【Report】 出品作家から見た「イメージフォーラム・フェスティバル2012」 text 佐藤健人

佐藤健人(映像作家)セルフ・インタビュー──イメージフォーラムフェスティバル2012のジャパン・トゥモロウ(一般公募部門)で『5月/May』がノミネート上映された佐藤健人さんに「出品作家の眼から見たイメージフォーラムフェ

【特集】特集上映「記録映画作家・土本典昭」によせて text 熊谷博子・鎌仲ひとみ・松林要樹

2012年6月18日より、東京のアテネ・フランセ文化センターで始まる特集上映「記録映画作家・土本典昭」は、2008年6月に逝去された土本典昭監督その人について撮られた3本の映画とともに、土本作品を一挙上映するまたとない上

【Interview】『隣る人』刀川和也監督インタビュー text 山森亜沙美

児童養護施設「光の子どもの家」を8年かけて撮影したドキュメンタリー映画「隣る人」が、5月12日からポレポレ東中野で公開されている。 ――公開まで8年という長い時間をかけて、子どもたちとそれぞれの「関係」を、一人ひとり丁寧

【論考】謙譲の過程としての「面」の提示―松林要樹監督『相馬看花 -第一部 奪われた土地の記憶-』 text 阿部嘉昭

森達也ほか四人の共同監督による『311』は、東日本大震災後、拙速で福島原発事故の立ち入り禁止区域から津波被災区域までを縦断した。準備不全、わが子が行方不明になった母親たちへの「不恰好」なインタビューなどによって、「公益性

【Info】追悼大野一雄2012 keep on dancing!

大野一雄 追悼上映 ポレポレ東中野で今年も開催! 初日には、毎年恒例の大野慶人さんによるスペシャルステージも決定! 6月1日は、舞踏家・大野一雄さんの命日です。限りない哀しみと溢れるばかりの愛で、そこにある魂に気付かせて

【Review】『こわれゆく女』ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ text 指田文夫

1975年に作られたジョン・カサヴェテス監督、ジーナ・ローランズ主演のこの映画を見て、すぐに思い出したのは、藤田敏八監督、秋吉久美子主演の1973年の日活映画『赤ちょうちん』である。『妹』『バージン・ブルース』と続く秋吉

【自作を語る】偶然の旅人『孤独なツバメたち~デカセギの子どもに生まれて~』を作ること text 中村真夕

「孤独なツバメたち~デカセギの子どもに生まれて」は、浜松に暮らす5人の日系ブラジル人の青年たちを追ったドキュメンタリーだ。2008年8月、私はテレビの取材で浜松を訪れた。土曜日の夜、浜松の町を歩き、たむろしているブラジル

【Review】『隣る人』 text 吉田孝行

ある映画を観るときの醍醐味の一つは、間違いなく「始まり」と「終わり」の二つのショットを迎えるときの緊張や驚き、感動や失望にあると思うが、その二つのショットの素晴らしさにおいて、『隣る人』と題されたこのドキュメンタリー映画

【Essay】ドキュメンタリー「私」の時間「私」の回路 text 濱治佳 

8月18日から開催予定の「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー–山形in東京(DDS 2012)」では、ここ、neoneoとコラボレーションを組み、新しい試みを行っている。映画祭が開始された1989年から山形映画祭では、イ

【自作を語る】 『プッチーニに挑む―岡村喬生のオペラ人生』公開を目前にして text 飯塚俊男

 [c]アムール+パンドラかつて小川プロに所属して社会的弱者に寄り添うように映画を作り、独立後は環境や歴史、民俗といった文化映像を主に監督してきた飯塚が、なんでオペラ歌手をテーマに撮ったのか? こんな疑問を持つ人がいるか

【論考】 ロジャー・コーマンと日本のロジャー・コーマンたち(前編) text モルモット吉田

1 「僕なんかが営々として八ミリや十六ミリを撮っているときに何を望んでいたかというと、ここに一人のロジャー・コーマンがなぜいないんだということだったですよね。つまり、若い才能はたぶん、アメリカと同じように日本にもいるはず

【特集】DDS2012×neoneo ヤマガタ人気投票プロジェクト関連企画「ヤマガタ・わたしのリクエスト」

「去年、山形までは足を運べなかったなあ」と嘆いておられる皆さん。山形で見逃したあの作品、もう一度見たいあの傑作。今年もやります、山形国際ドキュメンタリー映画祭の東京巡回上映! 今回はなんとDDS2012とneoneo w

【Review】『沈黙しない春』 「反原発デモ」という生きものの記録 text 青木ポンチ

映画、とりわけドキュメンタリーは、時に実社会にたしかな影響を及ぼす。3.11以降、「今ここ」でしか撮れないインディペンデントな作品が数多く作られ、その一石によって社会に新たな“意識”を芽生えさせてきた。©沈黙しない春3.

【自作を語る】『究竟の地 岩崎鬼剣舞の一年』 text 三宅流

『究竟の地−岩崎鬼剣舞の一年』は先月、一ヶ月にわたるポレポレ東中野での劇場公開を無事終えた。昨年の10月から「もりおか映画祭」を皮切りに東北巡回上映を続けてきて、今回の東京公開に繋がった。しかし東京での公開が終りではなく

【Review】『季節、めぐり それぞれの居場所』 text 萩野亮

♪今日は会社の月給日 お金もたくさんもらったし 芸者かおうか 女郎かおうか 嫁に相談してどやされた ストトン ストトン みどりのなかをゆっくりとくぐり抜け、一軒のつつましい宅老所にわたしたちはたどり着く。にぎやかな唄声が

【Review】『劇場版 笑ってさよなら~四畳半下請け工場の日々~』 text 中村のり子

割烹着姿のおばちゃんが、手作業で次々仕上げる小さな部品。「世界のトヨタ」に使われているが、果たして何のための部品なのか、は知らないのだそうだ。トヨタのお膝元・名古屋の放送局CBCが、小さな4次下請け工場の閉鎖を見つめたテ

【論考】 視覚と身体のZ軸(後編) 『世界最古の洞窟壁画 3D 忘れられた夢の記憶』 text 神田映良

このように『Pina』では、3Dによる空間性は全て、肉体の実在感という中心軸から捉えられている。例外は、モノレールの車窓から街を捉えたショットだ。列車の先頭車両で、正面から迫ってくる光景を窓越しに眺めるあの体験がそのまま

【論考】 視覚と身体のZ軸(前編) 『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』 text 神田映良

3D映画というと、どうも、その大半がやたらと騒がしい映画という印象が拭えない。僕が3Dに期待するところは、アトラクション的な派手さなどではなく、物が、空間が、眼前に存在するというリアリティを、一段も二段も格上げするという

【Essay】ドキュメンタリー魂 text 伏屋博雄

※真ん中が小川紳介監督、左側が著者  敬愛する監督は小川紳介である。わたしはスタッフとして24年間、彼の死まで関わったから当然と思われるかもしれないが、彼以外にも(若い世代の監督を含めて)ずいぶん大勢の監督を知ったが、彼

【Festival Report】 フィルムが消滅しても『万葉律』がある。  text 原將人

 いよいよ今月で富士のシングル8の出荷が完了し、私が半世紀近く愛用してきたフィルムが亡くなる。今は亡き フィルムたちの 手ざはりを 感じ取りつつ パソコンに向かふ撮影に2年、編集に5年かかったが、私も映像編集ソフトと馴染

【Review】 『アリラン』 text 中村のり子

何の意味もない撮影のようで、一つひとつは計算し尽くされている。ぼさっとした男が、寒そうなボロ屋で、ただ湯を沸かし、食事をする。髪をとかし、自分を見つめる。それ自体はとくに趣向もなく、素朴な手持ちカメラで今やありきたりなセ

【Review】『スリープレス・ナイツ・ストーリーズ 眠れぬ夜の物語』 text 萩野亮

今年で4回目をむかえた恵比寿映像祭は、去る2/10より15日間開催された。今回のテーマは「映像のフィジカル」。展示部門、上映部門ともにおもしろい動きが出てきた。これまでは国内外のビデオアートに寄った作品選定がなされてきた