【Review】彼女が抱きしめたもの_海南友子監督『抱く{HUG}』text西田志緒
この人はその身体に、自然の脅威と恩恵とを一度に抱いているみたいだーー試写を終えて、そんなことを思った。 『抱く{HUG}』で、海南友子監督は自らの妊娠・出産を題材にセルフドキュメンタリーを撮った。新しい命を産む女ならでは
【Review】 観察映画『牡蠣工場』(想田和弘監督)体験記〜変わりゆく世界に、確かに存在する「希望」の兆し text 成宮秋祥
©Laboratory X, Inc. 『牡蠣工場』を観てみたいと強く意識したのは、偶然にも映画館で予告編を観たからだ。牡蠣の養殖業を営む人々を映す映像から、何とも表現の難しい力強さを感じた。また、映画の題名にも惹かれた
【Interview】「僕らの根っこはシュルレアリスムとアヴァンギャルド」〜『断食芸人』足立正生(監督)&山崎裕(撮影)text 小林蓮実
1960年代より数多のアヴァンギャルド(前衛)映画を生み出し、PFLP(パレスチナ人民解放戦線)や日本赤軍とともにパレスチナ革命に身を賭した足立正生監督。レバノンでの3年間の禁固刑、強制送還後にも偽造私文書行使(偽造され
【Report】ベルリン国際映画祭〜近年の傾向とヨーロピアン・フィルム・マーケットの現在 text 植山英美
ベルリン国際映画祭メイン会場 ベルリン国際映画祭に行ってきた。海外にドキュメンタリー映画を紹介、販売するという仕事をしているので、年初のロッテルダムやベルリンではじまり、カンヌから、秋は釜山、東京とアジアのマーケットと、
【Pick up】発表! わが一押しのドキュメンタリー2015
例年200本以上、テレビを含めるともっとたくさんの本数が上映・放送されているドキュメンタリーの中から、皆様の「ベストワン」をうかがう企画、「わが一押しのドキュメンタリー」。今年も劇場公開作品から一般には知られていない作品
【Review】ただ、その愛のために- 『Maiko ふたたびの白鳥』 text 小松いつか
バレエダンサーの姿は、われわれ観客にどこか人間離れした印象を与える。彼らは時に儚くしなやかで、総じて美しい。舞台の上で地を蹴り軽やかに舞い飛ぶ姿からは重力さえも感じとることはできず、やがてしなる彼らの身体は物語を伝える音
【連載】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 〜 第24話 text 中野理惠
開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして <前回 第23話はこちら> 第24話 『ナヌムの家』3 劇場公開初日の消化器事件 生後7か月の筆者(向かって左 右は姉) スクリーンに消火器をまかれる
【Review】霧の中のアイドル ―舩橋淳監督『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』 text 伊藤弘了
『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』より ©DOCUMENTARY of NMB48製作委員会霧の向こうへ消えていった人たちがいる。その手前で踏みとどまった人たちもいる。前者の例とし
【Interview】遠藤ミチロウインタビュー『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』 text 植山英美
80年代初頭にザ・スターリンの中心人物として、日本のインディーズ・シーンを牽引、フラワーカンパニーズから黒猫チェルシーに至るまで、多くのミュージシャンに多大な影響を与えてきた遠藤ミチロウ。遠藤が初監督をつとめたドキュメン
【Special News】2/7(日)−11(木)第7回 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル 今年の見どころを聞く
いよいよ2/7(日)から11日(木)まで、「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」が開催される。2010年から開催されているこのイベントも7回目。毎年、冬のこの時期に東京で行われる、ドキュメンタリーに特化した貴重な映
【Review】「病み」はいまどこにあるか――『Given ~いま、ここ、にある しあわせ~』text堤拓哉
ドキュメンタリー映画『Given ~いま、ここ、にある しあわせ~』には、難病の子どもを持つ三組の家族が登場する。難病とは、何が「難しい」病気なのかといえば、第一義的には「治すことが難しい」病気である。では、難しいだけで
【Review】東海テレビドキュメンタリー特集② その火が絶えることのないように ~『ふたりの死刑囚』~ text 髙木愛
©東海テレビ放送 学生時代、冤罪に関する講義を1年間受けたことがある。日本における数々の冤罪事件にふれ、そこに誰かの人生が見えるたびに、言葉にならない感情に襲われた。 そんなとき、決まって先生がつぶやいた。 「愛が、ない
【Review】東海テレビドキュメンタリー特集① 権力からの弾圧下の日常をとらえる 『ヤクザと憲法』text 小林蓮実
©東海テレビ放送 ヤクザも人間?それとも殲滅か収容なのか?! 『ヤクザと憲法』のビラをずっと持ち歩いていた。2016年1月2日、舞台挨拶もあり、「初映画」はこれにしようと決めた。 注目の「東海テレビ」ドキュメンタリー
【連載】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 〜 第23話 text 中野理惠
『ナヌムの家』ポスターの前の中野 開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 第23話 ナヌムの家 その2 <前回 第22話はこちら> 『ナヌムの家』上映に嫌がらせ サクマさんは、礼儀正しくて丁寧
【Interview】「映画を作る」より「広河さんという人間を表現する」のほうが先なんです~『広河隆一 人間の戦場』長谷川三郎監督インタビュー
僕の場合はだが、neoneoで映画の記事を作る時に「若い人にぜひ見てほしい」はNGワードと決めている。どうしてかというと、負担になるからだ。政治、社会、歴史、戦争の傷跡、エトセトラ。どれもが「若い世代こそ必見」と求めてい
【Interview】障害者とプロレスがクロス。聞いただけで疑問がどんどん湧いてくる部分に引きつけられたんです~『DOGLEGS』ヒース・カズンズ監督
1991年に旗揚げした障害者プロレス団体、ドッグレッグスが20周年を迎えた姿を、ニュージーランド出身で長く日本に滞在していたヒース・カズンズ(現在の拠点はニューヨーク)が長期取材し、1本の映画にした。『DOGLEGS』は
【好評発売中】ドキュメンタリーマガジン「neoneo」#06 総特集 ドキュメンタリーの方法
好評発売中 ドキュメンタリーマガジン「neoneo ♯06」総特集 ドキュメンタリーの方法 永久保存版!ペドロ・コスタ監督ロング・インタビュー掲載(来春公開『ホース・マネー』山形国際ドキュメンタリー映画祭2015大賞受賞
【Review】創造、神秘、そして生命 『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』text 高橋雄太
2002年の夏、私はバルセロナのサグラダ・ファミリアを訪れた。海外旅行初体験の浮かれ気分と緊張感を抱きながら、複雑な彫刻に覆われた巨大な教会を見上げて、友人たちと「いつ完成するのかな」などと話したものだった。 そのサグラ
【Interview】映画が完成したからおしまい、というわけにはいかないんです~『放射線を浴びたX年後2』伊東英朗監督インタビュー
戦後、アメリカが中部太平洋ビキニ環礁で行った水爆実験で被ばくした日本のマグロ漁船は、第五福竜丸だけではなかった。 南海放送のディレクター・伊東英朗は、この事実について丹念に番組で追い続け、取材のひとつの集大成として劇場版
【連載】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 〜 第21話 text 中野理惠
開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 第21話 続・『レニ』のはなし<前回 第20話はこちら> グランドキャニオンにて。1994年GWに友人の柴洋子さんと一緒に行った。柴さんは『声なき叫び』
【Review】人間たちに向けられた「祈り」〜モフセン・マフマルバフ監督『独裁者と小さな孫』text 大久保渉
息づかいが印象に残った。スクリーンから聞こえてくる、生きとし生ける者たちの息づかい。暴れまわる民衆。逃げまどう民衆。銃で撃たれてほんのひと息うめき声をあげた男。花婿の前でレイプされて泣き叫んでいた女。牢屋から解き放たれて
【Interview】命ある限り、人は歯車を回し続ける〜文化庁文化記録映画優秀賞受賞記念 『抱擁』坂口香津美監督インタビュー
坂口香津美監督の映画『抱擁』が、本年度の文化庁文化記録映画部門・文化記録映画優秀賞を受賞し、これを記念して現在、ポレポレ東中野でアンコール上映されている。映画は、坂口監督の母親である84歳のすちえさんが、娘を失い、突如心