【Review】 ザ・ビートルズ『マジカル・ミステリー・ツアー』再放送レビューの会

  緒方明 (映画監督/ビートルズ ファン歴43年)  映画について書かれた文章には必ず書き手の「発見」が開帳されてないといけないと常々思ってます。ですから四半世紀近く前に作られた『マジカル・ミステリー・ツアー

【連載 二丁目のエランヴィタール③】『ナッシュビル』text 若木康輔

♯3 『ナッシュビル』 2012年2月21日 アルテリオシネマ みなさん、こんにちは。neoneo編集室・若木康輔です。この『二丁目のエランヴィタール』は、短文コラムとイラストによる“ドキュメンタリー(的表現)見聞絵日記

【記録文学論⑤】 桐山襲『未葬の時』 text 中里勇太

都市は、未だ葬られていない時のただなかにいる。 小説家・桐山襲の遺作『未葬の時』。その表題は、いま、おそらく桐山も意図しなかった意味を重ねて、幾重にも響きわたる。 記憶のない都市そのものを描いた『都市叙景断章』をはじめ、

【Report】東京国際映画祭で見つける! ドキュメンタリー(後編) text 萩野亮

第25回東京国際映画祭(TIFF)が閉幕した。アジアで最大の開催規模をもつこの祭典のコンペティション部門には、世界各国から毎年1000本近い作品が応募されてくる。ただし、どんな作品でもウェルカム! というわけではどうもな

【Review】ドキュメンタリー版『天皇の世紀』 ドキュメンタリスト伊丹十三を再、もしくは新発見! text 皆川ちか

映画監督であり、俳優であり、父親は『無法松の一生』で知られる脚本家にして監督の伊丹万作であり……。伊丹十三について、ここまでは多くの方がご存じだろう。エッセイストであり、翻訳家であり、商業デザイナーであり、雑誌編集者であ

【Review】『これは映画ではない』 text 萩野亮

「日本よ、これが映画だ」。この印象的な惹句を記憶しているかたは多いだろう。むろんハリウッドの超大作『アベンジャーズ』(ジョス・ウィードン監督)のものだ。あるいは、それに便乗した、「ハリウッドよ、これも映画だ」(『踊る大捜

【ドキュメンタリストの眼②】高林陽一君と青春の個人映画――大林宣彦監督インタビュー text 金子遊 

「高林陽一君と青春の個人映画」       2012年7月、日本最初期の個人映画作家・高林陽一がこの世を去った。 高林陽一と聞いて、『金閣寺』や『西陣心中』などのATG映画、あるいは『本陣殺人事件』や『蔵の中』

【リレー連載】列島通信★沖縄発/地域共同体と音楽のすてきな映画たち、そして現実 text 真喜屋 力

戦前、県立女学校(ひめゆり学徒隊の学校)の跡地に、戦後に作られた栄町市場は、 小さな店舗がひしめき合い、迷路のような街を形成している。御多分にもれず、10年くらい前には寂れてしまい再開発の話もあった時代とずれた商店街。そ

【Report】東京国際映画祭で見つける!ドキュメンタリー(中編)text 中村のり子

28日に終幕したTIFFだが、今年はドキュメンタリーばかりを上映する部門があった。トヨタがスポンサーにつき、環境問題に関わる作品を取り上げる「natural TIFF」だ。こうした切り口でドキュメンタリーを見せることは、

【自作を語る】『タケヤネの里』の道程 text 青原さとし 

かつて東京都新宿区に民族文化映像研究所(通称・民映研)というドキュメンタリーの製作会社があった。(現在は中央区日本橋馬喰町)。民映研は、主に日本列島に暮らす農山漁村の庶民文化を映像で記録してきた研究所で、活動は1961年

【Review】天皇と棄民 『フタバから遠く離れて』 text 加瀬修一

「舩橋淳監督にインタビューしてみない?」、久しぶりにneoneo編集部の若木康輔さんから電話があった。「また~、なんかプロレス的に面白くしようとしてるでしょ?」と私は軽く応じた。と言うのも、以前「映画芸術DIARY」とい

【Interview】『演劇1』『演劇2』想田和弘監督 12,000字インタビュー text 萩野亮

渋谷シアターイメージフォーラムでは、独自の「観察映画」シリーズを 撮りつづけている想田和弘監督の最新作『演劇1』と『演劇2』が、10/20より公開されている(他全国順次公開)。合計5時間42分。この数字だけでも、この2部

【鼎談】「ローカル・ドキュメンタリー」が拓くテレビと映画の新しい関係 阿武野勝彦×伊東英朗×大槻貴宏

『平成ジレンマ』に『青空どろぼう』、今年の『死刑弁護人』と公開のたびに大きな反響を呼ぶ東海テレピ放送作品。第4弾の『長良川ド根性』が、11月からのロードショーを控えている。南海放送の『放射線を浴びたX年後』も、現在ヒット

【Report】東京国際映画祭で見つける!ドキュメンタリー(前編)text 中村のり子

10月20日より、東京・六本木で東京国際映画祭(TIFF)が始まった。鳴り物入りの招待作品が前面に出た、大型で華やかな作品ばかり上映する観光向け映画祭というイメージが強いが、実はここ数年で静かに変化してきている。コンペテ

【Review】独裁者になりたくないあなたへ――デイヴィッド・リンチ『大きな魚をつかまえよう』 text 港岳彦

作家の脳内に閃いた「アイデア」こそが、映画制作におけるαでありΩである。アイデアを「インスピレーション」や「イメージ」と言い換えてもいい。それは一個人の頭の中にしか存在しないものだから、極私的であり、抽象的であり、第三者

【リレー連載】列島通信★大分発/「映画館のデジタル化」がもたらす真の問題 text 田井肇

1年前に「映画館のデジタル化」問題について書いた。その時点ではまだ、デジタル化を喫緊の課題だと考える人は、インディペンデント映画業界(製作者、配給会社、ミニシアター)には多くなかった。当時、僕が喚起しようとした、インディ

【Report】「neoneo meets!! vol.00 さようならドキュメンタリー」報告 text neoneo編集室

去る8月23日、雑誌『neoneo』の創刊を記念したイベント『neoneo meets!! vol.00 さようならドキュメンタリー』が、オーディトリウム渋谷で行われた。会場には約120名が集まってくださり、上映後のトー

【自作を語る】『生き抜く 南三陸町 人々の一年』プロデューサーのことば text 井本里士

なぜ、テレビではなく、映画なのか。作品を発表するにあたり、この問いには真正面から答えなければならない、と思う。もうすこし具体的に言うなら、テレビ局の人間にはドキュメンタリーを放送する場があるくせに、なぜわざわざスクリーン

【Review】「アラブ・エクスプレス展 アラブ美術の今を知る」 text 成澤智美

  森タワーの最上階、54階に鎮座する森美術館。そこで、アラブ圏の現代美術をフューチャーする企画展「アラブ・エクスプレス展 アラブ美術の今を知る」が、6月16日から10月28日にかけて行われている。この展示は、

【Review】『光太郎 智恵子 うつくしきもの』 真摯な対話者が紹介する高村光太郎の「うつくしき」遺産 text 須田茂

本書は高村光太郎と北川太一を著者として今年6月に二玄社から出版された。高村光太郎が昭和6年10月に「時事新報」に掲載した紀行文「三陸廻り」と昭和25年から26年まで歌誌「スバル」に連載した「みちのく便り」の全文を掲載し、

【Essay】鏡よ鏡―オンライン・アーカイヴの時代がやってきた text 鈴木並木

2012年になってからだけでも、韓国映像資料院がYouTubeに開設した専門チャンネル「Korean Film Archive」(*1)、あるいはイタリアのチネチッタ・ルーチェによる同種の試み(*2)と、大規模なオンライ

【ドキュメンタリストの眼①】 小泉修吉監督インタビュー text 金子遊 (映像アーカイヴⅠ) 

『neoneo』の紙媒体とWEB媒体に、連載が開始された「ドキュメンタリストの眼」。重要なドキュメンタリストの証言に、ロング・インタビューで迫っていくコーナーです。そしてまたneoneo webでは、WEB媒体ならではの