【Interview】講談は日本語の芸ですから。若い人に伝わらないはずが無いんです~ 『映画 講談・難波戦記 -真田幸村 紅蓮の猛将-』旭堂南湖インタビュー

テレビの中継録画番組はもちろん、落語の高座収録、稲川淳二の怪談DVDなど。話芸は意外と映像と相性がいい。そこにきて、講談がなんと映画になった。上方の講談師・旭堂南湖が出演し、勝呂佳正が監督した『映画 講談・難波戦記 -真

【連載】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 〜 第20話 text 中野理惠

開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 第20話 『レニ』のはなし  <前回 第19話はこちら> ブロイケとは? ベルリンオリンピック(1936年)の平泳ぎの決勝を実況中継中のアナウンサーが、

【Review】世界のだれも知らない “FOUJITA”――小栗康平監督『FOUJITA』text 成宮秋祥

映画の始まり。フランス・パリのとあるアパートメント横のアトリエ。一人の奇妙な風貌をした男が熱心な目つきでキャンバスに女の絵を描いている。彼は、少年のようなおかっぱ頭に分厚い丸眼鏡、チャールズ・チャップリンのような目立つチ

【Report/Review】映画における空間の拡張性について~七里圭監督作品『ドキュメント・音から作る映画』 text 小川学

映画が時間の連続であるならば、七里圭監督作品が上映される空間は、映画を制作する上で一つの構成要素であり、また、その場で鑑賞している者も映画作品に含まれてしまう一つの要素となっている。映画に関連する全てが内包された空間その

【Review】美は何処にありや ーー松本貴子監督 『氷の花火 山口小夜子』 text 越後谷研

わたしは、山口小夜子を知らない。 わたしが知る山口小夜子は、一枚のレコード・ジャケット(スティーリー・ダン「Aja〈彩〉」)と数本の出演映画、著名人として世の中に流布されたパブリック・イメージだけである。わたしには、彼女

【特別掲載】新宿武蔵野館で公開中!『ボーダレス ぼくの船の国境線』アミルホセイン・アスガリ監督インタビュー

現在、新宿武蔵野館で公開が始まった『ボーダレス ぼくの船の国境線』が、静かな反響を呼んでいる。 舞台となるのはイランとイラクの国境沿いの朽ちた廃船。立ち入り禁止区域のその船に、一人の少年が川を潜って入り込み、そこで魚や貝

【Review】「天皇」を描く意味とは――渡辺謙一監督『天皇と軍隊』text 若林良

日本の125代におよぶ歴代天皇のなかで、その「代表格」のアンケートをとるとしよう。おそらく上位に姿を見せるのは、天武天皇や聖武天皇、また後白河天皇といった、みずからが政治の中心にたった、「傑物」と呼ぶべき存在であるかもし

【Interview】この映画は芸術作品ではない。原発推進派に勝つための訴状です~『日本と原発 4年後』 河合弘之監督インタビュー

去年(2014年)の秋、『日本と原発』というドキュメンタリー映画が有料上映会を都内から始め、多くの観客を動員した。 脱原発弁護団全国連絡会の共同代表であり、原発訴訟を多く手掛けるベテラン弁護士・河合弘之の初監督作品。自ら

【特集 山形国際ドキュメンタリー映画祭2015】「パトリシオ・グスマンとクリス・マルケル」text 金子遊 批評≒ドキュメンタリズム②

ラテンアメリカの9・119・11といえば、2011年にアメリカのニューヨークとワシントンを中心に起きた同時多発テロのことを一般的に意味するが、ラテンアメリカで9・11といえば、人びとは1973年のできごとの方を想起するで

【Review】「ボケ」と生きる〜田中幸夫監督『徘徊 ママリン87歳の夏』text 佐藤奈緒子

窓からの光がほのかに差し込む落ち着いた室内。ソファに座る老女は不安げに、所在なげに周りを見回しながら「ここ誰の家? 刑務所?」とつぶやく。娘は笑いながら「ちゃうちゃう。あっこちゃん(娘)の家や」と答える。そして慣れた様子

【Review】映画に見る戦後70年と「天皇の歴史」text 山石幸雄

2015年は多くの戦争映画が上映された。 『野火』『この国の空』『日本のいちばん長い日』『戦争ぬ止み』『沖縄 うりずんの雨』『“記憶”と生きる』『インペリアル 戦争のつくり方』など。今回はその中で『“記憶”と生きる』『イ

【News】下北沢でゴング!第1回プロレス映画ワールドリーグ戦

─ありそうでなかった夢の激突!─ 第1回プロレス映画ワールドリーグ戦 下北沢のミニシアター・トリウッドで、おそらく今まで一度も実現されていない特集上映、プロレス映画のみのバトルロイヤルが実現!今年公開の新作『劇場版プロレ

【Review】人生を正直に生き抜いた男の気高さ―マイク・シーゲル監督『サム・ペキンパー 情熱と美学』text 成宮秋祥

映画が始まると、急に喉が渇くような熱気がスクリーンから伝わってくる。私たちの眼前に広がるのはかんかん晴れのメキシコの荒涼とした大地だ。そこには赤茶けた石ころや萎びた雑草、そして静かに獲物を待つムカデくらいしかない。スクリ

【連載】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 〜 第17話 text 中野理惠

開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして第17話 話題作の買い付け競争 <前回(第16話)はこちら>『100人の子供たちが列車を待っている』日本配給の裏話「Aさんが『100人の子供たちが列車を待

【Monograph】地域映画と映像教育の文化史 第2回 藤川治水と熊本映画サークル運動(2)text 佐野亨

貴重な機会をいただいて始めたこの連載だが、個人的な事情により、第1回の掲載から約2年という長期の空白期間を要してしまった。ご期待くださった読者の皆様方に深くお詫びしたい。第1回では、熊本を拠点として、映画批評、教育活動、

【Interview】「死」に隣接する「生」を描く 『フリーダ・カ—ロの遺品 石内都、織るように』小谷忠典監督インタビュー

映画『フリーダ・カーロの遺品 石内都、織るように』は、メキシコを代表する画家フリーダ・カーロの遺品を、「ひろしま」などで国際的に評価の高い写真家・石内都が撮影する過程を収めたドキュメンタリー映画だ。監督は『LINE』 (

【News】8/21・28・29開催 郷映ラボ8月上映会/奄美群島の祭祀・伝統舞踊を特集!

郷土の記録映像を上映して、人が出会い語らう場をつくる郷土映像ラボラトリー 。8 月の上映会のお知らせです。8月は奄美群島の魂、祭祀・伝統舞踊を特集!東京・横浜・川崎の三カ所で上映します。8.21(金)川崎殿町8.28(金

【Interview】『波伝谷に生きる人びと』 我妻和樹監督 インタビュー

大学で民俗学を学んでいた我妻和樹という青年が、宮城県南三陸町の漁村・波伝谷が持つ地域としての厚みに惹かれ、卒業後もカメラを持って通い、紆余曲折を経て1本のドキュメンタリー映画を完成させた。それが、『波伝谷に生きる人びと』

【Review】生きとし生ける生命と地球への贈り物―ヴィム・ヴェンダース&ジュリアーノ・リベイロ・サルガド監督『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』 text 成宮秋仁

本作は、写真家(フォトグラファー)の人生の記録映画である。では、写真家とはいったい何であろうか。映画の冒頭、スクリーンから語りかけてくる声が、その言葉の意味を私たちに教える。ギリシャ語で、フォトは「光」を、グラフィンは「

【連載】原一男の「CINEMA塾」傑作選〜 テレビ・ドキュメンタリーの青春②〜 原一男×村木良彦×芹沢俊介 第2回 上映後 芹沢俊介の講演

原一男の「CINEMA塾」傑作選〜 テレビ・ドキュメンタリーの青春〜原一男×村木良彦×芹沢俊介 <第1回 原一男×村木良彦の講演はこちら> 於1998年10月23日 大阪シネ・ヌーヴォー 第二回OSAKA 「CINEMA

【Interview】祈りと抵抗、チベットの手ざわりをもとめて――池谷薫監督が語る『ルンタ』 取材・文=萩野亮

2008年、北京オリンピック開催前夜のチベット。世界へアピールする好機として全土で平和デモが行なわれると、中国当局は容赦なくこれを弾圧、亡命政府の発表によれば、ラサだけでも200名以上のチベット人が亡くなったとされる。チ

【Review】120%の生きた証/内田英恵監督『あした生きるという旅』 text 佐藤奈緒子 川口SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて上映

昨年から今年にかけて、これほどALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病が人口に膾炙したことはなかったのではないだろうか。氷水をかぶりALS団体への寄付を募る「アイスバケツチャレンジ」や天才物理学者スティーヴン・ホーキング博