【Festival Report】 フィルムが消滅しても『万葉律』がある。  text 原將人

 いよいよ今月で富士のシングル8の出荷が完了し、私が半世紀近く愛用してきたフィルムが亡くなる。今は亡き フィルムたちの 手ざはりを 感じ取りつつ パソコンに向かふ撮影に2年、編集に5年かかったが、私も映像編集ソフトと馴染

【記録文学論①】 『ピンチランナー調書』 text 中里勇太

 「――ピンチランナーに選ばれるほど恐ろしく、また胸が野望に湧きたつことはなかった! あれは草野球の受難だ。いまあの子供らは、ピンチランナーに呼びかけないが、たとえこのような場合にもおそらく……」。一ページ目に置かれた原

【Review】 『アリラン』 text 中村のり子

何の意味もない撮影のようで、一つひとつは計算し尽くされている。ぼさっとした男が、寒そうなボロ屋で、ただ湯を沸かし、食事をする。髪をとかし、自分を見つめる。それ自体はとくに趣向もなく、素朴な手持ちカメラで今やありきたりなセ

【Review】『スリープレス・ナイツ・ストーリーズ 眠れぬ夜の物語』 text 萩野亮

今年で4回目をむかえた恵比寿映像祭は、去る2/10より15日間開催された。今回のテーマは「映像のフィジカル」。展示部門、上映部門ともにおもしろい動きが出てきた。これまでは国内外のビデオアートに寄った作品選定がなされてきた

【リレー連載】ワールドワイドNOW★NY発/アメリカで語られる東日本大震災の姿(前編) text 東谷麗奈

昨年の3月、東日本大震災が起きた数日後のことだった。ニューヨークの私の勤務先に、アメリカのあるテレビ局から、日本にすぐ飛んで福島で取材できるスタッフを探しているのだがとの依頼が入った。その頃には既に、日本から遠く離れたニ

【連載①】 『ピナ・バウシュ 夢の教室』 text 若木康輔

♯1 『ピナ・バウシュ 夢の教室』 2012年1月27日 映画美学校試写室 neoneoのリニューアルを、勉強し直すよい機会にしようと思っている。そういう意識を持って接したなかから、新作映画を中心に、ドキュメンタリーにつ