今年も「福島映像祭2014」が、9月20日(土)〜26日(金)にポレポレ東中野と隣接する「Space&Caféポレポレ坐」で開催される。映画のみならず、全国各地のテレビ番組や一般市民の記録まで、ありとあらゆる映像をあつめ、福島の「今」と「これから」を考える貴重な機会だ。2回目となる今回は、どのような映像が集まったのか。主催団体「Our Planet-TV」の高木祥衣さんに、今年の特徴をまとめていただいた。
(neoneo編集室 佐藤寛朗)
福島映像祭2014とは?
映画からテレビ番組、一般市民による生活の記録まで、福島にまつわるあらゆる「映像」を集め、多角的な視点から福島の「今」を共有する「福島映像祭」。多様な映像を通して福島第一原発事故以降の福島の姿を映し出すことを狙いとして昨年からスタートした。今年も9月20日(土)~26日(金)の1週間、ポレポレ東中野で開催する。
今回は【市民部門】だけでなく【映画部門】【テレビ部門】の上映作品も公募で広く募り、様々な切り口の作品の参加を呼びかけた。驚きや発見を与えてくれる、型にはまらない作品に出会えたら、という期待を持って公募に踏み切った。また、福島をテーマにした映像作品はたくさん生まれているが、ひとつの作品ではなかなか上映が難しい個人による記録も多い。そういった作品にも光をあて、映像祭という枠組の中で見せていきたい、開かれた場を目指したい、という思いもあった。
映画は20作品以上の応募があり、その中から6作品を選んだ。テレビ作品は思ったようには集まらず、こちらから声をかけたものも含めて6作品。市民部門は15件40作品以上の応募があり、3作品をイベント上映する。農業や生きもの、家族、自主避難や保養、そして中間貯蔵施設―。福島の抱える多面的な現実を、異なるテーマの作品から見つめ、たくさんの物語を紡いでいきたい。そんな思いから、今年の上映作品を選定した。
『無知の知』プレミア上映 『福島 生きものの記録』シリーズ第二弾も登場
「あのとき福島第一原発で何が起きていたのか?」「原発とは何か?」プレミア上映となる『無知の知』は、「原発」について「何も知らない」ということを自覚した監督の、突撃インタビューの記録だ。被災地の人々、政治家、専門家―。怒られ、呆れられながらも約1年をかけて話を聞いて回る中で、それぞれの立場の正義、日本の未来像が描かれている。9月23日(火・祝)12:30の回、上映後には石田朝也監督とともに、本編にも登場する元内閣官房副長官・福山哲郎氏がトークに参加する。
昨年の福島映像祭2013でも話題となった「福島 生きものの記録」のシリーズ第二弾「福島 生きものの記録 シリーズ2~異変~」。継続して福島県内の動物たちの観察を続ける撮影クルーが、ツバメ、牛、猿、カエル、そしてタンポポにカメラを向ける。今回は淡水魚や蝶の調査結果も明らかに。生きものとしての人間を意識させる作品だ。
「3 PORTRAITS and JUNE NIGHT」は福島県郡山市出身の映像作家・池田泰教による、栃木県益子町の震災前後を2つの手法で描いたドキュメンタリー映画。陶芸の盛んな町で、土に触れる様々な仕事に携わる人々を通して、震災以降、変わってしまった暮らしや営みを映し出す。前半は東日本大震災前のインタビューを元にした3つのビデオポートレート、後半は震災後の聞き取りを元に監督が脚色を加え、本人による再現と製作中の出来事を交え制作されている。
福島県桑折町が舞台の劇映画も
福島映像祭では初の劇映画となる「物置のピアノ」は福島県桑折町が舞台。ピアノに魅せられた17歳の女子校生の揺れ動く青春と旅立ちの物語だ。震災前から計画されていた映画製作プロジェクトで、地元住民もエキストラとして参加している。桑折町の美しさ、町に根付く音、そこで生きる人々の息づかいが溢れ出す。
このほか、フランス人監督による「Gambaro(Courage!)」、若干24歳の監督が故郷の町を見つめた「南相馬市原町区 ぼくの町の住人」も含め全6作品を上映。連日、関係者の舞台挨拶や上映後のトークも多数予定されている。【タイムテーブル】