【Review】更新されゆくもの、流動と生成――愛知県美術館「これからの写真」展のあとに text 影山虎徹

|素朴な疑問 この展示会の主題はいたって明確だ。「これからの写真とは何か」。 しかし、この素朴な疑問に答えるためには、いくつもの障壁を超えていかなければならない。この疑問は、「時間とはなんであるか」や「真実とはなんである

【Review】写真的記憶とは何か――「原始の記憶」を追い求めて/上田義彦「M.Ganges」展 text 影山虎徹

写真家の上田義彦自身が主宰を務めるギャラリー916で「原始の記憶を辿る」ことをテーマにしたMシリーズが展示されている。今回は、インドのガンジス河で撮影された「M.Ganges」がギャラリーの壁を飾る。上田の写真に写される

【Review】「ボブ」としてのキャパが見たもの――『101年目のロバート・キャパ-誰もがボブに憧れた』展 text 影山虎徹

報道写真とは、戦場や災害被災地など、「現場」にいない人間にそこで起きていることを伝えるジャーナリズムの役割を一般に担う。その役割には、即興性が必要であり、いわゆるタイムリーな時期を過ぎると、ほとんどの報道写真は価値を失っ

【Interview】その人の立つところで撮る――『はまゆりの頃に 三陸、福島2011~2013年』田代一倫さんインタビュー

カメラを抱えて単身、震災の被害を受けた三陸・福島へ。2011年から2年にわたって東北へ通いつづけた写真家と人びととの出会いは1200を数え、453点のポートレートとなって写真集に編まれた。そのすべてが人びとの全身を収めた

【Review】光の系譜の終焉に向けて――「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」展 text 影山虎徹

森村泰昌の作品を観ると、思わず笑みを漏らしてしまう。展示会ともなると壁一面に展示された作品の全てに作者がいるという光景には独特の趣きがある。しかし、すぐにこの悪ふざけにも似た行為は何なのだろうという疑問が私たちを襲う。そ

【Report】映像イメージへの応答をめぐって――あいちトリエンナーレ2013 text 影山虎徹

|震災経験の風化に抗して 愛知県で3年に1度開催されている芸術祭「あいちトリエンナーレ」が、8月10日より始まっている。今回のテーマは「揺れる大地―われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」であり、震災後の