【column】『傍観者あるいは偶然のテロリスト』―ドキュメンタリーの垣根を越えてー text 後藤和夫
私がこの作品を作ろうと思ったのは、しばらく前に一つの劇映画のプロットを思いついたことから始まる。 タイトルは『偶然のテロリスト』。若き日本人ジャーナリストがイスラエルで自爆テロを行う。その男の友人であった老ジャーナリスト
【連載】LA・ドキュメンタリー映画紀行 〈1〉北米のドキュメンタリー映画研究事情――研究者コミュニティの歴史と現在 text 中根若恵
映画の都・ロサンゼルスと聞くと、誰もが真っ先にハリウッドの華々しいイメージを連想するかもしれない。一年を通して温暖でカラっとした心地のよい気候のもとに発展したハリウッドの映画文化は、グローバルな伝播を通じてロサンゼルス、
【Review】詩人が誘われる記憶の街――ビー・ガン『凱里ブルース』text 村松泰聖
9年の刑期を終えて出所を果たした、とある詩人の男。ところが、彼の妻はすでにこの世を去っており、家を奪われた弟の態度は冷たく素っ気ない。孤独となった詩人は、亡き母の追憶に浸りながら、故郷に小さな診療所を開くことになる。貴州
【連載】「視線の病」としての認知症 第16回 長すぎる休日 text 川村雄次
「視線の病」としての認知症 第16回 長すぎる休日 (前回第15回はこちら) 前回は「なぜ声をあげたのか」について書いた。今回は、その声が忘れられた理由について書く。つまり、「なぜミッシングリンク(失われた環)になった
【Review】 『セノーテ』― 潜り、蘇る古代マヤの両義性 text 長本かな海
はじめてスキューバーダイビングをした時、はじめてモノをモノとしてみたような気がした。海中の生物の知識がない私にとって海の底は混沌への入り口だった。ゴツゴツした岩に張り付いたいびつな物体や、なめらかでヌルヌルしたもの、触っ
【連載】「視線の病」としての認知症 第15回 ミッシングリンク text 川村雄次
「視線の病」としての認知症 第15回 ミッシングリンク (前回 第14回 はこちら) 今回書こうと思うのは、 「ミッシングリンク」についてである。それはもともと生物進化の用語で、AがCになるには間にBがある
【Book Review】「なおす」ために何が必要か――青野文昭『NAOSU』 text 五十嵐拓也
「なおす」ことのズレ 2017年の展覧会「コンニチハ技術トシテノ美術」で展示された青野文昭の《なおす・それぞれの欠片から――無縁の声・森のはじまり――1997-2017》を見た時、赤い自動車が描かれた箪笥の作品に触りた
【News】『ゲッベルスと私』のシリーズ第二弾が2020年夏に完成!サニーフィルムが日本配給権を取得!
2018年に大ヒットを記録した『ゲッベルスと私』。シリーズ待望の第二弾『Ein jüdisches Leben』(英題 A JEWISH LIFE)が2020年夏に完成することが決定し、製作会社のブラックボックス フィ
【Review】ジョゼフ・ロージー『恋』の独創的な構成について text 井澤佑斗
窓ガラスに水滴が映っている。途端に、不協和音から始まるピアノの独奏が開始される。その窓ガラスにオーバーラップして『恋』のタイトル――原題『The Go-Between』――が映し出される。 その不吉なテーマ曲ひとつだけ
【Report】IFFR&Berlinale2020 <ベルリン国際映画祭編> text歌川達人
世界の多様性に出会える社会派ベルリン国際映画祭 今年で第70回を迎えるベルリン国際映画祭。今年からArtistic Directorが交代し、ロカルノ国際映画祭でArtistic Directorを務めていたCarlo
【Review】狂言回しのたらい回し――『The Death of Mr.Lazarescu /ラザレスク氏の死』 text 野本裕太
わが身になにかあったらどうなってしまうのだろう。 わが身になにかあったらというのも実に漠然とした口吻だがまさにそのことが不安というものの性質を反映した表現なのではなかろうか。ひとはなにもかもを如何様にも案ずることができる
【Book Review】「映画館プログラム」という知られざる魅惑を求めて――『映画館と観客のメディア論 戦前期日本の「映画を読む/書く」という経験』 text 大内啓輔
かつて「映画館プログラム」という読み物があった! たとえば今、私たちが映画館に足を運んで映画を観るとしよう。そのとき、事前にその映画について、何一つの知識を入れずに鑑賞することは不可能に近いはずだ。いわゆる一般的に劇場公
【News】オンライン上映中!お家で観られるドキュメンタリー映画特集 (その1)
新型コロナウイルスの感染拡大は世界中に大きな被害をもたらし、日本でも4月7日に「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」が出された。東京・大阪など7都府県の映画館は臨時休業を余儀なくされ、その後も感染者数や感染リスクの増大
【Report】IFFR&Berlinale2020 < ロッテルダム国際映画祭編> text 歌川達人
映画制作者の私は、常日頃から諸先輩方に「若いうちに海外の国際映画祭へ行って勉強してきた方が良いよ」と言われていた。 そんな折、運よくロッテルダム国際映画祭で自身の短編「時と場の彫刻 (英題The Sculp
【Review】音楽が「差別」と闘うとき――映画『白い暴動』 text 日方裕司
映画『白い暴動』の冒頭で、ステージに上がる前の緊迫感と血気盛んなオーディエンスの姿に多くのパンクスが心躍るかもしれない。しかしこのタイトルから推測されるような、日本でもお馴染みのパンクバンド、ザ・クラッシュのドキュ
【column】現代日本最高の詩人吉増剛造がNYへ 米国前衛映画界の父・詩人の故ジョナス・メカスを悼む 映画『眩暈(めまい) Vertigo』について text 井上春生
2018年2月、ある仕事で訪れていたドイツから羽田に帰国し、そのまま成田に移動してニューヨークに向かった。詩人の吉増剛造さんを1年かけて撮った前作「幻を見るひと」がニューヨークシティインディペンデント国際映画祭に招待され
【News】金子遊の映像作品がWEBで配信スタート
2020年3月から、幻視社が配給する映像作家・金子遊の長編ドキュメンタリー、劇映画、実験映画、民族誌映像など10数本が「Vimeoオンデマンド」にて、WEB配信されます。新型コロナウィルスの影響で、映像作品の上映機
【Review】『ダンシングホームレス』「世間の目」を越えた先の光景 text 柴垣萌子
『ダンシングホームレス』の主だった被写体となる「新人Hソケリッサ!」は、ホームレス、そしてホームレス経験者だけで構成されたダンスグループだ。彼らは新宿を拠点に日々練習やワークショップを行い、様々な場所で公演も行なっている
【Report】Festival Film Dokumenter2019に参加して text 波田野州平
私はフィールドワークをもとに土地の歴史を掘り起こし、そこで見聞きしたことをフィクションとドキュメンタリーが渾然となった手法で、個人の記憶から集合的記憶を導き出そうとする映画を制作しています。そのようにして制作した『影の由
作品募集締切迫る!6月20日まで 東京ドキュメンタリー映画祭2020
今年も開催! 東京ドキュメンタリー映画祭2020 作品募集を開始します! 募集期間 2020年2月20日〜6月20日 メールと動画URLで簡単に応募! 2020年度の冬、入選作40本前後を都内の劇場で一挙に上映します!
【連載】「視線の病」としての認知症 第14回 「認知症ケア」の夜明け text 川村雄次
クリスティーン、ポールと武田純子さん(2007年 札幌市) 「視線の病」としての認知症 第14回 「認知症ケア」の夜明け (前回 第13回 はこちら) 認知症という、不治で進行性の病を生きることにどんな希望があるというの
【News】カンヌ映画祭で二度受賞のウクライナの映画監督セルゲイ・ロズニツァのドキュメンタリー3作品をサニーフィルムが配給権取得!
2月10日(月)、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルで、『セメントの記憶』(ジアード・クルスーム監督)上映後のトークイベントに登壇した配給会社サニーフィルムの有田浩介氏は、同社の次回配給作品を発表し、