【Review】私達は映画を恐れている――三浦哲哉著『映画とは何か フランス映画思想史』 text 奥平詩野

様々なメディアの出現過程を知らない、いわゆるデジタルネイティブと呼ばれる世代に当たる私達は、コンピューターや携帯電話などのメディアの発展について毎回新鮮さを感じて驚きながらもそれを疑わず、当たり前の、一種の世界の決まり事

【Book / 自作を語る】ノンフィクション書籍『福島 未来を切り拓く』 text 平井有太

4年目の311に刊行される拙著「福島 未来を切り拓く」(SEEDS出版)。 その一見した肝は、日々隣に机を置かせていただいている福島県生活協同組合連合会の、金賞数日本一の酒ドコロにあって日本酒をこよなく愛す専務理事をして

【Book Review】『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』(森話社) text 風間 正

クリス・マルケルは、日本では実験性に富んだ映画史に残る名作『ラ・ジュテ』の監督として認知されている。また、同作をテリー・ギリアムがハリウッド映画『12モンキーズ』の原案としたことでも有名である。私自身、これまで幾度となく

【Book Review】高度成長期の東京はどう描かれたかーー『記録映画アーカイブ2 戦後復興から高度成長へ』text 細見葉介

 「東京」という都市を30分弱の映像で表現する−−−−ほとんど実験に近い取り組みが、半世紀前、高度成長期の真ん中の1962年に2人の名監督によって行われていた。 その映像作品と研究を含む書籍が、このほど出版された。『戦後

【Book Review】「時代」を読み解く感覚―大木晴子+鈴木一誌編『1969 新宿西口地下広場』 text 若林良

「青春」という言葉から、私たちはどのような色を連想するだろうか。恐らくは、爽やかさを想起させる青や、情熱を感じさせる赤が多いだろう。たとえば毎年の夏、全国各地から集まった甲子園球児たちの活躍を見て、私たちはこうした色を思

【News】芸術新聞社のアメリカ映画100シリーズ、遂に60年代が刊行!

『ゼロ年代アメリカ映画100』が2010年12月に刊行されて以来、90年代、80年代、70年代と遡ってきたアメリカ映画100シリーズ。満を持して『60年代アメリカ映画100』石澤治信、渡部幻・編が刊行。 1960年~19

【News】明るく赤裸々に語り合う、愛人になった事情と本音―電子書籍『40万で処女を売ったA子 イマドキ愛人事情』発売

40万で処女を売ったA子 イマドキ愛人事情神崎晃 著2014年7月31日発売 impress QuickBooks(R) 各ストア アマゾンhttp://www.amazon.co.jp/dp/B00M9YV4LO/ 楽

【Review】この一抹の違和感はどこから来るのか──佐々木俊尚著『簡単、なのに美味い! 家めしこそ、最高のごちそうである。』 text 三浦哲哉

|うまいにはちがいないのだろうけれど 手にとって読み始めれば、実践に裏打ちされた、リアルな料理書だということがわかる。現代日本社会について書かれた著者の本は読んでおり、どれも役に立つものだということを知っていたので、はじ

【Review】現在の映画の「場所」を巡る旅〜『映画はどこにある インディペンデント映画の新しい波』text 小岩貴寛 

なぜ「映画はどこにあるのか」を探さなくてはならないのか?映画の居場所を探ることでいまの社会を見つめ直す「探求の書」もしあなたが「インディペンデント映画」や「新しい波」といった言葉の並びから、この本を手に取ることをやめるの

【Review】批評家養成ギブス「批評コンペティション2013」優秀作発表!

映画美学校へ場所を移してから2期目となる「批評家養成ギブス」。批評家の佐々木敦氏が主宰する、文字通りの実践的な批評講座である。今期は2013年7月に開講し、12月をもって半年にわたった全講座が終了した。東浩紀、四方田犬彦

【Review】『アイ・ウェイウェイは謝らない』 「世界の中にある中国」「中国の中にある世界」への挑戦 text 松井茂

『アイ・ウェイウェイは謝らない』より ©2012 Never Sorry, LLC. All Rights Reserved どういうわけか、僕は、アイ・ウェイウェイの書評をこれまでに2度書き、今回ドキュメンタリー映画『

【Interview】『あきらめない映画 山形国際ドキュメンタリー映画祭の日々』著者 山之内悦子さんインタビュー

隔年で開催され、今回も約2万人を集め、去る10月に閉幕した<山形国際ドキュメンタリー映画祭2013>(※以下、ヤマガタ)。この開催期間中、市川昭男山形市長が手にとったことを開会式の挨拶時に明かすなど、ある一冊の本が話題を

【News】変貌を遂げる被災地・東北へ 真っ向勝負の肖像写真453点――田代一倫写真集『はまゆりの頃に』里山社より刊行!

「被災地」と「他者の限界」とは? 全488 ページ。掲載写真453 点。撮影人数のべ1200人。史上類のない写真表現。2011~2013 年春。変貌を続ける被災地、東北へ。自らを〝よそ者〟とする33 歳、新人写真家が迷い

【Book】ブックレビュー『逸脱の映像』(松本俊夫著)text 風間 正

松本俊夫は日本で初めて、映像作家という言葉を定着させたことで知られる。なぜ松本は、自らを「映画監督」(長編劇映画は4作を監督)ではなく、「映像作家」と称したのか?「映画」という言葉ではなく「映像」という言葉にこだわり続け

【Book】「この本を読めば、“コロンボ”の見方がわかる!」…のか?~ムック本をドキュメンタリーとして考える~ text 山本達也

まだ未婚の僕は、将来もし結婚出来たらお相手の方のことを「カミさん」と呼びたいと思っています。と、かなりしょうもない告白から始めてみましたが、まぁ要は『刑事コロンボ』のファンだ、ということです。なんだったら、メモした紙とか

【Review】若き日の黒澤明の窮迫――堀川弘道著『評伝 黒澤明』 text 指田文夫

黒澤明が20歳前後の頃、プロレタリア美術運動に参加していたことは有名だろう。自伝『蝦蟇の油』でも、1929年19歳の時に「世の激動をよそに、静物や風景画を描いているのに、あきたらなくなってプロレタリア美術同盟へ」入ったと

【Book】ベストセラーの『永遠の0』を読んでみました text 小室準一

7月20日公開の宮崎駿監督の新作『風立ちぬ』。 実在の人物、堀越二郎をモデルにその半生を描いています。堀越二郎は航空機の設計者、あの「ゼロ戦」の設計者です。なぜ、今、「ゼロ戦」の堀越二郎なのでしょうか。 そして今年の12

【Book】テレビ・ジャーナリズムの切実な「危機」を訴える『テレビはなぜおかしくなったのか』text 細見葉介

テレビのニュースやドキュメンタリーを見ていて、「おかしい」と感じる幾ばくかの疑問の正体を解ていく。とりわけ311以降のテレビにおいて、何が報じられず、何が歪められたか———原発事故、生

【Review】『黒澤明の十字架』指田文夫著 text 越後谷研

黒澤明はなぜ、戦争に行かなかったのか? 著者はあるとき、ウジウジ悩んでばかりいる三船敏郎を主人公とした『静かなる決闘』 (1949)を見て、そのような疑問を抱く。これが出発点となり、戦争を体験しなかった黒澤が、その思いを

【Interview】土門拳賞受賞作品展「AFRIKA WAR JOURNAL」亀山亮さんに聞く text 丹羽理

亀山亮(かめやま・りょう)氏の『AFRIKA WAR JOURNAL』(リトルモア)が、第32回土門拳賞(毎日新聞社主催)を受賞。受賞記念作品展が、銀座ニコンサロン(4月24日~5月7日)と大阪ニコンサロン(5月16~2

【Interview】『観ずに死ねるか!傑作ドキュメンタリー88』編集者・尾形誠規さんインタビュー

 『neoneo 02』と期を同じくして発売されたこの一冊の本に、私は正直、やられた!と思った。表紙のインパクトもさることながら、中身がとにかく面白い。執筆者たちが実に生き生きと、自分本位に作品への思いを語っている。この

【Report】映画『遺体 明日への十日間』石井光太(原作)×君塚良一(監督・脚本) 対談

  “僕たち”が『遺体』を通して本当に伝えたかったこと  東日本大震災から2年――。死者・行方不明者・負傷者の数は合計2万人を超え、津波による壊滅的な被害、それに伴う原発事故の収束はいまだ見通しが立っておらず、