【ドキュメンタリストの眼③】 足立正生監督インタビュー text 金子遊
足立正生。映画監督にして元日本赤軍のメンバー。その名前はすでに60年代前半に日大映研を率いて完成させた実験映画『鎖陰』(63)で伝説となり、自主製作『銀河系』(67)、そして若松プロ作品の脚本を多作し、『女学生ゲリラ』(
【Interview】『はちみつ色のユン』 ユン監督インタビュー
12月22日よりポレポレ東中野と下北沢トリウッドでロードショーが始まった『はちみつ色のユン』。この作品を愛する観客が現在、着実に増えている。国際養子縁組で韓国からベルギー人の家庭に引き取られた少年が、人種の差異のなかで自
【Review】『ラブ沖縄@辺野古・高江・普天間』(藤本幸久・影山あさ子共同監督) text 徳田匡
1995年の米兵による少女レイプ事件をキッカケとする沖縄の怒りに対する鎮静剤として登場した「普天間基地閉鎖」のニュース。しかしそれは、沖縄本島北部の辺野古地区への新基地建設を前提としていた。さらに、この辺野古新基地計画は
【Review】 山下達郎『OPUS』「山下達郎」を残す為に 〜”ドキュメンタリー的”メディアとしてのCD〜 text 山本達也
山下達郎の曲を“ちゃんと”聴くようになってから、まだ実は3~4年しか経っていません。TOKYO-FM「サンデー・ソングブック」なんかを聞いてると、「山下達郎と共に年を取り、ずっと聴き続けてきて、今や親子二代でファン」なん
【Review】「特別でない」ことこそが――『はちみつ色のユン』 text 土居伸彰
世の中には様々な種類の事実が存在して、それがドキュメントとして記録されていくやり方も色々ある。近年隆盛のアニメーション・ドキュメンタリーはその新たな候補として登場したもので、それが捉える事実は、どちらかというとあまり定ま
【Report】「メモリー」そして「メモリー・プロジェクト」記憶と記録を巡る問い ~『カメラが開く記憶の扉 中国ドキュメンタリー映画の試み』第二部レポート ~ text久保田桂子
■ 文彗と呉文光のパフォーマンス「メモリー」との出会い 神奈川大学で行われた講演会『カメラが開く記憶の扉 中国ドキュメンタリー映画の試み』の会場である講義室の最前列には、カーキのシャツを着た大柄の呉文光(ウー・ウェ
【特別寄稿】映画のデジタル化について――『サイド・バイ・サイド』から考える text 渡邉大輔
キアヌ・リーヴスが企画製作を務め、クリス・ケニーリーが監督した『サイド・バイ・サイド――フィルムからデジタルシネマへ』(Side by Side-The Science, Art and Impact of Digita
【Essay】「うたはたましいの記録である」② シド・バレット text 金子鉄夫
ヘラヘラ、ヘラヘラ笑っている。仮にも、合理的に身体の内と外の交通網が整備されてまっとうな、と信じている社会で血眼になっては気をすり減らし、くそったれとつぶやいては自らを養うことが先決な生の外部で、ヘラヘラ、ヘラヘラ不気味
【Report】『愛について、ある土曜日の面会室』一般試写会トーク
ドキュメンタリー専門媒体である本サイトでも、劇映画を取り上げていきたいと考えている。例えば、ドキュメント性とフィクションが切り結んだ緊張感を有しているものだ。12月15日から公開されるフランス映画『愛について、ある土曜日
【連載 二丁目のエランヴィタール④】鈴木志郎康『日没の印象』text 若木康輔
♯4 『日没の印象』 2012年1月 インターネットの動画で 映画作家・原将人の家でビデオ作品『百代の過客』の梱包と発送を手伝った1993年の年末。鈴木志郎康の宛名と住所を書くだけで緊張した。遠い別世界のひ
【Interview】『サンタクロースをつかまえて』岩淵弘樹監督・山内大堂プロデューサーWインタビュー text 萩野亮
2012年もいよいよクリスマスシーズン。街角には色とりどりのイルミネーションが、つめたい空気と家路を急ぐ白い息に混じりあう。今年もきっといくつものクリスマス映画が冬休みを飾るでしょうが、そのなかでもneoneoイチオシ
【Review】境界の向こうへ自由に~新しい世代ならではの記録 映画『ニッポンの、みせものやさん』から text 細見葉介
伝統芸能、伝統工芸と同じく、それらに関する記録映画もまた、後継者は不足しているように見える。英映画社や岩波映画製作所も今はなく、私ドキュメンタリーが主流の映画教育現場においては伝統文化や民俗行事を扱った学生作品は異端と言
【Interview】『ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ』 小谷忠典監督インタビュー text 小林和貴
劇映画出身の小谷忠典監督に出会ったのは、前作『LINE』が公開された2010年のこと。朴訥で、どこか人懐っこい話し方とは裏腹に、作品に宿る凄まじい作家的執念のようなものに戸惑った。しかし、ある時ふと気がついた。「これもド
【リレー連載】列島通信★大阪発「東京フィルメックス」で考えた text 江利川 憲
11月は映画祭の季節。関西でも「神戸100年映画祭」「大阪ヨーロッパ映画祭」「宝塚映画祭」などが開催された。私自身は、数年前からハマっている「東京フィルメックス」に足を延ばした。大阪発の通信とは言えないかもしれないが、人
【Review】JNNルポルタージュ 報道の魂 『重信房子からの手紙』クロスレビュー
前説 編集室 若木康輔 この番組を録画して何度も見ている。1968年生まれの僕は、重信房子という存在に、まだ冷静な距離感を掴み切れない。中山千夏による手紙の朗読を聞くたび、胸が掻きむしられそうになる。日本を発った当時の重
【Review】アートとしての写真、アートとのかかわり 『IMA』Vol.1 text 宮越裕生
今のアートの面白いところを見せてくれる雑誌が読みたい、と思い本屋をさまよった経験がある私に、アート写真を中心に載せた『IMA』(アマナ)創刊号の誌面は、ストレートに入ってきました。アートを疑似体験できる、という意味では強
【リレー連載】列島通信★名古屋発/「第17回アートフィルム・フェスティバル」の特集 「フランス・ドキュメンタリー・セレクション2012」について text 越後谷卓司
現在、12月4日(火)~16日(日)〈*10日(月)は休館〉に開催する「第17回アートフィルム・フェスティバル」の準備を進めていて、追い込みの時期に入っている。今回のプログラムでは、メインの一つに、アリアンス・フランセー
【Review】『ドコニモイケナイ』(島田隆一監督) text 吉田孝行
作品を見終えた後に、今まさに一本の「映画」を観たという感覚を覚える作品である。また、ドキュメンタリー映画の中に久し振りに一人の「女優」を観たという感覚を覚える作品でもある。渋谷で出会った一人の少女の過去と現在の物語。かつ
【特集】20年目の『阿賀に生きる』(佐藤真監督)
故・佐藤真監督のデビュー作『阿賀に生きる』(1992)が、ニュープリントで公開される。この『阿賀に生きる』は、日本のドキュメンタリー史を語る上で“マストアイテム”と言って良い。映画のデジタル化が急速に進む中、あえて16m
【Interview】『ビラルの世界』プロデューサー イーッカ・ヴェヘカラハティ氏インタビュー text 水上賢治
フィンランド公共放送YLEのドキュメンタリー・プロデューサー、イーッカ・ヴェヘカラハティ氏。彼の名を知る人は少ないかもしれない。でも、その手掛けた作品名を知る人はきっと多いことだろう。日本でも大反響を呼んだ『ダーウィ
【Review】センセーショナリズムから遠く離れて 人間に寄り添うこと『61 ha 絆』text 杉本穂高
メディアがマイノリティを描くときには特段の神経を使う。いや、それを生業としているプロだけでなく僕ら一般人でさえも普段日常的にマイノリティの方々と接する際にも僕らはどう接するべきか悩むことは多々ある。このドキュメンタリー映
【Report】釜山国際映画祭で韓国ドキュメンタリー映画を見た text 岩鼻通明
10月7日の夜に釜山に着き、12日まで釜山国際映画祭で韓国映画を中心に鑑賞した。 最初にこの映画祭に参加したのは、2003年の山形国際ドキュメンタリー映画祭(以下では山ドキュと略す)で、キム・ドンホ執行委員長にお会いでき