【Book Review】「映画館プログラム」という知られざる魅惑を求めて――『映画館と観客のメディア論 戦前期日本の「映画を読む/書く」という経験』 text 大内啓輔

かつて「映画館プログラム」という読み物があった! たとえば今、私たちが映画館に足を運んで映画を観るとしよう。そのとき、事前にその映画について、何一つの知識を入れずに鑑賞することは不可能に近いはずだ。いわゆる一般的に劇場公

【Review】翻訳家のからだを通じて“ハルキ・ムラカミ”を旅するロードムービー『ドリーミング村上春樹』 text 大内啓輔

『ドリーミング村上春樹』(原題はDREAMING MURAKAMI)と日本語で名付けられたこの映画には、村上春樹その人は登場しない。私たちは、デンマークで流通する村上春樹の小説のほとんどの翻訳を手がけているという、ひとり

【Review】誰にだって「物語」がある――『僕の帰る場所』レビュー text 大内啓輔

   精神科医から薬を処方されている一人の女性。続いて、彼女が二人の子どもの世話に手を焼いているアパートの一室と、ある「申請」をめぐってトラブルを抱え込んでいるらしい男性が映し出される。すると彼らが家族であるこ

【Review】差別のなかで自身の根源的なルーツを切望する少女の過去と現在‐‐『サーミの血』 text大内啓輔

 (c) 2016 NORDISK FILM PRODUCTION 『サーミの血』という題名だけを聞くと、本作が「サーミ人」という固有の民族をめぐる物語であると想起するかもしれない。自身もサーミの血をひくという監督のアマ