【Interview】 土に生きる夫婦の「日々」を積み重ねて 『ふたりの桃源郷』佐々木聰監督インタビュー
現在ポレポレ東中野で公開中の『ふたりの桃源郷』は、山口県岩国市美和町の山奥で自給自足的な生活を送る老夫婦・田中寅夫さん、フサコさんと、その家族の姿を足掛け25年に渡り追い続けたドキュメンタリーだ。老いてなお山で暮らし続け
【Review】歴史受け止め、アイデンティティ取り戻す営為『シアター・プノンペン』text 小林蓮実
©2014 HANUMAN CO. LTD/パンドラ配給 それぞれの人生から見つめる、歴史や社会の「真実」 映画に限らず、社会派の作品では、主張のみを強調するものも少なくないかもしれない。だが実際、そこに生きるのは1人ひ
【Review】「幾千もの視線が紡ぐ」 オサーマ・モハンメド監督『シリア・モナムール』 text 井河澤智子
© 2014 – LES FILMS D’ICI – PROACTION FILM あなたが望むなら故郷も捨てる— 故郷を捨てたのだろうか。彼、オサーマは異国に留まり、遠い地、故郷シリ
【Interview】しんどくても「人をいたわる心」を “さと”の子らは教えてくれた——『さとにきたらええやん』重江良樹監督 オフィシャルインタビュー
重江良樹監督(撮影:辻井潔) 大阪市西成区。日本最大の日雇い労働者の街「釜ヶ崎」を羅するこの地の中心部に、「子どもの里」(通称“さと”)と呼ばれる小さな遊び場がある。“さと”は、0歳から20歳くら
【Review】コンテンツとしての「ドキュメンタリー入門書」 寺岡裕治編『21世紀を生きのびるためのドキュメンタリー映画カタログ』 text 細見葉介
「ゼロ年代」の初頭に、ドキュメンタリーに興味を持ってイチから知ろうとした時、その敷居は高かった。インターネット上の情報精度が低かったこともあるが、例えば文学少年にとっての「新潮文庫の100冊」のような、分かりやすい作品の
【Interview】ジョルジュ・モリヴァー(元メドヴェトキン集団)独占インタビュー text 東志保
『また、近いうちに』(67)より クリス・マルケルとマリオ・マレの共同監督作品、『また、近いうちに』(1967)は、フランスの東部の都市、ブザンソンのロディアセタ工場で1967年に起きた大規模なストライキを題材にしたドキ
【Review】生きるということについて―『ひそひそ星』『園子温という生きもの』text 小松いつか
©SION PRODUCTION 2010年10月、彼は死んだ。 だから彼は、「あの日」を知らない。 あの日を知らない彼を私は愛していた。 誰よりもやさしく繊細で控えめで、時にひょうきんな人だった。 けれど、彼はあの日を
【Interview】5/6-15開催。台湾国際ドキュメンタリー映画祭プログラムディレクター・林木材氏インタビュー
前回(第9回)会場の様子 5月6日(金)に第10回という節目の開幕を迎える台湾国際ドキュメンタリー映画祭(TIDF)。そのプログラムディレクターが林木材(Wood Lin)さんです。開幕まであと1週間ほど。プレイベントが
【Report】『グリーンイメージ国際環境映像祭』(3/23-25)~映像を通じてみる現在の世界について~ text 藤野みさき
緑豊かな日比谷公園の中央に位置する、日比谷図書文化館。 2011年に開館した本館は、図書フロアをはじめ、映像ホール、ミュージアム、カフェ、レストランなどの様々な施設が取り揃えられた複合文化施設である。 この図書文化館の地
【Review】『台湾新電影(ニューシネマ)時代』台湾ニューシネマを外から見つめる text 稲見公仁子
ドキュメンタリー『台湾新電影時代』より 気が付けば、1982年の『光陰的故事』から34年も経ってしまった。台湾ニューシネマの先駆けと言われるエドワード・ヤンらによるオムニバスだ。アイドル映画を撮っていたホウ・シャオシェン
【Review】マンガになろうとした“聖なるバカ”──冨永昌敬監督『マンガをはみだした男 赤塚不二夫』 text 常川拓也
“笑い”とは、もともと場の秩序を破壊するマトモじゃない行為に対して引き起こされる現象である。常識や予定調和から逸脱した時に笑いは発生する。だとすれば、本質的にギャグとは実験的、あるいは前衛的なものである。代表作『天才バカ
【Review】悪ふざけの中に―クリス・モーカーベル監督『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』 text くりた
アート(芸術)とは何か、また特定の作品を指して「それ」が果たしてアートであるかどうかを議論する人がしばしば存在するが、その度に私は「なんという不毛な議論なのだろうか」と思わずにはいられない。なぜ事あるごとに芸術を承認した
【Report】たくさんの「手のひら」~3.11映画祭 初日レポート(2016年3月11日) text 大久保 渉
3.11映画祭の会場:アーツ千代田3331 3.11映画祭。それはたとえていうならば、「パー」のような映画祭だと思った。「グー」でもなく「チョキ」でもなく、「パー」。それはあまりに突拍子のない説明になっているかもしれない
【Review】「無音」と「叫び」の境を生きる 原村政樹監督『無音の叫び声』 text 菊井崇史
木村迪夫氏 田植えの間の休息 ©『無音の叫び声』製作委員会 「戦後、痛切なことばかり多かった時間を経て、思想というもの、それを生かしめる生命力を、もはや虚像ではなく自分のものにする以外、生きる方法がなくなったとき、生活の
【Review】里山で生まれたハイブリッドな関係-小林茂監督『風の波紋』text 佐藤奈緒子
©カサマフィルム 新潟県にある越後妻有(えちごつまり)。ここは日本有数の豪雪地帯であり、冬は多い時で4メートルを越える雪が積もる。しかし夏にもなると緑が生い茂り、朝夕には山際から差す日の光が棚田を照らす美しい光景が広が
【連載 批評≒ドキュメンタリズム③】クメール民話とアピチャッポンの東北 text 金子遊
世界中に点在する「東北」 どのような国家や地域であっても「東北」をもっているように、それがどこの誰であっても、わたしたちは内なる「東北」をもっている。 それは、ただ単に中央からながめられたときに、地理的な周縁や辺縁と
【Review】「あなたに起きていてほしい」-アピチャッポン・ウィーラセタクン監督『光りの墓』text 長谷部友子
世界があるのではない。あなたが世界を見るから、そこに世界が立ち現れる。 ある意味、到達を感じさせる作品であった。雑味はなく麗しく、かつてのむき出しの激しさは鳴りを潜め、映画を構成するあらゆる要素の完成度が高い。『ブンミお
【Interview】 今を考えるための映画監督・佐藤真——「日常と不在を見つめて ドキュメンタリー映画作家 佐藤真の哲学」編集者・清田麻衣子さん
90−00年代に、日本を代表するドキュメンタリストのひとりとして時代を駆けた佐藤真。その仕事を、未発表原稿や寄稿、批評など、さまざまな角度からまとめた「日常と不在をみつめて〜ドキュメンタリー映画作家 佐藤真の哲学」が、こ
【Review】僕らはみんな中毒だーー『あまくない砂糖の話』(デイモン・ガモー監督)text 落合尚之
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【連載】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 〜 第25話 text 中野理惠
開拓者(フロンティア)たちの肖像中野理惠 すきな映画を仕事にして <前回 第24話はこちら> 第25話 ソクーロフ作品の配給 その1 前回最終段落内の間違いとお詫び 前回内容中、題名に間違いがあったので、まず、訂正
【Interview】国家に長い間拘束された人の傷は深い。それを伝えたかった~『ふたりの死刑囚』齊藤潤一プロデューサー・鎌田麗香監督インタビュー
鎌田麗香監督(左)齊藤潤一プロデューサー 昭和36年に起きた、名張毒ぶどう酒事件。東海テレビは長い報道と取材の蓄積に基づいた結果、無実を訴え続ける奥西勝死刑囚は冤罪であるという立場を取り、ドキュメンタリー番組を継続して製
【Interview】私たちが変わる第一歩は、まず状況を知ること―『バナナの逆襲』フレドリック・ゲルテン監督インタビュー text 若林良
「バナナをめぐる“甘くない”ドキュメンタリー」と呼ばれる、スウェーデン発のドキュメンタリー『バナナの逆襲』が、現在東京を中心に公開されている。口当たりがよく保存も簡単なため、日本人にとっても身近な存在であるバナナ。しかし