【対談】「表現」を撮るということ――『THE COCKPIT』×『フリーダ・カーロの遺品』特別企画 三宅唱+小谷忠典 12,000字対談

広くはないマンションの一室でMPCに向かい、ひたすらトラックづくりに打ち込むラッパーと、彼を好きずきにとりかこむ男たち。いまはいない女性画家の遺品を、白い部屋で対話するように撮りつづける写真家。音楽と写真という違いはあれ

【ワールドワイドNOW★カンヌ発】カンヌ国際映画祭マーケット「マルシェ・ド・フィルム」を訪ねて③[最終回] text 植山英美

*第1回、第2回はこちら。 |「審査は批評家のためではない」(コーエン兄弟) 大手国際セールス会社ワイルドバンチの取り扱い作品が、カンヌ・コンペティション、ある視点、監督週間、批評家週間、ミッドナイト、と主要部門のうち、

【Review】建築の歴史を通じた魂の対話―石山友美『誰も知らない建築のはなし』 text 成宮秋仁

映画の始まりは、安藤忠雄のインタビューからだった。安藤は、独学で建築を学び、二度にわたる世界放浪を経て建築における独自の哲学を築いた人物だ。建築家になるための一般的なルートから完全に逸脱して、建築家として名を成したため、

【Review】 変化し続けるテーマ———日本映画大学・第1期生卒業制作から text 細見葉介

日本映画大学の第1期生の卒業制作上映会が2月14、15日、同大学に近い川崎市麻生区のイオンシネマ新百合ケ丘で開かれた。ショッピングセンターに入りエスカレーターを上った先の、カーペット敷きのシネコンという会場で、従来と比べ

【Book Review】ドキュメンタリー史の古典が新装復刊  エリック・バーナウ『ドキュメンタリー映画史』 text 細見葉介

このほど、エリック・バーナウ著『ドキュメンタリー映画史』が筑摩書房より出版された。ドキュメンタリー映画の長い歴史を顧みるとき欠かせない名著として、日本国内でもこれまで数多くの機会に取り上げられてきた『世界ドキュメンタリー

【連載】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 〜 第10話 text 中野理惠

開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして <前回(第9話)はこちら> 第10話  事務所立ち上げのころ ヘルスメーターの会社からは、翌年以降も毎年、大量に注文をいただいた。その会社の現在の社名は

【Review】シネマ・キャンプ第二期 最終課題優秀作品『ザ・トライブ』評 2編 text 水野由美子・宮本匡崇

2015年1月から4月末にかけて「シネマ・キャンプ」映画批評・ライター講座の第二期が開催された。neoneo編集室からは金子と萩野が講師として参加することになった。第一期以上に多彩な才能が集まり、さらに受講者の人数も増加

【Interview】『若さ』トム・ショヴァル監督インタビュー 東京フィルメックス2013上映作品

以下のインタビューは2013年、第14回東京フィルメックスの際に取材されたものですが、諸般の事情で掲載が大幅に遅れてしまったものです。関係者の皆様にご迷惑をおかけいたしましたことを、ここに深くお詫び申し上げます。(neo

【ワールドワイドNOW★カンヌ発】カンヌ国際映画祭マーケット「マルシェ・ド・フィルム」を訪ねて② text 植山英美

*連載第一覧はこちら。 |シャルリ・エブド誌事件の余波 今年で68回目を迎えたカンヌ国際映画祭は快晴の中の開幕となった。ここ2,3年は、日程の半分ほどが豪雨で、寒くてダウンジャケットの着用が大げさではないほどの悪天候に見

【Review】現状を変える希望、そして音楽〜 『パレードへようこそ』text UMMMI.

自分が世界を変えることが出来るんだと心底思っていた時があった事実を、なかったことにはしたくない。日々の生活に追われて今の生活を送ることは時々うんざりするけれどそれなりに楽しいこともあり、何かをすることでこの現状が大きく変

【連載】ワカキコースケのDIG!聴くメンタリー 第10回『四季の星座《春・夏編》』

実は天文界の第一人者が集まって協力した、本格盤廃盤アナログレコードの「その他」ジャンルからドキュメンタリーを掘り起こす、「DIG!聴くメンタリー」。今回も、よろしくお付き合いください。今回取り上げるのは、1979年に発売

【座談会】リテラシーとリアリティ『テラスハウス クロージング・ドア』をめぐって text 鈴木並木

湘南の海沿い、オーシャン・ヴューの一軒家で男女が共同生活をする様子を“台本なし”でとらえた“リアリティショー”「テラスハウス」。2012年から2014年にかけてのTV放送に続き、2015年2月には劇場版『テラスハウス ク

【連載】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 〜 第9話 text 中野理惠

開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 第9話   ニューヨーク滞在は一か月半 <前回(第8話)はこちら> 当初、一年間はニューヨークに滞在するつもりだったが、翌1987年1月末には戻らざるを

【ワールドワイドNOW★カンヌ発】カンヌ国際映画祭マーケット「マルシェ・ド・フィルム」を訪ねて①[事前準備篇] text 植山英美

いよいよ昨日5月13日より開幕した世界最大級の映画の祭典・第68回カンヌ国際映画祭。ガス・ヴァン・サント、ジャック・オディアール、ジャ・ジャンクー、是枝裕和らの新作がコンペティション部門を彩るいっぽう、各国から新作の買い

【Interview】わたしを魅了した“赤浜魂”〜『赤浜Rock’n Roll』小西晴子監督インタビュー

公開中の映画『赤浜Rock’n Roll』は、東日本大震災で大きな被害を受けた、岩手県大槌町赤浜で暮らす人々に密着したドキュメンタリーだ。「漁師は実業。水揚げしてなんぼ」と漁にいそしむ若き漁師の阿部力さん。国や県の提示し

【Review】無力さについて――坂口香津美監督『抱擁』 text 成宮秋仁

  唐突に始まる映像。団地の小さな部屋の中で、布団の上で、うずくまり、ひたすら苦しみの声を上げる年老いた女性の様子を、たんたんとカメラは捉える。カメラを撮る人物は、その女性の息子。坂口香津美監督である。カメラに

【Review】人の心をざわつかせる場所〜『アラヤシキの住人たち』 text 皆川ちか

雪の降り積もった山道を、ヤギを連れて奥の方へ、奥の方へと進んでいく一行。先頭を歩くのは賢者のような、「ロード・オブ・ザ・リング」に出ていてもおかしくないような風貌の初老の男性。続く若い女性ふたりとヤギ。穏やかとも不穏とも

【連載】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして 〜 第8話 text 中野理惠

 開拓者(フロンティア)たちの肖像〜中野理惠 すきな映画を仕事にして <前回(第7話)はこちら> 第8話 刺劇的な町 ニューヨーク父が見送りにくる 成田には父が一人で見送りに来ていた。全く聴いていなかったので、どんなに驚

【連載】原一男の「CINEMA塾」傑作選〜 テレビ・ドキュメンタリーの青春①〜 原一男×村木良彦×芹沢俊介

私が今日、作り手としてあるのは、多くの先達の作品を貪るように観て、真綿が水を吸い込むように、そのエッセンスを学んだことが大きいと思っているが、映画だけではなくテレビの作品もまた刺激的なテキストであった。ドキュメンタリーに

【列島通信★大阪発】10回目を迎えた大阪アジアン映画祭 text 江利川 憲

今年(2015年)の3月6日から15日まで、第10回大阪アジアン映画祭が開催された。その第1回は「韓国エンタテインメント映画祭2005 in 大阪」として開催され、翌年から対象地域を広げて「大阪アジアン映画祭」の名称が使

【Book Review】歴史を変えた1冊~『放射線を浴びたX年後』の2人の英雄~ text 神崎晃

「放射線」という言葉から、私たちは何を連想するだろう。4年前の東京電力福島第一原子力発電所事故だろうか。 大きな揺れと津波の後に起こった人災。燃え上がる赤い炎と、毎日報道される放射線量。錯綜する情報。ネットで行われる論議

【連載】ワカキコースケのDIG!聴くメンタリー 第9回『栄光への爆走〈1966年仏ル・マン24時間レース〉』

子どもの頃、モーター文化は妙に身近にあった  廃盤アナログレコードの「その他」ジャンルからドキュメンタリーを掘り起こす、「DIG!聴くメンタリー」。2ヶ月振りに連載再開となります。よろしくお願いいたします。さて、今回の聴