【Review】 『うたう天皇』中西進著 text 樋口明

本書は、戦後を代表する万葉学者の中西進が、戦後の視点から新たに万葉集の精神について語ったものである。万葉集の精神については、戦前、日本浪漫派の保田與重郎が当時の「近代の超克」的な観点から読み解き、人々に大きな影響を与えた

【論考】謙譲の過程としての「面」の提示―松林要樹監督『相馬看花 -第一部 奪われた土地の記憶-』 text 阿部嘉昭

森達也ほか四人の共同監督による『311』は、東日本大震災後、拙速で福島原発事故の立ち入り禁止区域から津波被災区域までを縦断した。準備不全、わが子が行方不明になった母親たちへの「不恰好」なインタビューなどによって、「公益性

【Info】『延安の娘』1日だけの緊急上映!

文化大革命に翻弄された父娘を描いたドキュメンタリー映画『延安の娘』。久しぶりの上映が決定!盲目の人権活動家・陳光誠氏の脱出劇など、中国の人権問題に関心が集まるいま、この映画はまた、新たな問いを私たちに伝える―   201

【Essay】「うたはたましいの記録である」①友川カズキ text 金子鉄夫

  自分の家の前で立ち止まり覚悟を決めてドアを押す地獄でもあるまいによ生きてるって言ってみろ(『生きてるって言ってみろ』)   骨抜きである。友川カズキ、1950年秋田県生まれ。先行する時代の赤裸々な

【Info】クリエイター募集!ダンス・プロジェクト『踊りに行くぜ!!Ⅱ』

~ダンス作品クリエイション&全国巡回プロジェクト~ 「踊りに行くぜ!!」Ⅱ(セカンド) vol.3 新作のアイデア・参加アーティストを募集中! 徹底的に作品をつくりたい人大募集!〆切 6月8日必着  ***「踊りに行くぜ

【Info】追悼大野一雄2012 keep on dancing!

大野一雄 追悼上映 ポレポレ東中野で今年も開催! 初日には、毎年恒例の大野慶人さんによるスペシャルステージも決定! 6月1日は、舞踏家・大野一雄さんの命日です。限りない哀しみと溢れるばかりの愛で、そこにある魂に気付かせて

【Review】『こわれゆく女』ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ text 指田文夫

1975年に作られたジョン・カサヴェテス監督、ジーナ・ローランズ主演のこの映画を見て、すぐに思い出したのは、藤田敏八監督、秋吉久美子主演の1973年の日活映画『赤ちょうちん』である。『妹』『バージン・ブルース』と続く秋吉

【自作を語る】偶然の旅人『孤独なツバメたち~デカセギの子どもに生まれて~』を作ること text 中村真夕

「孤独なツバメたち~デカセギの子どもに生まれて」は、浜松に暮らす5人の日系ブラジル人の青年たちを追ったドキュメンタリーだ。2008年8月、私はテレビの取材で浜松を訪れた。土曜日の夜、浜松の町を歩き、たむろしているブラジル

【Info】映文連アワード2012 作品募集

  「映文連アワード」は、プロフェッショナルの仕事にふさわしい作品を積極的に発掘・顕彰することで短編映像業界を盛り上げ、次世代を担う新しい才能を発掘し、映像業界のインキュベータとしての機能を担うために、2007

【Review】『隣る人』 text 吉田孝行

ある映画を観るときの醍醐味の一つは、間違いなく「始まり」と「終わり」の二つのショットを迎えるときの緊張や驚き、感動や失望にあると思うが、その二つのショットの素晴らしさにおいて、『隣る人』と題されたこのドキュメンタリー映画

【Essay】ドキュメンタリー「私」の時間「私」の回路 text 濱治佳 

8月18日から開催予定の「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー–山形in東京(DDS 2012)」では、ここ、neoneoとコラボレーションを組み、新しい試みを行っている。映画祭が開始された1989年から山形映画祭では、イ

【自作を語る】 『プッチーニに挑む―岡村喬生のオペラ人生』公開を目前にして text 飯塚俊男

 [c]アムール+パンドラかつて小川プロに所属して社会的弱者に寄り添うように映画を作り、独立後は環境や歴史、民俗といった文化映像を主に監督してきた飯塚が、なんでオペラ歌手をテーマに撮ったのか? こんな疑問を持つ人がいるか

【論考】 ロジャー・コーマンと日本のロジャー・コーマンたち(前編) text モルモット吉田

1 「僕なんかが営々として八ミリや十六ミリを撮っているときに何を望んでいたかというと、ここに一人のロジャー・コーマンがなぜいないんだということだったですよね。つまり、若い才能はたぶん、アメリカと同じように日本にもいるはず

【特集】DDS2012×neoneo ヤマガタ人気投票プロジェクト関連企画「ヤマガタ・わたしのリクエスト」

「去年、山形までは足を運べなかったなあ」と嘆いておられる皆さん。山形で見逃したあの作品、もう一度見たいあの傑作。今年もやります、山形国際ドキュメンタリー映画祭の東京巡回上映! 今回はなんとDDS2012とneoneo w

【Review】『沈黙しない春』 「反原発デモ」という生きものの記録 text 青木ポンチ

映画、とりわけドキュメンタリーは、時に実社会にたしかな影響を及ぼす。3.11以降、「今ここ」でしか撮れないインディペンデントな作品が数多く作られ、その一石によって社会に新たな“意識”を芽生えさせてきた。©沈黙しない春3.

【Review】 『3月11日のマーラー』 美談の圧に潰されないために text 皆川ちか

ドキュメンタリー、とりわけテレビ放送用のドキュメンタリーには、フィクションさながらの物語性がある。起承転結の起から結に向かって、膨大な映像、たくさんの言葉の中から、各展開にふさわしい部分を抜き取り、さらにナレーションで作

∼市⺠デモとプロテストの新世紀∼

∼市⺠デモとプロテストの新世紀∼『ベオグラード1999』『⽥中さんはラジオ体操をしない』上映会                     ★左右ごちゃまぜトークLIVE!   出演:鈴木邦男 × 田中哲朗 司会:金子遊 新

【Interview】 「あたらしい間借りのかたち―まちのシェアへ」 まちづくり会社ドラマチック 今村ひろゆきさんインタビュー

すぐそばを隅田川の流れる浅草・江戸通り沿いに一軒の古めかしい建物がある。まちづくり会社ドラマチックの代表・今村ひろゆきさんの運営する「LwP asakusa」というスペースだ。今村さんはここをひとつの拠点として、あたらし

【Interview】 今村ひろゆき 「あたらしい間借りのかたち―まちのシェアへ」

すぐそばを隅田川の流れる浅草・江戸通り沿いに一軒の古めかしい建物がある。まちづくり会社ドラマチックの代表・今村ひろゆきさんの運営する「LwP asakusa」というスペースだ。今村さんはここをひとつの拠点として、あたらし

【Info】いま東京の東側が面白い! 5/9[水]「隅田川ジャンクション」開催!!

・日時:5/9(水)open 18:30-21:00/イベントスタート 19:00 ・ 場所:アサヒ・アートスクエア(墨田区吾妻橋1-23-1 スーパードライホール4F) ・ フード・ドリンク:「スパイスカフェ x 東向

【自作を語る】『究竟の地 岩崎鬼剣舞の一年』 text 三宅流

『究竟の地−岩崎鬼剣舞の一年』は先月、一ヶ月にわたるポレポレ東中野での劇場公開を無事終えた。昨年の10月から「もりおか映画祭」を皮切りに東北巡回上映を続けてきて、今回の東京公開に繋がった。しかし東京での公開が終りではなく