『ゼロ年代アメリカ映画100』が2010年12月に刊行されて以来、90年代、80年代、70年代と遡ってきたアメリカ映画100シリーズ。
満を持して『60年代アメリカ映画100』石澤治信、渡部幻・編が刊行。
1960年~1969年。
「ニューシネマ」がすべてではない。豊穣なる世界を見よ!!
(芸術新聞社サイトより)
「60年代アメリカ映画」と聞いて、人々の記憶に何が呼び起こされるのだろうか。
時代の幕開けとともにアメリカは、若き大統領J.F.ケネディを迎え、公民権運動、ベトナム戦争を通過して混沌の季節に入った。一方50年代から引き続く表現の革新は、次第に政治性を色濃くしつつカウンタカルチャーとして結実、変革の波は燃え上がった。
やがてアメリカ映画も変革の時代を迎える。ハリウッドの外から、アンダーグラウンド作家やテレビ出身のインディペンデント作家たちが表現の枠を拡張、B級映画がより猥雑な視野で若者の人気を獲得。没落寸前だったハリウッドにも影響が及び、世間をあっと言わせたのは67年。『俺たちに明日はない』と『卒業』の登場によってだった。
しかし、ニューシネマ以前を含めた60年代をあらためて俯瞰したとき、黄金時代を知るベテラン、中堅、そして独立独歩の異端児たちが入り乱れた多様性のなかに、加熱した過渡期的諸相が見て取れるのである。
とかく見過ごされがちな前半期を含めた10年として見つめ直し、60年代を10のコラムとカタログ100で検証します。
※シリーズ前作同様、付録「60年代クロニクル」つき。
『60年代アメリカ映画100』
石澤治信・渡部幻 編
芸術新聞社
2014年9月20日発行
定価 2,800円+税
【コラム・インタビュー・対談一覧(仮題)】
- 生井英考「60年代アメリカ社会総論」
- 粉川哲夫「60年代アメリカ映画のメディア的側面」
- 川本三郎「ケネディの登場によってアメリカ映画が変わりはじめた」
- 大久保賢一「オルタナティヴなアメリカ映画の誕生」
- 高崎俊夫「60年代映画とジャズをめぐる私的断章」
- 原田眞人「FKLPと60年代アメリカ映画監督再考」
- 芝山幹郎「アンチ・アカデミーの視点から見る60年代アメリカ映画の様相/アメリカンB級スピリットの侵攻」
- 柏原寛司「60年代、個性派男性スターたちの光芒」
- 上島春彦「プロダクション・コードの消滅」
- 大森さわこ「アメリカ映画を揺さぶったコーマン・スクールの不良たち」
- 小野耕世×髙平哲郎「時代の揺らぎを映す60年代アメリカ映画の愉楽」
- 前史
アメリカの影◇お熱いのがお好き◇悲しみは空の彼方に◇リオ・ブラボー◇真夏の夜のジャズ - 1960年
サイコ◇アパートの鍵貸します◇スパルタカス◇エルマー・ガントリー◇ G・I・ブルース - 1961年
ハスラー◇ウエスト・サイド物語◇ニュールンベルグ裁判◇ワン・ツー・スリー◇荒馬と女◇ティファニーで朝食を◇噂の二人◇草原の輝き◇片目のジャック◇底抜けもててもてて◇101匹わんちゃん大行進 - 1962年
樹々の大砲◇影なき狙撃者◇ロリータ◇何がジェーンに起ったか?◇奇跡の人◇アラバマ物語◇昼下りの決斗◇リバティ・バランスを射った男◇史上最大の作戦◇野望の系列◇明日になれば他人 - 1963年
アメリカ アメリカ◇ハッド◇大脱走◇鳥◇ショック集団◇血の祝祭日◇たたり◇アルゴ探検隊の大冒険◇ピンクの豹 - 1964年
博士の異常な愛情◇5月の7日間◇未知への飛行◇質屋◇クール・ワールド◇リリス◇裸のキッス◇殺人者たち◇マイ・フェア・レディ◇イグアナの夜◇赤死病の仮面◇不意打ち - 1965年
ラブド・ワン◇ファスタープッシーキャット キル!キル!◇コレクター◇サウンド・オブ・ミュージック◇キャット・バルー◇シェナンドー河◇ミッキー・ワン - 1966年
セコンド◇バージニア・ウルフなんかこわくない◇グループ◇ミクロの決死圏◇銃撃◇テキサスの五人の仲間 - 1967年
俺たちに明日はない◇卒業◇殺しの分け前 ポイント・ブランク◇チチカット・フォーリーズ◇ドント・ルック・バック◇暴力脱獄◇冷血◇ある戦慄◇特攻大作戦◇夜の大捜査線◇招かれざる客◇ドアをノックするのは誰?◇プロデューサーズ - 1968年
2001年宇宙の旅◇ウエスタン◇猿の惑星◇太平洋の地獄◇フェイシズ◇泳ぐひと◇華やかな情事◇愛すれど心さびしく◇殺人者はライフルを持っている◇絞殺魔◇ローズマリーの赤ちゃん◇ナイト・オブ・ザ・リビングデッド◇キャンディ◇ブリット◇華麗なる賭け◇グリーティングス◇甘い抱擁◇レッド・ムーン◇おかしな二人 - 1969年
明日に向って撃て!◇夕陽に向って走れ◇勇気ある追跡◇雨のなかの女◇泥棒野郎◇ジョンとメリー◇スヌーピーとチャーリー◇ワイルドバンチ◇真夜中のカーボーイ◇イージー・ライダー
(neoneo編集室・若木より)
『60年代アメリカ映画100』では、国内外の映画祭に関わる小山さなえさんが、ジョナス・メカス『樹々の大砲』について4ページにわたって執筆されています。小山さんは2012年、メカスの回顧展と新作を見るためだけ! を目的にパリ、ロンドンを旅した方。昨13年春、本サイトに全3回のレポート『90歳のジョナス・メカスを追いかけて』を寄せて頂きました。
実は、このレポートが編者・渡部幻さんの目に留まり、快く小山さんを紹介させてもらった次第です。
neoneoでは編集を名乗っても、プロからすればママゴトでしかない身ですが、弊サイトが、書き手が次の場に移るお手伝いを担えたことは大変うれしく、冥利をわずかでも味わえたような気持ちでおります。
『90歳のジョナス・メカスを追いかけて』 是非、『60年代アメリカ映画100』のサブテキストとしてお読みいただければ幸いです。
http://webneo.org/archives/13281
http://webneo.org/archives/10094
http://webneo.org/archives/10528