【連載】ウディ・アレンの逆説 ポスト・トゥルース時代のスキャンダル⑤ text 大内啓輔
ウディ・アレンと運命論 転換点としての『マッチポイント』 ウディ・アレンのフィルモグラフィーの分水嶺となる作品とは何か。商業的な成功と、作家としての批評的な評価という点において、第一に名前が上がるのは『アニー・ホール』(
【連載】ウディ・アレンの逆説 ポスト・トゥルース時代のスキャンダル④ text 大内啓輔
「ポストモダニスト」としてのウディ・アレン 異例の注目を集めた『夫たち、妻たち』 連載ではここまで、映画作家ウディ・アレンの軌跡を辿りながら、アレンがいかなる語りの戦略のもとで「ウディ・アレン」というオンスクリーンのペル
【連載】ウディ・アレンの逆説 ポスト・トゥルース時代のスキャンダル③ text 大内啓輔
セレブリティの生態学 ウディ・アレンはそのキャリアを通じて、「スター・システム」に強い関心を寄せてきた映画作家である。実質的な監督デビュー作である『泥棒野郎』(1969)では、幾度となく犯罪に失敗しては、そのたびに刑務所
【連載】ウディ・アレンの逆説 ポスト・トゥルース時代のスキャンダル② text 大内啓輔
ウディ・アレンの誕生 ウディ・アレンのキャリアを改めて振り返るとき、1977年に公開された『アニー・ホール』について語ることを避けては通れないだろう。アレンとマーシャル・ブリックマンの共同脚本による『アニー・ホール』は、
【連載】ウディ・アレンの逆説 ポスト・トゥルース時代のスキャンダル① text 大内啓輔
ウディ・アレンはどこにいるのか? ウディ・アレンにとって今のところの最新作となっている『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』(2019)は、昨年7月3日に日本での劇場公開を迎えた。ウディ・アレンの代名詞ともなっているニュー
【Book Review】描き直される映像詩人の肖像――『ジョナス・メカス論集 映像詩人の全貌』 text 大内啓輔
2019年1月23日に96歳で逝去したジョナス・メカス。その死から2年を迎えようとしているタイミングで刊行された『ジョナス・メカス論集 映像詩人の全貌』と題された本書は、ドキュメンタリー専門誌「neoneo」編集室が創刊
【Book Review】「映画館プログラム」という知られざる魅惑を求めて――『映画館と観客のメディア論 戦前期日本の「映画を読む/書く」という経験』 text 大内啓輔
かつて「映画館プログラム」という読み物があった! たとえば今、私たちが映画館に足を運んで映画を観るとしよう。そのとき、事前にその映画について、何一つの知識を入れずに鑑賞することは不可能に近いはずだ。いわゆる一般的に劇場公
【Review】翻訳家のからだを通じて“ハルキ・ムラカミ”を旅するロードムービー『ドリーミング村上春樹』 text 大内啓輔
『ドリーミング村上春樹』(原題はDREAMING MURAKAMI)と日本語で名付けられたこの映画には、村上春樹その人は登場しない。私たちは、デンマークで流通する村上春樹の小説のほとんどの翻訳を手がけているという、ひとり
【Review】誰にだって「物語」がある――『僕の帰る場所』レビュー text 大内啓輔
精神科医から薬を処方されている一人の女性。続いて、彼女が二人の子どもの世話に手を焼いているアパートの一室と、ある「申請」をめぐってトラブルを抱え込んでいるらしい男性が映し出される。すると彼らが家族であるこ
【Review】差別のなかで自身の根源的なルーツを切望する少女の過去と現在‐‐『サーミの血』 text大内啓輔
(c) 2016 NORDISK FILM PRODUCTION 『サーミの血』という題名だけを聞くと、本作が「サーミ人」という固有の民族をめぐる物語であると想起するかもしれない。自身もサーミの血をひくという監督のア