【Special News】今年で終了!?20年の集大成「ゆふいん文化・記録映画祭」 6月23日(金)-25日(日)text 大塚大輔

今年でお別れ?「ゆふいん文化・記録映画祭」のみどころ紹介普段ならほぼ毎日雨のこの時期。でも、今年の九州(だけではないけれど)はなかなか降らない。でもムンムンした夏は間違いなくやって来る…と思う頃の恒例行事と言えば、「ゆふ

【Review】南北分断の下に暮らす女性の「生き様」とらえた『マダム・ベー –ある脱北ブローカーの告白-』 (ユン・ジェホ監督)text 小林蓮実

来日したユン・ジェホ監督(6月7日、ユーロライブにて)「脱北」した「ブローカー」。それだけで、禍々しさを感じる人もいるかもしれない。わたしは、『neoneo』2016 WINTER号(No. 08)総特集「アジアのドキュ

【Review】新しいうたよ眼ざめよ 映画『SHIDAMYOJIN』(遠藤ミチロウ、小沢和史監督)text 鈴木並木

20代の頃。どの本に載っていた言葉だとか、正確な文言だとかは記憶していないのだけど、大江健三郎の小説に出てきた、「どんなに偉くなったからといって、誰か自分の身代わりになって死んでくれるひとがいるだなんて思い上がってはいけ

【Report】周到に仕組まれた驚き——IFF2017 ミヒャエル・グラヴォガー『無題』 text 早川由真

それほど期待して観始めたわけではなかった。日本においてほとんど紹介されていないミヒャエル・グラヴォガーという名前に対し、いきなりその遺作から接するという躊躇もあった。グラヴォガーはオーストリアの映画作家であり、近年『パラ

【連載】「ポルトガル・食と映画の旅」第7回 フォンタイーニャスを探して text 福間恵子

ポルトガル、食と映画の旅第7回 フォンタイーニャスを探して<前回 第6回 はこちら>ペドロ・コスタの作品を初めて観たのは、2004年3月のアテネフランセでの特集上映だった。『ヴァンダの部屋』(2000)が劇場公開されるの

【Review】カメラからのまなざし、カメラへのまなざしーー映画『トトとふたりの姉』text 菊井崇史

10歳の少年トトとふたりの姉、14歳のアンドレアと17歳のアナは、ルーマニアの首都ブカレスト郊外のスラム街一角、水道もコンロもないワンルームに暮らしている。両親は不在だ。母ペトラは麻薬売買の罪で服役中であり、トトにとって

【Interview】メイシネマ祭の原点を語ろう〜主催者・藤崎和喜さん(5/3−5開催)

毎年、5月の連休中になると東京の下町、江戸川区の公民館で〈メイシネマ祭〉が行われます。小岩でガスとガス機器の販売をされている藤崎和喜さんが一人で始められ、ドキュメンタリー映画のファン、地域の人たち、また映画関係者の支持を

【自作を語る】岩手県大槌町の風景を記録した映画『ちかくてとおい』 text 大久保愉伊 

13年12月、姪が産まれました。震災により大きな喪失を感じていた私にとって、彼女が生まれたことは、震災後最も嬉しい出来事の一つでした。小さな手足をばたつかせたり、ぐっすり眠る姪の姿。そんな姪の姿を見ながら、故郷大槌で生き

【Book】私たちが新しく手に入れたガイドブック 『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』(西村智弘・金子遊 編) text 野村建太

幸運なことに、本書『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』で取り上げられた作品の多くを、これまでに見る機会があった。東京でジョナス・メカスの作品が上映されれば可能な限り足を運んだが、いつも会場はそれなりに混み合っていたこ

【Review】郷愁から遠く離れて――富田克也監督『バンコクナイツ』text 若林良

まず、「地方」ということばについて、それが何をしめしているか、その内包する意味について考えてみたい。そもそも、「地方」と口にするとき、わたしたちは何を求めているのだろうか(ここでの「わたしたち」とは、関東付近の在住者を包

【Review】鮮やかな手さばき〜小森はるか監督『息の跡』text 長谷部友子

東日本大震災から6年が経つ。震災について多くの人が様々なことを言ったが、私は未だその言葉を素直に聞けずにいる。喪失の悲しみ、原発や政府への批判、利権をめぐる言説、時が経つにつれ被災者を非難する言葉があり、また被災地を離れ

【Review】イメージを<経る> 七里圭監督『アナザサイド サロメの娘 remix』 text 永井里佳子

映画を音から作ったらどうなるか―「光も音も同じメディアに情報として記録されるようになった今、映像からサウンドトラックを意識的に引き離し、同期することを体験してみよう」(1)というコンセプトによる一夜限りのライブ上演『映画

【Interview】街とともにある「たね屋さん」の記録〜『息の跡』小森はるか監督

『息の跡』は、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市で「たね屋」を営む佐藤貞一さんの物語だ。津波で流された店舗を自力でプレハブを組み復活させ、英語や中国語を独学で学んでは、被災の手記を外国語で出版する。震災後に

【News】3月25日(土)~26日(日) 第10回大倉山ドキュメンタリー映画祭開催!

「出逢い、出逢い直すこと」大倉山の坂を登る。風が立つ。大きく息を吸う。映画を観て、お茶を呑み、お喋りし合う。出逢い、出逢い直して10年目の春が来た。ドキュメンタリー映画・・・「出逢い、出逢い直すこと」を生きる。大倉山ドキ

【Review】かつて・そこには ニコラウス・ゲイハルター監督『人類遺産』 text 井河澤智子

かつて、そこには人々の営みがあった。これは、彼らが消え去ったのちの物語。『いのちの食べかた』(2005)『眠れぬ夜の仕事図鑑』(2011)で、「社会の黒衣」というべき存在を描いてきたニコラウス・ゲイハルター監督の最新作で

【連載】ポルトガル、食と映画の旅 第5回 リスボンのシネマテカ text 福間恵子

シネマテカの正面ポルトガル、食と映画の旅第5回 リスボンのシネマテカ(前回 第4回 はこちら)ポルトガルへのフライトはどれぐらい時間がかかるの? とよく尋ねられる。大陸の西の果てポルトガルと日本を結ぶ直行便はない。ヨーロ

【News】4/7(金)〜8(土) 神戸で初の全作品一挙上映! 池谷薫監督特集上映@兵庫県立美術館ミュージアムホール

池谷薫監督の全4作品を 一挙に上映&トーク国内外初の特集上映にぜひ足をお運びください!【日時】4/7(金) 10:30 延安の娘     14:00 蟻の兵隊4/8(土)10:30 先祖になる     14:00 ルンタ

【Review】アンヴィル的瞬間―アンティ・ハーセ監督『ローディ! 地獄からの脱出』Text 後藤護

『ローディ! 地獄からの脱出』より フロントマンのMr.ローディ(本名トミ)。KISSのメイクにゴジラを融合したような風貌。北欧の清冽な空気をもたらすような透明感ある「トーキョー・ノーザンライツ・フェスティヴァル2017

【Review】よどみのない抵抗の暗流――オリバー・ストーン監督『スノーデン』 text 早見瀬音

           ©2016 SACHA, INC. ALL RIGHTS RESERVED.オリバー・ストーン監督の新作の題材が2013年6月のスノーデンの告発だと知った時、ドキュメンタリーテレビ番組「オリバー・ス

【Review】「見る」ことの深淵へ――ジャンフランコ・ロージ監督『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』text若林良

近年、『海と大陸』(2011)、『楽園からの旅人』(2011)といった劇映画の日本での公開によって、イタリアにおける難民問題は、映画館の観客にも身近になりつつあるかもしれない。ジャンフランコ・ロージによるドキュメンタリー

【Review】敗軍の将、何を語るか 『ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ』 text今泉 健

昨年からヒット中の映画『この世界の片隅に』(片渕須直監督)は不思議と希望を感じる作品だ。それは観客には、この後の顛末がネタバレしているが、先などわからない登場人物は、懸命に生き、希望を持とうとするところに、いい意味でのギ

【Review】ニューヨークという悪夢『ホームレス ニューヨークと寝た男』text くりた

誰もが一度は想像したことがあるだろう。「もしかしたら自分には何か特別な才能があるのではないか?」「そしていつか誰かが自分という存在を認めてくれるのではないか?」または、「ここではない何処か特別な地へ赴けば、何かスペシャル