【Review】人間としてのレオナルド・ダ・ヴィンチ『レオナルド・ダ・ヴィンチ 美と知の迷宮』text 高橋雄太
ルネサンスの巨匠。万能の天才。最近ならば「ダ・ヴィンチ・コード」。レオナルド・ダ・ヴィンチについて語られる言葉である。数多くの賞賛と『モナ・リザ』などの傑作で知られている一方で、レオナルドには謎が多い。この映画は、レオナ
【Review】女たちの影 『パリ、恋人たちの影』text 安里和哲
©2014 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS – CLOSE UP FILMS – ARTE FRANCE CINEMA 『パリ、恋人たちの影』の原題は『L’OM
【Review】戦火のさなか―バフマン・ゴバディ製作『国境に生きる〜難民キャンプの小さな監督たち〜』text伊藤弘了
映画には国境がない。かつて黒澤明はアッバス・キアロスタミにそう言った。黒澤やキアロスタミに限らず、地理的国境の外に広がる「映画の共和国」を夢想してきたシネアストたちは数多く存在する。彼らの共通言語は「ミザンセン[演出]
【Review】島は、音楽は、あなたが訪れるのを待っている。『島々清しゃ(しまじまかいしゃ)』 text宮本匡崇
「沖縄(音楽)」「子ども」「吹奏楽」そして「親子」——。映画『島々清しゃ』の構成要素は大きく分けてこの4つだ。しかし作中、その中のどれにも含まれないと思われる人物がいる。安藤サクラ演じるヴァイオリン奏者・祐子の存在である
【特報】1/14(土)東京より順次開催「イスラーム映画祭2」主催者・藤本高之さんインタビュー
2015年12月12日から18日まで開催され、大変好評だった「イスラーム映画祭2015」。この度、その続編にあたる「イスラーム映画祭2」が1月14日(土)から20日(金)まで東京・ユーロスペースで、その後1月21日(土)
【Review】人類の苦しみと困難の象徴としての「壁」『MERU/メルー』text 佐伯良介
インド北部のヒマラヤ山脈メルー中央峰。標高は約6500メートル。その最上部には450メートルもの花コウ岩の壁がそびえ立つ。その岩壁の通称は、シャークスフィン。1980年代頃からあらゆるクライマーがメルー中央峰に挑むも、シ
【連載】 ポルトガル・食と映画の旅 第2回「アレンテージョの春」text 福間恵子
ヴィディゲイラの「パンとお菓子の祭り」のメイン会場のブースのひとつ。どれもこれもアレンテージョの伝統菓子で、作った本人やその家族が売っている。ポルトガル、食と映画の旅第2回 アレンテージョの春2006年3月、ポルトガル5
【連載】ドキュメンタリストの眼⑮『kapiwとapappo アイヌの姉妹の物語』出演者インタビュー text 金子遊
姉の絵美さん(左)と妹の富貴子さん(右)本作は、北海道阿寒湖にあるアイヌコタンに生まれた姉妹が、伝統音楽を披露するユニットを組み、ライブを成功させるまでを追ったドキュメンタリー映画である。姉の絵美は、故
【Review】伝説は、バードランドで創られる。~フィクションゆえに迫れた1人のジャズメンの本質~『ブルーに生まれついて』 text 藤澤貞彦
「ボーン・トゥ・ビー・ブルー」 ウエスト・コースト・ジャズのトランペッター、チェット・ベイカーの代表曲のひとつであり、彼の人生そのものが、タイトルとなったこの作品は、その中でも彼が一番苦しんだ時代、1966年の出来事に
【Review】──私の知らないどこかで──『あたらしい野生の地 リワイルディング』 text藤野 みさき
「この世の中にあるものは何かの役に立つんだ。何の役に立つのか、それは僕にはわからない。でも、例えばこの小石だって、何かの役に立っている。この夜空に輝く星々だってそうなんだ。君もそうさ」──映画『道』より デジタル文化の
【Review】戦場の真実を撮る/録ることの(不)可能性―トビアス・リンホルム監督『ある戦争』text 安里和哲
© 2015 NORDISK FILM PRODUCTION A/S かつての西部劇を思わせるようなアフガニスタンの荒野をパトロールしている兵士たちが、突然の爆音に見舞われる。兵士のひとりが地雷を踏んだのだ。彼は両足を吹
【新連載】ポルトガル、食と映画の旅 第1回『トラス・オス・モンテス』 text 福間恵子
ミランダ・ド・ドウロの町からスペイン側を見る。川は、映画監督オリヴェイラの愛したドウロ川本流の上流の一部。スペインとの国境になっている。スペインに入ると、ドウロ川はドゥエロ川となり、こちらでもまた美味しいワインの土壌をつ
【Review】辺境からのささやかな贈り物『神聖なる一族24人の娘たち』 text 小林耕二
現代ロシアを代表する新鋭作家であるデニス・オソーキンの原案・脚本を同じくロシア映画界を代表する新進気鋭監督アレクセイ・フェドルチェンコが映画化した『神聖なる一族24人の娘たち』は、マリ人の信仰、習俗、慣習を豊かな自然を背
【Review】「物語る瞬間」-奥間勝也監督『ギフト』&『ラダック それぞれの物語』text 長谷部友子
『ラダック それぞれの物語』すっと吸う息。 語りはじめようと、吸いこむ息の音が聞こえる。 物語ろうとしはじめた者から、どうして人は目をそらせないのだろう。 ケサル物語。勇胆の王ケサルと彼が治めたという伝説の国家リン王国に
【Review】ドキュメンタリー作家・羽田澄子の世界 text 山石幸雄
羽田澄子監督(撮影:金子遊)東京・京橋のフィルムセンター小ホールで2016年8月9日から28日まで「ドキュメンタリー作家 羽田澄子」が行われた。 羽田澄子監督の『薄墨の桜』以降の自由工房の作品はよく上映されるが、今回はデ
【Interview】ひとりの声に耳を澄ませた、その先に見えたもの―『人間爆弾「桜花」 特攻を命じた兵士の遺言』澤田正道監督インタビュー text 若林良
(C)Comme des Cinemas シアター・イメージフォーラムにて、「特攻」を題材にした一本の映画が公開されている。フランスを拠点として、長年数多くの映画のプロデュースに携わってきた澤田正道監督の満を持してのデビ
【Review】「在日」問題を照射する近代野球という鏡―『海峡を越えた野球少年』 text 大内啓輔
先日までのリオデジャネイロ・オリンピックに関して、連日、日本人選手のメダル獲得が報じられるなか、日本の獲得したメダルの数が過去最高となったということが、否がおうにも耳に飛び込んできたはずだ。これらの過熱化する報道の仕方を
【連載】ドキュメンタリストの眼⑭ ベン・ラッセル監督インタビュー text 金子遊
ベン・ラッセルは1976年生まれのアメリカの映像作家である。ファウンド・フッテージやインスタレーションなどの実験的な映像の作風から、近年は16ミリフィルムで撮影した民族誌的なアプローチのドキュメンタリー作品まで発表してい
【Review】私たちの“セルフ”ドキュメンタリー 岡本まな監督『ディスタンス』text 高橋雄太
およそ800km。私が暮らしている東京と、故郷である札幌近郊との距離である。私の家族は実家に暮らす両親と祖母、実家を出ている兄だ。いきなり筆者自身の話から本稿を始めた理由は二つある。一つは、映画『ディスタンス』と私とは背
【Review】素顔のままで(遠藤ミチロウ監督『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』論) text 鈴木並木
記憶違いだったらスミマセン、とまず最初に謝ってから始めますけど、たしか『オートバイ少女』の公開の際だったか、あがた森魚監督が(もちろん)やや自嘲気味に「異業種監督の中でもミュージシャンはロクな作品を撮らないと言われており
【Review】人が山を下りることの、至上の幸福『ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~』 text 荒井南
大手企業や在韓アメリカ大使館、地方警察庁が立ち並ぶ、ソウルの目抜き通り光化門広場からすぐそこに、標高836メートルの北漢山が見える。韓国は国土の70パーセントが山岳地帯と、その割合は日本とさほど変わらないのだが、こうした
【連載】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 〜 第32話,第33話 text 中野理惠
2歳のときの筆者(左、1952年11月) 開拓者(フロンティア)たちの肖像中野理惠 すきな映画を仕事にして <前回 第30,31話はこちら> 第32話 1999年の仕事①「だっせえ」と言われたタイトル 「だっせえ」に