【Review】「私」の矛盾をみつめて-映画『被ばく牛と生きる』に寄せて text 若林良
読者諸氏には恐縮だが、まず、自身の経験から話をはじめたい。東日本大震災からまもなく7年が経とうとしているが、私は学術的な調査やボランティアの一環で、東日本大震災を経たのちの福島を幾度か訪れてきた。そして訪れた地域の中には
【Book Review】制作と批評が織りなすドキュメンタリーの公共性——金子遊『ドキュメンタリー映画術』text 中根若恵
世界との回路としてのドキュメンタリー 昨今のドキュメンタリー映画界が見せる活況についてはことさら論じるまでもない。世界中で多くのドキュメンタリーが生み出され、劇場や映画祭でそれらを目にする機会も増えた。個々の作品に目を向
【Interview】『恋とボルバキア』喧嘩は散々した4年間でした~小野さやか(監督)・港岳彦(構成)インタビュー
少し前までneoneoの編集に関わっていたので当然かもしれないが、僕の周りにはドキュメンタリー映画を作ったり配給したり宣伝したりする人間が割と多い。そして彼らの間では、『恋とボルバキア』の構成がよく話題となる。 もちろん
【連載】「ポルトガル、食と映画の旅」 第13回 世界の始まりへの旅 text 福間恵子
福間恵子の「ポルトガル、食と映画の旅」 第13回 世界の始まりへの旅 <前回 第12回 はこちら> ポルトガルの二大新聞のひとつ「ディアリオ・デ・ノティシアス」(Diário de Notícias)のWEB版の記事に、
【最新刊】ドキュメンタリーマガジンneoneo #10 総特集「環境とネイチャー」
好評発売中! ドキュメンタリーマガジン「neoneo」#10 総特集 「環境とネイチャー」 気候変動、生物多様性、森、海洋…テーマ別作品ガイド 『不都合な真実2』『サファリ』『セバスチャン・サルガド』『自然農』・・・ イ
【連載】「ワカキコースケのDIG!聴くメンタリー」 第27回 『THE MANZAI』
ツービートや紳助竜介を全国区にし、 テレビと芸能の歴史を変えた番組『THE MANZAI』をレコード化。 チャンスを掴んだ男たちの闘争の記録。 『THE MANZAI』という番組があった 廃盤アナログレコードの「その他」
【連載・最終回】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜 中野理惠 すきな映画を仕事にして 第61話 第62話
「こつなぎ」 パンフレットの目次頁開拓者(フロンティア)たちの肖像〜 中野理惠 すきな映画を仕事にして第61話 「こつなぎ」との出会い<前回 第60話はこちら>前回、別荘は<下田の近く>と書いたが、手帳を確認
【Review】2000年代のエクソシスト-イタリア人と悪魔の関係‐‐『悪魔祓い、聖なる儀式』 text長本かな海
「知ってるかい?パードレ・ピオは4つの違う場所で同時に目撃されているんだよ!これは本当に凄いことだ。奇跡としか表現できない。」ローマのサンタ・マリア・イン・トラステーヴェレ教会で長年ボランティアをしているイタリア人の友人
【Review】 『恋とボルバキア』(小野 さやか監督)――性を通して生を知る text 大田裕康
ボルバキアとは、共生バクテリアの一種で、これに感染した昆虫類は、オスからメスへ、もしくはメスからオスへと性を転換されるか、それに類した性の変異を余儀なくされるというものである。生物学者セス・ボーデンスタインは、ボルバキア
【連載】「ポルトガル、食と映画の旅」第12回 セジンブラで魚を食べる
福間恵子の「ポルトガル、食と映画の旅」第12回 セジンブラで魚を食べる<前回 第11回 はこちら>リスボンの南には、テージョ川をへだててアラビダ半島がある。海のようなテージョ川の河口に近いところに「4月25日橋」があり、
【自作を語る】日芸生による映画祭「映画と天皇」について text 木村桃子
日本大学芸術学部映画学科映像表現・理論コース映画ビジネスゼミ3年による映画祭が今年も渋谷のユーロスペースで開催される。この映画祭は今年で7回目の開催になる。毎年、「映画祭として面白いか」そして「学生だからこそできる」テー
【Interview】『Ryuichi Sakamoto: CODA』スティーブン・ノムラ・シブル監督に聞く text イトウモ
ー作品を楽しく拝見しました。今回、坂本龍一さんの話してらっしゃることをかなり中心に撮るように作られている印象を受けました。坂本さんに親しい方や、近い方以上に本人へのインタビューにこだわった理由があれば、教えてください。確
【連載】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜 中野理惠 すきな映画を仕事にして 第59話 第60話
開拓者(フロンティア)たちの肖像〜 中野理惠 すきな映画を仕事にして<前回 第57話 第58話 はこちら>第59話 ソクーロフ漬けお成り試写会「すぐに会場に入って」と誰かが叫んだのか、正確な記憶が残ってないの
【連載】「ポルトガル、食と映画の旅」 第11回 エストリル映画祭とエリセ text 福間恵子
福間恵子の「ポルトガル、食と映画の旅」第11回 エストリル映画祭とエリセ<前回 第10回 はこちら>ポルトガルの旅のさなかに、開催中の映画祭にうまく出会えるのは稀なことだけれど、2009年11月は運良くエストリル映画祭に
【Review】トランスジェンダーが「普通」になる日のために 『女になる』text 荒井南
『女になる』を観終えた時、以前参加したLGBTs映画の上映イベントで、ある女性との苦い記憶が思い出された。折しも著名な女性の同性カップルが結婚式を挙げたことが話題になっていた頃で、私は性的マイノリティについての明るいニュ
【Report】旅するシネマの卵たち〜躍進するカンボジアの若手映像作家たち〜 text 宮崎真子
ダグラス・ソク『ターンレフト・ターンライト』ポスターこの数年、映画やアートの分野で東南アジア、特にカンボジアは国際的にも広く注目を集めている。国内的に見ても映画では独立系、アートではコンテンポラリーの分野で若手中心に自ら
【Review】ネコ側から、世界をみるー『世界ネコ歩き』 text 岡村亜紀子
世界中のニンゲンがネコを愛している。わたしたちはネコにどうしてか惹かれる。それは創作物の多さにも表れ、そして近年はまれにみるネコブームである。世界をまたにかけ活躍する、動物写真家・岩合光昭氏は40年以上ネコを撮りつづけて
【Interview】『鉱 ARAGANE』 小田香監督 ボスニアの鉱山という“未知の異世界”とのコミュニケーション
ちょうど2年前、2015年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で初上映され、特別賞を受賞した小田香監督の『鉱 ARAGANE』が、いま劇場公開されている。小田監督には、いちど雑誌「neoneo 6号〜ドキュメンタリーの方法〜
【Interview】『ニコトコ島』『石と歌とペタ』 大力拓哉&三浦崇志監督インタビュー 基本的に全部意味は無い 〜唯一無二のオリジナリティで突きつける根源的な問い〜
左から三浦崇志監督 大力拓哉監督2007年のデビュー作『タネ』からコンビを組み、大阪を拠点にして毎年のように作品を発表し続けている大力拓哉と三浦崇志。国内では映画祭以外でほとんど上映されてこなかった彼らの代表作2本、『ニ
【Review】「らしさ」という枠組みから抜けて『ソニータ』 text くりた
突拍子もない話のように聞こえるかも知れないが、私は『ソニータ』を観おわったあとポール・ヴァーホーヴェン監督作品の『エル ELLE』のことを思い出した。ご存じの方も多いのは承知の上で説明すると、『エル ELLE』とはフィリ
【連載】開拓者(フロンティア)たちの肖像〜 中野理惠 すきな映画を仕事にして 第57話 第58話
開拓者(フロンティア)たちの肖像〜 中野理惠 すきな映画を仕事にして<前回 第55話 第56話 はこちら>第57話 出版とりやめと『娘道成寺 蛇炎の恋』『旅の贈りもの』の反応予想を上回る動員だったからだろう、
【寄稿】プリズムを束ねるー『禅と骨』を観てー text 鈴木一誌
『禅と骨』(プロデュース・監督・構成=中村高寛)を観ながら「新たな領域に踏み込んだドキュメンタリーだ」と感じる。が、作品を発表するとは、なんらかのかたちで新たな領域に踏みこもうとするのだから、『禅と骨』では「踏み込み方が