介在する限り、ドキュメンタリー映画は限りなくフィクション映画に近づいていかざるをえないと言えます。そして撮影者と被撮影者の関係性のあり方や編集の方法といったものは、映画を采配する映画監督固有の方法論に依拠すると同時に、時代の流れや趨勢に影響を受けて変化していきます。今回は市民ミュージアムの収蔵作品から日本のドキュメンタリー映画を取り上げ、戦前から戦後にかけての日本の歴史のダイナミックな動きを映像で知るとともに、ドキュメンタリー映画の方法論の変化を辿っていきます。

【期間】2014年10月4日(土)~10月26日(日)期間中の土日祝日 6日間
    ※10月11日、12日、13日は上映なし
【会場】川崎市民ミュージアム
JR横須賀線、湘南新宿ライン、南武線、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅下車バス)
※アクセスはこちら
【料金】一般 600円 大学・高校生・シニア(65歳以上) 500円
    小中学生・市民ミュージアム友の会会員 400円
    幼児(未就学児)、障害者手帳・身障者手帳・療育手帳をお持ちの方およびその介助者1名、 被爆者手帳をお持ちの方 無料
    スカラチケット(10枚綴り回数券・有効期限なし) 4,800円

※過去の上映
【News】9/15〜毎週末に開催!川崎市民ミュージアム・シネマテーク・コレクション  日本のドキュメンタリーの系譜 vol.1


【上映スケジュール】

10月4日(土)岩波映画と「青の会」

11:30-
わが愛北海道
(岩波映画製作所/1962年/カラー/35mm/シネマスコープ/49分)監督:黒木和雄

■北海道の風土と基幹産業を紹介するためのPR映画。アラン・レネの『二十四時間の情事』(1959年)に刺激を受け、一組の男女が旅をするドラマ仕立てで構成された。

青年の海 四人の通信教育生たち
(「大学通信教育生の記録映画」を作る会/1966年/白黒/16mm/スタンダード/54分)監督:小川紳介

■文部省による大学通信教育制度の改訂に反対する4人の学生の闘争を追った作品。カメラは単なる闘争の記録を越えて、学生たちの学ぶことへの苦悩にまで踏み込んだ。

14:00- 
圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録
(記録映画「圧殺の森」製作実行委員会+自主上映組織の会/1967年/白黒/16mm/スタンダード/102分)監督:小川紳介

■市と大学が行なった不正入学に対する学生ストライキの記録。監督とスタッフは、数十名の学生が占拠した学生ホールに共に立てこもり、彼らと一体となった視点から闘争を見つめた。

『圧殺の森』

10月5日(日)世界の動乱

11:30-
ベトナム
(「ベトナム」製作実行委員会/1969年/カラー/16mm/スタンダード/108分)監督:山本薩夫

■冷戦下のベトナムの情景を記録した作品。青年突撃隊と北緯17度線直下の地区で闘い続ける人々の姿が、劇映画の巨匠・山本薩夫ならではのタッチで描かれる。

14:00-
ユンボギの日記
(創造社/1965年/白黒/16mm/スタンダード/24分)監督:大島渚

■大島渚がTVの仕事で韓国に渡った際に撮影した写真を、貧しい韓国人少年が綴った日記に重ね合わせた作品。写真とナレーションのみの構成は、記録でありながら詩のようでもある。

にっぽん零年
(日活/1969年/白黒/35mm/スタンダード/73分)構成、演出:河辺和夫、藤田繁矢

■フーテン、自衛隊員、学生活動家…。安保闘争を中心に揺れ動く日本の若者たちの姿が描かれた。スタッフ内部の意見対立や撮影中止命令で長い間未公開となっていた作品。

 ※11日(土)、12日(日)、13日(月・祝)はイベント開催のため映画上映はありません。

10月18日(土)小川紳介

11:30-
現認報告書 羽田闘争の記録
(上映実行委員会+岩波映画労働組合+映像芸術の会+グループびじょん /1967年/白黒/16mm/スタンダード/58分)監督:小川紳介

■ベトナム反戦への気運高まる1967年に起きた「10.8佐藤首相ベトナム訪問阻止闘争」での京大生死亡事件の記録。小川とスタッフらは、死因を検証し権力の暴挙を暴いていく。

13:30-
三里塚 第二砦の人々
(小川プロダクション/1971年/白黒/16mm/スタンダード/139分)監督:小川紳介

■事前説明なく新空港建設をすすめる国と公団に対し、砦を築き徹底抗戦した地元農民の記録。長期土着型取材で知られる小川監督を代表する「三里塚」シリーズのうちの1作。

10月19日(日)土本典昭①

11:30-
医学としての水俣病〈第1部=資料・証言篇〉
(青林舎/1975年/カラー/16mm/スタンダード/82分)監督:土本典昭

■長きにわたって水俣病を撮り続けた土本典昭による科学映画。医学者チームの研究と記録をたどり、水俣病の発症が病理学的に解明される過程が描かれる。全3部構成。

14:00-
パルチザン前史
(小川プロダクション/1969年/白黒/16mm/スタンダード/120分)監督:土本典昭

■1968年の京大全共闘運動における京大助手・滝田修を追った作品。彼の活動家としての「闘争」だけではなく、家庭人、研究者としての「生活」にまで迫り記録した。

『医学としての水俣病』

10月25日(土)土本典昭②

11:30-
医学としての水俣病〈第2部=病理・病像篇〉
(青林舎/1975年/カラー/16mm/スタンダード/103分)監督:土本典昭

■有機水銀の人体への侵入経路が解剖や動物実験によって病理学的に示される様子の記録。一方で、患者認定における病理学の限界も露呈していく。

14:00-
医学としての水俣病〈第3部=臨床・疫学篇〉
(青林舎/1975年/カラー/16mm/スタンダード/91分)監督:土本典昭


■第2部で露呈した患者認定の問題を、医師の意見と活動を軸に捉え直した作品。水俣病を否定された患者の例を再検証することで、疫学的側面の重要性が強調されている。

10月26日(日)原一男

11:30-
さようならCP
(疾走プロダクション/1974年/白黒/16mm/スタンダード/82分)監督:原一男

■CP(脳性小児麻痺)者たちをとらえたドキュメンタリー。安易なヒューマニズムに陥らずに、不自由な体を積極的に人前にさらすことで彼らと向き合った。

14:00-
極私的エロス・恋歌1974
(疾走プロダクション/1974年/白黒/16mm/スタンダード/110分(92分))監督:原一男

■かつて、原が一緒に暮らした女性を追って沖縄へ行き、彼女が自力出産を行なうまでを捉えた作品。被写体との関係のなかで浮かび上がる、監督自身の私映画的作品。